何かやってくれる期待感を持たせてくれる大谷、ボー・ジャクソンらと同じ資質
エンゼルス大谷翔平は、打席に入る、あるいはマウンドに立つと「何かやってくれる」という期待感を抱かせる選手だ。それは、MLBのスター選手の資質だと、エンゼルス戦テレビ中継の解説者をつとめたMLB132勝のエンゼルスOB、マーク・グビザ氏は言う。
DAZNではオフの新番組「Home of Baseball」の配信を2日から開始。第1回は大谷の特集で、投手編(2日から)、野手編(9日から)に分けてルーキーイヤーを様々な角度から分析している。日米通算2148安打、484本塁打のアンドリュー・ジョーンズ氏、エンゼルスOBで現在はオリックスのシニアアドバイザーを務める長谷川滋利氏、元レイズ(デビルレイズ)の岩村明憲氏らが登場する中、グビザ氏は大谷が周囲に与えている有形無形の影響、スター性について語っている。
グビザ氏は大谷に何度かインタビューをしたこともあるが、あまり野球のことは話さないそうだ。仲良しのチームメートは投手陣だとアンドリュー・ヒー二―、野手だとアストロズにトレードされた捕手のマーティン・マルドナード、そしてチームの支柱であるマイク・トラウトだという。トラウトと大谷のコンビは、グビザ氏も「素晴らしいことです。私は地球上で最も優れた2人の選手を、1試合で同時に見ることができるのです。特に2人が打順で、2番と3番、あるいは3番と4番というように、並んで打つのを見られるなんてね。見ていて本当に楽しい打順ですよ」と、ファン目線で熱く語る。
グビザ氏は現役時代に在籍したロイヤルズで、ボー・ジャクソンやジョージ・ブレットといったスーパースターとともにプレーしている。彼らが練習を始めると、自分がどこで何をしていても、見惚れるばかりだったという。
「彼らが打席に入ると、全員動きを止めたものでした。何をしていてもね。とにかく彼らの動きを見る。今、同じことがオオタニとトラウトのコンビに言えます。バッティングをしていても、ピッチングをしていてもね。私は動きを止める。私は彼らのプレーを見ることができてとても幸せです。バッティング練習中も同じで、彼らの練習を見るために私はフィールド内を走っていくんです」
現役時代にともにプレーしたスーパースターたちと同じスーパースターの資質を、大谷とトラウトから感じている。
特に、大谷の打撃練習を見るのは楽しみだという。今シーズン、ロッキーズとの交流戦で、高地にあって空気が薄く、ボールがよく飛ぶことで有名なデンバーのクアーズ・フィールドでの打撃練習では、ポンポンと3階席までボールをかっ飛ばした。「これまで、そんな選手を見たことがなかった。みんな、唖然として驚いていました。だから、ビジター球場にも練習を見に来るお客さんが大勢いるんです。それは、私の時代で言うとマ―ク・マグワイアやホセ・カンセコ、ボー・ジャクソンのバッティング練習と同じです」というほど、その飛距離とパワーに惚れ込んでいる。
オンリーワンの存在感、意図しないまま観客を熱狂させるスター性
投球、打撃ばかりではない。グビザ氏は、大谷の足の速さにも魅了された。「現役時代を含めて、足の速い選手を何人も見てきました。オオタニの足があんなに速いと思わなかったですよ。ストライドがちょうどいいのでそれほど速く見えないのですが、非常にスピードがあるので2桁の盗塁もマークできた。見事ですよ」。いつも一緒にいるトラウトでさえ、グビザ氏と話した時に「オオタニのプレーは信じられない」と言っていたという。
「ピッチャーでありながら、ホームランも打ち、盗塁も決める。そして投げるボールは160キロ。こんなこと、他に誰ができるのか? オオタニが見せてきたプレーは、普通できないプレーです」
グビザ氏は、オンリーワン、他の人にとてもできないことをやってのけるのが、大谷の唯一無二の魅力だと語る。
4月8日の本拠地初登板は、グビザ氏にとってもっとも印象に残っている試合だという。満員の球場で、大谷が158キロ、159キロ、161キロ、163キロとビシビシ剛球を投げ込むと、満員のスタンドの空気が変わったという。
「オオタニは絶好調で、最後のアウトの時にガッツポーズをしたのを覚えています。きっと満員の観客が彼を応援しているのを感じたのでしょう。まるでチームメイトかのようにね。あんなに盛り上がった日曜午後の試合を見たのは初めてのことでした。私も彼が投げる試合の前に、解説の準備をしている時、毎回『オオタニは今日、ノーヒットノーランをするかもな』」と思うんですよ」
選手もファンも巻き込んでの盛り上がりは、まぎれもなく大谷が意図しないまま作り上げた熱狂だった。
(Full-Count編集部)
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