9月19日の北海道日本ハム戦、楽天のアマダー選手が第1打席で上原投手の初球を捉えて左翼席に叩き込み、来日初となるシーズン20本塁打に到達した。チームメイトのペゲーロ選手は25本塁打、ウィーラー選手は27本塁打を記録している。同じチームの外国人選手トリオが1シーズンで20本塁打以上をマークするのは、プロ野球史上初の快挙だ。
3人の中ではもっとも長く楽天に在籍しているウィーラー選手は、4番を務めることも多い「チームの顔」の1人。攻守におけるガッツあふれるプレーと明るいキャラクター、そしてなにより「チームメイトからの信頼を得て、チームメイトを信頼したい」という言葉通りの真摯な姿勢で、チームメイトとファンに愛されている。今季の5月と6月には月間打率3割台をマークする好調な打棒で、チームの快進撃を支えた。
打線の主軸として存在感を発揮しつつ、ここまでチームトップの盗塁数を誇るなど、意外性も持ち合わせるウィーラー選手。8月から深刻な打撃不振に陥り、同時にチームも暗く長いトンネルに突入してしまったが、9月16日の千葉ロッテ戦で約1カ月ぶりのアーチを描き、自己最多タイとなる昨季の27本塁打に並んだ。これをきっかけに、ウィーラー選手自身の調子もチームの勢いも、良い方向に向かうことを期待したい。
来日2年目のアマダー選手は、今季はシーズン中盤までなかなか状態が上向かず、苦しい時期が続いたが、7月からは快音を連発する。昨季も8月に8本塁打と、「夏男」の実績があった。「今まで我慢して使ってもらった。コーチにも諦めずに指導してもらった」と周囲への感謝を口にし、その後もバットで首脳陣の期待に応え続けている。
7月22日のオリックス戦では球団史上初の3打席連続本塁打。翌日の試合でも打った瞬間それと分かる特大のサヨナラ弾を放った。8月も、歯車がかみ合わず苦しむチームの中で、月間打率.294と気を吐く。そして9月19日、ついに20本塁打の大台に到達。7月22日のお立ち台では今江選手に促され、スペイン語による初々しい「Burn!」も披露してくれた。
そして、同じく来日2年目のペゲーロ選手。5月27日の埼玉西武戦で見せた痛快な場外弾や、7月12日の福岡ソフトバンク戦の推定160メートル弾など、ペゲーロ選手にしかできない特大アーチは見るもの全てを魅了し、幾度となくチームを勢い付かせてきた。しかし、良い当たりではなくても一塁へ全力疾走し、内野安打を稼ぐ姿勢も、ペゲーロ選手の魅力の1つである。
実はペゲーロ選手の内野安打率はリーグ屈指。盗塁王も視野に入っている埼玉西武の源田選手と、僅差でリーグトップを争うほどだ。そんな意識の高さもあって、打率は現在.294と非常に高く、長打力と確実性を両立させている。7月の月間打率は.386を誇ったが、調子の波が小さいのも強みで、4月から8月にかけて、月間打率が.275を下回ることはなかった。
試合でチームに貢献できたときには、「神様のおかげだね」というコメントでもお馴染みのペゲーロ選手。7月23日に負傷離脱を余儀なくされ、復帰した現在も本来の調子を完全に取り戻しているとは言い難いが、いつでも全力疾走を怠らない姿勢を、「神様」は見ているはずだ。その豪快な打棒と「足」で、シーズン最終盤もチームを盛り立ててほしい。
打線に外国人選手3人を並べ、ペゲーロ選手に「超攻撃型2番」の役割を任せるなど、今季革新的な作戦を次々と打ち出し、昨季の5位から大躍進を果たした楽天。惜しくもリーグ優勝は逃してしまったが、その試みは確かに一定の結果を残し、他球団にも影響を与えた。
そして、チームが誇る同い年の外国人選手3人が、「20発トリオ」として日本球界の記録に名を残すことに。まだ順位は確定していないが、今季の経験は、来季以降必ずチームの糧になるだろう。「2017 ローソンチケット クライマックスシリーズ パ」突破に向け、これからも自慢の3選手が快音を響かせてくれることを、期待せずにはいられない。
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