故障者の穴を総合力の高さで穴埋め 福岡ソフトバンクが2年連続日本一に【シーズン総括】

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2018.11.27(火) 11:00

福岡ソフトバンクホークス・工藤公康監督(C)パーソル パ・リーグTV
福岡ソフトバンクホークス・工藤公康監督(C)パーソル パ・リーグTV

 2017年に多数の故障者を出しながらも日本一に輝き、今季もリーグ優勝候補の最右翼とみられていた福岡ソフトバンク。しかし、春から故障者が続出してスタートダッシュに失敗し、予想外の苦戦を強いられる。それでも結果的には、リーグ2位から2年連続日本一の頂まで駆け上がった。

故障者続出で態勢が整わず、序盤は首位争いに絡めないまま

 今季はシーズン序盤から波乱だった。まずベテランの和田投手が、春季キャンプの段階で左肩を痛めて一軍登板なし。育成出身初の開幕投手を務めた千賀投手は前半戦だけで4度も抹消され、昨季最多勝のタイトルを獲得した東浜投手も5月下旬から2カ月以上も戦線を離脱した。さらに前年のリリーフエースだった岩嵜投手と守護神・サファテ投手が4月にそろって故障し、ブルペンは再構築を余儀なくされている。

 チームリーダーの内川選手と正遊撃手の今宮選手、主砲のデスパイネ選手も故障で戦列を離れてしまい、なかなか戦力がそろわないまま、首位・埼玉西武に6.5ゲーム差の3位で前半戦終了。得意の交流戦では開幕6連勝と好スタートを切ったが、4位転落も経験し、Aクラス争いからなかなか抜け出せない状況が続いた。

 故障者に加えて、既存戦力の不振も痛手だった。昨季、来日1年目から中継ぎ左腕として活躍したモイネロ投手、ベテランの五十嵐投手は故障もあって本来の力を発揮できず、武田投手、バンデンハーク投手、中田投手も安定感を欠いた。前半戦は貯金が2つしか作れず、リーグ2連覇は厳しい状況に。しかし、ここからチームは驚異的な追い上げを見せる。

新戦力が台頭し、2年連続日本シリーズ制覇

 先発投手陣は、7月中旬に緊急補強したミランダ投手と、同月下旬に育成ルーキーから支配下登録を勝ち取った大竹投手の活躍が追い風となり、東浜投手の復帰で安定感を取り戻す。

 救援陣では、前年に続きフル回転した嘉弥真投手に加え、昨季まで一軍通算4登板だった加治屋投手がセットアッパーに定着して、森投手がサファテ投手の代役を務め上げた。

 野手では7月に一軍昇格した育成出身の牧原選手がレギュラー不在の二塁手に名乗りを上げ、上位打線に定着。左手薬指骨折で離脱していたグラシアル選手が8月に復帰したことも起爆剤となり、最大11.5ゲーム差もつけられていた埼玉西武を徐々に追い詰めていく。

 8月21日から北海道日本ハムとの3連戦で3連勝して2位に浮上すると、6連勝として迎えた同24日からの埼玉西武3連戦は圧巻だった。千賀投手、ミランダ投手の好投で2勝し、3戦目はグラシアル選手が延長12回にサヨナラ満塁弾。9連勝を含む18勝6敗で8月を駆け抜け、9月15日からはわずか3.5ゲーム差と完全に逆転リーグ優勝が視野に入ってきた状況で、首位・埼玉西武との天王山に臨んだ。

 しかし、埼玉西武の強力打線を封じ込めることができずに、3試合で27失点。痛恨の3連敗でリーグ優勝の2文字が再び大きく遠のいてしまう。それでもそこから7連勝と立て直したが、最終的には82勝60敗1分、首位と6.5ゲーム差の2位でシーズンを終えた。

 レギュラーシーズン終了後、福岡ソフトバンクは再び快進撃を開始。「パーソル CS パ」ファーストステージでは、北海道日本ハムを2勝1敗で破り、ファイナルステージで埼玉西武のお株を奪う5試合44得点の猛打を披露してリーグ王者を圧倒する(アドバンテージ含めて4勝2敗)。そして「SMBC日本シリーズ 2018」では、4勝1敗1分でセ・リーグ王者の広島を撃破し、見事2年連続の日本一に輝いた。

投手陣を再整備して、リーグ優勝からの3年連続日本一へ

 首位打者と最高出塁率の2冠を獲得した柳田選手は自身初の100打点に到達。上林選手は自身初の全試合出場を果たして22本塁打、リーグ最多の14三塁打に加え、外野手最多の10補殺と攻守でチームに貢献した。

 森投手は37セーブでタイトルを獲得し、加治屋投手は球団記録タイの72試合に登板、リーグ3位の35ホールドポイントを記録した。先発、中継ぎで役目を果たした石川投手はチーム最多タイの13勝をマークしている。

 ただ、規定投球回に到達した投手は12球団唯一のゼロ。千賀投手は登録抹消を繰り返しながら、石川投手と並ぶ13勝を挙げたものの、来季は先発ローテーションを守り抜きたいところ。大竹投手、変則投法の高橋投手ら2年目の選手の成長も必要とされる。

 最後に改めてチームとしての総合力を見せ付けた福岡ソフトバンク。来季はレギュラーシーズンも含めた完全優勝、そして3年連続日本一の偉業に挑む。

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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