【試合戦評】33年ぶりの高卒ドラフト1位対決。札幌での今季最終戦を楽天救援陣が粘ってつないで逃げ切り勝ち

パ・リーグ インサイト

2017.9.29(金) 00:00

昨夏の甲子園を沸かせた2人が、プロの舞台で再び相見える。北海道日本ハムと楽天の2連戦2日目は、高卒ドラフト1位ルーキー同士の投げ合いとなった。

北海道日本ハムの先発は、プロ初先発となる堀投手。広島新庄高校のエースとして出場した昨夏の甲子園では、3回戦で惜しくも木更津総合高校に敗戦。しかし、30回を投げて自責点4、防御率1.20と安定した投球を披露した。プロ入り後も中継ぎで3試合に登板し、そのうち2試合で無失点。好調のチームを4連勝に導けるか、注目だ。

一方、楽天の先発はこちらもドラフト1位ルーキー・藤平投手。前回登板のオリックス戦では6回4失点(自責3)で敗戦投手となった。ここ2試合勝ち星に恵まれていないだけに、同級生対決を制してチームを勢い付かせたいところだ。

初回、堀投手は味方の好守に助けられながら無失点で抑える。その裏の藤平投手も、立ち上がりが安定しない。1死から2番・松本選手に右安打を許すと、四死球でいきなり1死満塁のピンチを背負う。しかし落ち着いて後続を抑え、両投手とも初回は無失点で切り抜けた。

試合を動かしたのは楽天だった。2回表、1死から5番・アマダー選手が堀投手の真ん中に入った直球を見逃さずにフルスイングすると、打球は放物線を描きながら左翼席中段へ。「藤平選手のためにまず1本打つことができて良かった」と振り返るアマダー選手の第23号ソロで、楽天が昨日と同じく先制点を挙げる。

先制点を許したものの、粘りの投球を続ける堀投手を援護したい北海道日本ハム打線だが、援護点を挙げることができない。3回、4回とそれぞれ得点圏に走者を進めながら、あと1本が出ず。楽天の1点リードのまま、試合はこう着状態に陥る。

堀投手は6回から、中継ぎ陣にマウンドを譲った。結果的には5回を投げて被安打6、奪三振3、無四死球。失点はアマダー選手のソロによる1点のみと、プロ初先発ながら、試合を作る好投を見せた。「1球目でコケそうになって、落ち着けました。札幌ドームの先発マウンドは楽しかったです」という降板後のコメントからは、初先発のマウンドを楽しむ心の余裕が窺え、今後に期待が持てる今日の登板となった。

一方、楽天は藤平投手が3回無失点で降板し、4回以降継投に入る。青山投手が1回2/3、高梨投手が1回1/3をそれぞれ無失点で抑えると、勝利の方程式を投入。7回から登板した4番手・ハーマン投手が2死満塁のピンチを作ってしまうが、代わった福山投手が西川選手をゴロに打ち取るなど、再三のピンチを凌いで北海道日本ハム打線を無得点に抑える。

このまま1対0で終わる雰囲気が感じられるようになった8回表、1死から9番・嶋選手が右方向へうまく流し打って出塁すると、迎えるは1番・茂木選手。北海道日本ハムの3番手・井口投手の高めの直球を捉えると、打球は中翼方向へ飛び込む。スタンドギリギリに飛び込む第17号2ランで、楽天は欲しかった追加点をもぎ取り、スコアを3対0とした。

9回裏は守護神・松井裕投手が抑えて、試合はそのまま3対0で楽天が勝利。救援陣の粘りの投球が光り、無失点リレーで北海道日本ハム打線を抑え込んだ。救援陣の力投は今後、2位争いをしていく上でも大きな収穫となっただろう。

敗れた北海道日本ハムは、プロ野球タイ記録となる9回19残塁を記録してしまった。満塁の好機を5度も作ったが、あと1本が出なかった。明日以降は、好機を得点に結び付ける攻撃を期待したい。

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