「野球は数字のスポーツ」と言われる。今季も、選手の特徴や凄味を示す数字がとりどりと残された。27日に「NPB AWARDS 2018」で表彰された項目以外にも、知っていれば野球の面白さが深まる打者の部門別ランキングベスト3を紹介しよう。
(※率系項目は規定打席到達者29人が対象)
■対左投手打率
1.柳田悠岐(福岡ソフトバンク) .355
2.浅村栄斗(埼玉西武) .328
3.井上晴哉(千葉ロッテ) .325
柳田選手は打率だけでなく、長打率、出塁率も対右投手とほぼ同じ数値だった。初めて規定打席に到達した2014年以降で対戦打率が3割を切ったのは1度だけと、左腕を苦手にしていない。一軍の主力級ではオリックスの安達選手、大城選手が共に打率1割台と苦戦しており、T-岡田選手も50打数9安打で長打なし。チーム再編のポイントにもなりそうだ。
■得点圏打率
1.柳田悠岐(福岡ソフトバンク) .389
2.浅村栄斗(埼玉西武) .369
3.外崎修汰(埼玉西武) .360
「SMBC日本シリーズ 2018」や「日米野球2018」でも印象的な一発を放って役者ぶりを見せつけた柳田選手は、シーズン中も変わらず勝負強さを発揮していた。とはいえ「得点圏で最も勝負強さを発揮した打者」の称号に相応しいのは、シーズン通算打率からの上昇値でリーグトップ(.073)を記録した外崎選手だろう。満塁時は浅村選手が打率.600(10打数6安打)と大暴れ。
■初球打ち打率
1.島内宏明(東北楽天) .545
2.近藤健介(北海道日本ハム) .529
3.外崎修汰(埼玉西武) .460
基本的に初球は打者が有利。秋山選手(埼玉西武)は33安打、柳田選手(福岡ソフトバンク)は11本塁打でそれぞれ最多と早めの仕掛けが奏功した。初球打ちが最も多かったのは102打席の上林選手(福岡ソフトバンク)。角中選手(千葉ロッテ)は18打席のみと初球打ち自体が少なかったが、打率.188はワーストで、2ストライク後の方が高打率(.233)だった。
■2ストライク打率
1.中村晃(福岡ソフトバンク) .277
2.近藤健介(北海道日本ハム) .275
3.源田壮亮(埼玉西武) .265
1位の中村選手と2位の近藤選手は、今季に放った全安打の半分以上が2ストライク後に放ったもの。中村選手と3位の源田選手は追い込まれても、ともにシーズン打率(.292/.278)とそん色ない粘り強さを発揮した。持ち前のパワーを開花させた井上選手(千葉ロッテ)は、2ストライク後もリーグ最多である12本塁打&36打点をマークする粘り腰を見せている。
■空振り率
1.近藤健介(北海道日本ハム) 4.0%
2.中村晃(福岡ソフトバンク) 4.3%
3.西川遥輝(北海道日本ハム) 5.5%
イメージどおり、コンタクト能力に秀でたタイプの打者が上位3傑に並んだ。いずれも今季は三振との差10以内の四球を選んでおり、打席内での生産性は突出して高い。ワースト15.0%の松田選手(福岡ソフトバンク)は近藤選手とほぼ同等の打席数ながら、空振り数は336対104と3倍以上の開き。ファウルの数は源田選手(埼玉西武)の535球が最多だった。
■本塁打率
1.山川穂高(埼玉西武) 11.51
2.柳田悠岐(福岡ソフトバンク) 13.19
3.デスパイネ(福岡ソフトバンク) 14.03
本塁打1本を放つために要した打数が最も少なかった山川選手は、昨季(12.73)を上回るペースで量産。2位の柳田選手に10本以上の大差をつける47本を放ち、タイトルを獲得した。リーグ最多の202本塁打を放った福岡ソフトバンク勢からは、上記2人に4位の松田選手が続く。3人で記録した97本塁打は、千葉ロッテ打線が放った全78本を上回った。
■四球率
1.近藤健介(北海道日本ハム) 15.7%
2.西川遥輝(北海道日本ハム) 15.1%
3.山川穂高(埼玉西武) 13.6%
北海道日本ハムの主力打者2人がワンツー。四球の数は西川選手がリーグ最多の96個、近藤選手は同3位の87個だったが、打席数に占める割合では後者が上回った。山川選手はリーグ最多の138三振を喫したが、四球と同様に死球も多く、四死球104ではトップに位置する。3年連続リーグトップの数値を記録していた柳田選手は8位(11.3%)まで陥落した。
■三振率
1.銀次(東北楽天) 8.5%
2.鈴木大地(千葉ロッテ) 9.85%
3.島内宏明(東北楽天) 9.93%
東北楽天の2人は、いずれも三振より多くの四球を選ぶ生産性の高さ。島内選手の空振り83回は最も少ない。鈴木選手は前年(14.5%)から約5%も改善させた。特筆すべきは5位の吉田正尚選手(オリックス)で、自己最多の26本塁打を放ちながら12.4%に収めている。これより低い数値を記録した20ホーマー超えの打者は、過去10年のパ・リーグでは皆無だ。
■平均被投球数上位
1.近藤健介(北海道日本ハム) 4.73球
2.西川遥輝(北海道日本ハム) 4.49球
3.角中勝也(千葉ロッテ) 4.43球
四球率と同様に、北海道日本ハムの巧打者2人が相手投手に投げさせた球数で1、2位を占めた。近藤選手は2626球を投じられて空振りはわずか104回、西川選手はリーグ最多の1189球もボールを選ぶなど、共に抜群の選球眼で打線の得点力を高めている。角中選手は相手投手に多くの球数を投げさせるが、四球はあまり多く選ばない独自のスタイルを貫く。
■複数安打回数
1.秋山翔吾(埼玉西武) 61回
2.浅村栄斗(埼玉西武) 50回
3.源田壮亮(埼玉西武) 49回
3.柳田悠岐(福岡ソフトバンク) 49回
秋山選手は複数安打を放った回数だけではなく、3安打(13回)、4安打(4回)でもそれぞれ最多を記録するなど、安打王の面目躍如。猛打を振るった埼玉西武打線の1~3番が、上位に名を連ねている。柳田選手は4月21日のサイクル安打達成を含む5安打が2度あり、今季で唯一、複数回を記録。マルチ本塁打では、山川選手の5度が最多だった。
■殊勲安打回数
1.浅村栄斗(埼玉西武) 28回
1.柳田悠岐(福岡ソフトバンク) 28回
3.吉田正尚(オリックス) 27回
打点王に輝いた浅村選手と、最多15本の殊勲本塁打を放った柳田選手がトップで並んだ。殊勲安打の内訳は、以下がそれぞれの最多。先制打→中田選手(北海道日本ハム)の19本、同点打→吉田正選手の11本、勝ち越し打→松田選手(福岡ソフトバンク)の10本、逆転打→秋山選手と大田選手(北海道日本ハム)の5本、サヨナラ打→森友哉選手(埼玉西武)の3本。
■内野安打
1.源田壮亮(埼玉西武) 29本
2.中島卓也(北海道日本ハム) 22本
3.上林誠知(福岡ソフトバンク) 21本
3.中村晃(福岡ソフトバンク) 21本
3.近藤健介(北海道日本ハム) 21本
3.茂木栄五郎(東北楽天) 21本
前年に27本で2位の源田選手がトップに立ち、一昨年の金子侑司選手(32本)、前年の秋山選手(28本)に続いて埼玉西武の選手がV3。2位の中島卓選手は全安打に占める内野安打の比率で最高の21.6%をマークした。上林選手はバント安打で最多の9本を記録。福岡ソフトバンク打線は202本塁打だけでなく、内野安打137本もリーグ最多と足でも稼いだ。
記事提供: