一塁手は埼玉西武山川、北海道日本ハム中田の争いか
ベストナインに続いて守備のベストナインであるゴールデングラブ賞も発表される。こちらも記者投票だ。各ポジションの規定試合数以上の選手の守備成績を見ていこう。パ・リーグから。
守備成績は、もっとも数値化が遅れている部門だ。また、ポジションによって見るべき数字も変わってくる。ここでは発表されている各指標に加えて守備範囲の広さを示すRF(レンジファクター補殺+刺殺=守備機会を試合数で割った数値)も出す。
【一塁手】
山川穂高(西)
142試 14失策 守備率.990 併殺133 RF9.85
中田翔(日)
131試 3失策 守備率.998 併殺82 RF9.64
井上晴哉(ロ)
125試 10失策 守備率.992 併殺83 RF9.63
銀次(楽)
102試 2失策 守備率.997 併殺45 RF6.90
一塁手の守備機会は他の内野手からの送球を捕球する刺殺が大部分なので、RFはあまり重要ではない。出場試合数と失策数の少なさが重要だ。142試合で一塁を守った埼玉西武・山川穂高がRFは1位だが、失策数は14。北海道日本ハム・中田翔は131試合で一塁を守って失策数は3、確実性で中田とする。
【二塁手】
中村奨吾(ロ)
143試 6失策 守備率.993 併殺89 RF5.70
浅村栄斗(西)
142試 12失策 守備率.983 併殺99 RF4.87
福田周平(オ)
102試 4失策 守備率.990 併殺43 RF3.74
二塁手、三塁手、遊撃手は守備範囲を示すRFと併殺参加数が重要だ。千葉ロッテ・中村奨吾は、フル出場してRFは、埼玉西武・浅村栄斗より1近く上の5.70。これは1試合当たりアウトにした数が約1個多いということだ。中村で当確だろう。
【三塁手】
レアード(日)
118試 9失策 守備率.968 併殺16 RF2.30
鈴木大地(ロ)
138試 10失策 守備率.969 併殺23 RF2.29
松田宣浩(ソ)
143試 7失策 守備率.978 併殺26 RF2.16
北海道日本ハム・レアードは来日当初は守備範囲が広い三塁手だったが、最近はRFの数値が下落気味だった。今年はやや持ち直した。ただ出場試合数が少ない。RFがほぼ互角で、出場試合数が多い千葉ロッテ・鈴木大地とした。
盗塁阻止率.447と他を圧倒したホークス甲斐のキャノン砲
【遊撃手】
源田壮亮(西)
143試 11失策 守備率.986 併殺112 RF5.57
中島卓也(日)
131試 13失策 守備率.980 併殺68 RF4.85
藤岡裕大(ロ)
143試 14失策 守備率.979 併殺77 RF4.52
安達了一(オ)
140試 7失策 守備率.989 併殺69 RF4.41
今宮健太(ソ)
98試 11失策 守備率.972 併殺45 RF3.86
茂木栄五郎(楽)
98試 11失策 守備率.971 併殺48 RF3.78
パ・リーグは6球団とも遊撃手がほぼ固定されている。数字を見れば、埼玉西武・源田壮亮が圧倒的だ。RFで他の選手を圧倒しているうえに、併殺参加数もただ一人100を超えている。文句なしではないか。
【外野手】
田中和基(楽)
104試 2失策 守備率.992 補殺4 RF2.38
西川遥輝(日)
139試 3失策 守備率.991 補殺4 RF2.25
秋山翔吾(西)
143試 4失策 守備率.987 補殺4 RF2.05
柳田悠岐(ソ)
127試 3失策 守備率.988 補殺8 RF2.02
島内宏明(楽)
102試 1失策 守備率.995 補殺6 RF1.97
吉田正尚(オ)
123試 3失策 守備率.987 補殺2 RF1.83
金子侑司(西)
106試 1失策 守備率.995 補殺4 RF1.81
近藤健介(日)
95試 5失策 守備率.971 補殺2 RF1.74
大田泰示(日)
101試 0失策 守備率1.000 補殺2 RF1.7
上林誠知(ソ)
142試 3失策 守備率.987 補殺10 RF1.65
中村晃(ソ)
102試 0失策 守備率1.000 補殺2 RF1.32
岡島豪郎(楽)
102試 2失策 守備率.984 補殺2 RF1.18
外野手は試合数、守備範囲の広さを示すRFに加えて、外野からの送球で走者を刺した補殺に注目したい。RFは中堅手が大きくなり、右翼、左翼の順だ。ただ多くの球団では最も守備の良い外野手を中堅に据えている。新人の東北楽天・田中和基は守備範囲が広かった。ただ104試合は物足りない。RFが2.0を超えた北海道日本ハム・西川遥輝、埼玉西武・秋山翔吾、福岡ソフトバンク・柳田悠岐が順当だろう。福岡ソフトバンク・上林誠知はリーグ最多の10補殺。彼がこの3人に次ぐか。
【捕手】
甲斐拓也(ソ)
133試 8失策 守備率.991 捕逸4 盗阻率.447
高谷裕亮(ソ)
73試 0失策 守備率.1000 捕逸0 盗阻率.385
森友哉(西)
81試 5失策 守備率.991 捕逸5 盗阻率.373
田村龍弘(ロ)
143試 5失策 守備率.995 捕逸3 盗阻率.320
嶋基宏(楽)
112試 1失策 守備率.999 捕逸9 盗阻率.312
若月健矢(オ)
114試 2失策 守備率.997 捕逸2 盗阻率.306
鶴岡慎也(日)
89試 4失策 守備率.991 捕逸6 盗阻率.294
清水優心(日)
83試 3失策 守備率.994 捕逸0 盗阻率.241
山崎勝己(オ)
79試 2失策 守備率.994 捕逸2 盗阻率.120
捕手の守備機会の大部分は、打者の三振によるものなので、RFは参考にはならない。出場試合数、守備率と捕逸(パスボール数)、盗塁阻止率が重要だ。日本シリーズで「甲斐キャノン」が話題となった福岡ソフトバンク・甲斐拓也は失策数が最多で捕逸も4つあったが、盗塁阻止率.447は近年では出色。記者の票を集めるのは間違いないだろう。
【投手】
上沢直之(日)
25試 0失策 守備率1.000 RF1.44
岸孝之(楽)
23試 0失策 守備率1.000 RF1.13
則本昂大(楽)
27試 1失策 守備率.977 RF1.59
マルティネス(日)
25試 1失策 守備率.977 RF1.68
涌井秀章(ロ)
22試 1失策 守備率.974 RF1.73
多和田真三郎(西)
26試 1失策 守備率.974 RF1.42
西勇輝(オ)
25試 1失策 守備率.974 RF1.48
山岡泰輔(オ)
30試 2失策 守備率.935 RF0.97
菊池雄星(西)
23試 5失策 守備率.848 RF1.22
投手はもともと守備機会が少ないため、失策数程度しか根拠となる指標がない。毎年の投票は、フィールディングの俊敏さなど印象で選出されている。昨年は菊池雄星が選ばれたが、最多の5失策はいただけない。守備率10割の2人のうち、守備機会が多かった北海道日本ハム・上沢直之としたい。
ゴールデングラブ賞 パ・予想 数字は、選出された場合の通算受賞回数
一塁手 中田翔(北海道日本ハム)3
二塁手 中村奨吾(千葉ロッテ)初
三塁手 鈴木大地(千葉ロッテ)初 ※鈴木は二塁手で1回受賞
遊撃手 源田壮亮(埼玉西武)初
外野手 西川遥輝(北海道日本ハム)2
外野手 秋山翔吾(埼玉西武)6
外野手 柳田悠岐(福岡ソフトバンク)4
捕手 甲斐拓也(福岡ソフトバンク)2
投手 上沢直之(北海道日本ハム)初
北海道日本ハム3人、千葉ロッテ、埼玉西武、福岡ソフトバンクが2人という布陣となった。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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