9月16日、福岡ソフトバンクは史上最速のパ・リーグ制覇を果たした。優勝決定試合では、柳田選手とデスパイネ選手、勝ち頭の東浜投手など、今年のチームを象徴する選手の活躍で快勝を飾った。しかし、ここではあえて、渋い働きでチームを支えた「縁の下の力持ち」に焦点を当てたい。川島選手、福田選手、髙田選手。彼らの今季の活躍をまとめてみる。
甘いマスクと明るいキャラクターでチームを盛り立てる川島選手は33歳。九州国際大学を経て2005年ドラフトで3位指名を受け、北海道日本ハムに入団した。東京ヤクルトに移籍し、交換トレードで福岡ソフトバンクに。昨年限りで引退した金子圭輔氏から背番号「4」を譲り受け、若々しいプレーでファンを魅了している。
今季は75試合に出場して、101打数28安打5本塁打12打点、打率.277。1番でスタメン出場した試合では打率.351と適性を示しており、5月24日には今季第1号となる先頭打者本塁打も放った。また、左投手に対しては打率.306と突出した成績を残す。ポストシーズンでも、左キラーとしてチームの日本一に貢献したいところだ。
今季、取材を受ける甲斐選手の後方で足をもつらせ、ネットにぶつかる様子を映し出されたことでも話題を集めた福田選手は、平成元年生まれの28歳。多摩大附聖ヶ丘高校を経て、2006年のドラフトで1位指名を受け、福岡ソフトバンクに入団した。勝負強い打撃と高い走塁技術を誇り、32盗塁連続成功というプロ野球記録を持つ(参考記録)。
「2016 日本通運 クライマックスシリーズ パ」ファイナルステージで、1点を追う9回表、脚に死球を受けた直後に二盗と重盗を決め、チームの勝利を呼び寄せたシーンはファンの記憶に新しいだろう。今季6月25日の埼玉西武戦では、1点ビハインドの9回裏2死からサヨナラ弾を放つという大仕事も成し遂げた。
「たかだ」ではなく「たかた」と読む髙田選手はプロ5年目の27歳。亜細亜大学を経て2012年ドラフトで3位指名を受ける。今季、事実上のエースとしてチームをリーグ優勝に導いた東浜投手は亜細亜大学の同期であり、4年次には東浜投手が主将、髙田選手が副将を任されていた。不動の正遊撃手・今宮選手が疲労でスタメンを外れた際には、手堅く代役を務め上げている。
川島選手も福田選手も髙田選手も、先発出場より、代走や守備固めで試合途中から出場するケースの方が多い。しかし、半年間に渡る長いシーズン、誰もが常に万全のコンディションで戦えるわけではなく、一握りのレギュラーの選手たちには、怪我・疲労・不調など、数え切れないほどの不安がつきまとう。そしてその不安は、今季の福岡ソフトバンクに限っては想定以上の深刻さで現実のものとなってしまった。
しかし、そんなときこそ、彼らがベンチに控えているということの頼もしさをより痛感する。準備を怠らず、モチベーションを保ち、自らの仕事を果たす控え選手たち。試合終盤の緊迫した場面でこそ発揮される技は、圧倒的な強さを誇ったチームを陰日向に支えてきた。今季もまだ厳しい戦いは続く。負けられないポストシーズン、チームは彼らにどのような役割を求め、彼ら自身はどれほど正確にその求めに応じられるのか。あとわずか、注目してほしい。
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