球団の気持ちを具現化 斬新なアイデアが詰まった北海道日本ハム新球場の“設計秘話”

Full-Count 石川加奈子

2018.11.6(火) 14:14

北広島市内で2023年3月に開業予定の北海道ボールパーク※写真提供:Full-Count(画像提供:北海道日本ハムファイターズ)
北広島市内で2023年3月に開業予定の北海道ボールパーク※写真提供:Full-Count(画像提供:北海道日本ハムファイターズ)

2023年3月開業予定の新球場、世界中のどこにもないユニークなボールパークに

 北海道日本ハムファイターズと北海道ボールパーク(HBP)は5日、札幌市内で記者会見を行い、2023年3月開業予定の新球場(仮称:北海道ボールパーク)の概要を発表した。

 きたひろしま総合運動公園(北広島市共栄)に建設予定の新球場は、約3万5000人収容の開閉式屋根の天然芝フィールドで、建設費用は約600億円(球場周辺外構部及び球場内設備・機器等を含む)を予定している。

 世界中のどこにもないユニークなボールパークを目指す新球場は、切妻屋根が特徴的な外観となっている。センター後方に設置する70メートル×180メートルの巨大なガラス(グラスウォール)も斬新なアイデアだ。将来的には、このグラスウォールをビジョンとして活用することも想定しており、実現すれば、世界最大のビジョンになる。

 設計施工を担当するのは、14社8グループによるコンペを勝ち抜いた大林組と米国を拠点とするHKS。今年3月から対話を重ね、球団の希望を最大限具現化した。大林組の矢野基札幌支店長は「こちらの案を押し付けるのではなく、あの地に、ファイターズさんの思いを十分反映したデザインというのは何だというところからスタートしました」と振り返る。

 最初のキーワードは「北海道のこの場所にしかないもの」だった。北海道の開拓からの歴史を調べることから始まり、積雪地帯で取り入れられている切妻屋根のアイデアが生まれた。

HKSの担当者は「ファイターズさんの気持ちを具現化したと思っています」

 2つめのキーワードは「あの場所が求めているもの」。大自然の中に広がる広大な敷地の中で、周囲の自然と融合する形を探っていった。グラウンド部分を最大20メートル掘り下げて地下1階に設置。球団が希望した360度コンコースを1階部分に置くことによって、球場の内側と外側が視覚的にも物理的にも同じレベルでつながった。グラウンドを低くすることで、巨大な建物の威圧感を減らす狙いもある。

 HKSの担当者は「沢や森があって、サイトの条件が全部違うので、対象的なドームではなく、見る角度によって全然形が違います」と説明する。センター方向の奥には沢があり、その緑を最大限生かすために、センター後方には巨大なグラスウォールを設置した。バックネット裏の奥は森が広がり、プライベート空間として、選手やVIP入り口、球団事務所など設ける。車での来場者と電車での来場者にもそれぞれ分かりやい外観を意識し、4面の違う顔が出来上がった。

「いろんな線が重なって、いろんな思いやアイデアが一つ一つ積み重なって出来たのが今のデザイン。我々がデザインしたというよりは、ファイターズさんの気持ちを具現化したと思っています」とHKSの担当者。新球場は2020年春に建設着工し、23年1月竣工、3月開業を予定している。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

記事提供:Full-Count

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