一振りで試合が大きく動くホームランは、やはり「野球の華」である。球場観戦時にたとえひいきのチームが大敗を喫したとしても、「~~のホームランが見られたから良かったかな」と思いながら帰路に就いた経験があるのではないだろうか?それも、一度や二度ではないはずである。実際に私もそのような経験が何度もある。
プロ野球選手であったとしても、ホームランは誰しもが打てるわけではなく、ホームランを打たずに現役を終えるという選手も当然存在する。また、ホームランを期待される主砲や大砲などといったポジション、役割は外国人選手が担うことが多く、日本人選手はどうしても外国人選手にはパワーで劣るため、「和製大砲」を育てるのはそう容易ではない。
【3年連続30本塁打以上を記録した日本人選手】
・中村紀洋選手(当時大阪近鉄) 5年連続
98年=32本、99年=31本、00年=39本、01年=46本、02年=42本
・小久保裕紀選手(当時福岡ダイエー) 3年連続
00年=31本、01年=44本、02年=32本
・小笠原道大選手(当時日本ハム) 4年連続
00年=31本、01年=32本、02年=32本、03年=31本
※05~10年にてチームをまたいで(05・06年 北海道日本ハム、07~10年 巨人)6年連続
・和田一浩選手(当時西武) 3年連続
02年=33本、03年=30本、04年=30本
・松中信彦選手(当時福岡ダイエー、05年から福岡ソフトバンク) 3年連続
03年=30本、04年=44本、05年=46本
パ・リーグ在籍の日本人選手で3年連続30本塁打以上を放った選手に限ると、最後に達成したのは2005年の松中選手。実に今から11年も前の話になる。2000年前後に5選手が3年連続30本塁打を放ったが、過去20年間でもわずかにこの5人だけ。主な理由としては、パ・リーグの球場は札幌ドームなど全体的に広い球場が多く、ボールなど諸々の条件も年々変わってきていることが影響していると考えられる。
また、20年間での外国人選手に目を向けてみても、当時日本記録タイのシーズン55本塁打を放ったローズ選手(当時大阪近鉄)とカブレラ選手(当時西武)だけという非常に難易度の高い記録であると言って良い。
今年のパ・リーグ日本人選手で30本以上のホームランが期待できそうな選手は、福岡ソフトバンク・松田宣浩選手(今季15本)、オリックス・T-岡田選手(今季14本)、北海道日本ハム・中田翔選手(今季13本)、福岡ソフトバンク・内川聖一選手(今季12本)、埼玉西武・中村剛也選手(今季11本)、福岡ソフトバンク・柳田悠岐選手(今季10本)あたりだろうか。
そんな中で今年、2005年以来11年ぶりの日本人選手による3年連続30本塁打に挑む権利を持つ選手は、埼玉西武の中村選手ただ一人。過去には2008年に46本塁打、2009年に48本塁打を放って3年連続30本塁打に王手を掛けたが、2010年には右ひじの手術で2か月以上も戦線離脱したことが大きく響き、25本塁打に終わって達成ならず。
今年はここまで11本塁打を放っているが、15日の広島戦の挟殺プレーの間に左膝を痛めて登録抹消。最短での復帰を目指しており、ここから残り約70試合ほどで19本塁打が必要になってくる。実際に過去2年の中村選手は、2014年の7月以降22本塁打。2015年の7月以降は16本塁打を放っており、ここからの19本塁打も不可能な数字ではない。
また自らの愛称でもある、1試合での複数本塁打=「おかわり弾」が今季はまだ一度もない。ここから少しでもたくさんの「おかわり弾」を放つことで、11年ぶりの記録は見えてくる。「パ」では2005年から遠ざかっている3年連続30本塁打達成なるか、中村選手の一発に注目していきたい。
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