11月3日、マツダスタジアムで行われた福岡ソフトバンクと広島の「SMBC日本シリーズ 2018」第6戦は、2対0で福岡ソフトバンクが勝利。4連勝で2年連続9度目となる日本一の栄冠に輝いた。試合後には共同記者会見が行われ、工藤監督、柳田選手、甲斐選手が出席し、2年連続で頂点にたどり着いた喜びを語った。
以下は共同記者会見の全文。
-クライマックスシリーズのファイナルステージでの胴上げはありませんでしたが、選手たちの思いが込められた15回の胴上げをされながらどんなことを感じていましたか。
(工藤監督)選手たちの手のぬくもりというか、感触がすごく残っていて。1年間、こんな私を支えてくれてありがとうという思いで、胴上げを噛み締めていました。
-クライマックスシリーズのときはビール掛けに参加されませんでした。この後はどうされますか。
(工藤監督)今日は少しだけ参加させていただきたいと思います。
-球団初となるリーグ2位からの日本一となりましたが、この結果をどのようにとらえられていますか。
(工藤監督)本当にシーズンの最後の12連戦から間もなくクライマックスシリーズが始まり、そしてファーストステージ、ファイナルと、スケジュールが厳しい中で選手たちは本当によく頑張ってくれたと思います。
ファイナルでは2位という悔しさを持ってしっかりと戦ってくれてなんとか勝つことができましたし、日本シリーズになんとしてでも出ようという思いと、最終的な目標は日本一になることだと選手たちにも伝えて。選手が何よりも勝ちたいという思いを持って日本シリーズを戦ってくれたことが僕にとって幸せですし、選手たちに心から感謝したいと思います。
-日本一を達成した現在の思いはいかがですか。
(工藤監督)本当に選手たちがよくやってくれたと。そして選手たちを支えてくれたコーチの皆さん、球団スタッフ、裏方の皆さん、そして球団幹部の皆さん。多くの人たちの支えがあっての日本一だと思っていますし、今選手に聞いたら満身創痍で、どこも悪くないという選手が少ないくらいでも皆が集中して、勝つんだという思いを持って戦ってくれたことを本当に誇りに思っていますし、選手には感謝しかないです。
-クライマックスシリーズからそうでしたが、日本シリーズでも選手起用や継投など、積極的に動く采配が印象的でしたが、どのような思いが込められていたのでしょうか。
(工藤監督)勝ちたいという思いを選手たちにも伝えましたし、コーチの皆さんにも伝えた上で、どんな方法があって、どういう風にやっていったらいいかということを話しながら。選手起用の面でも苦渋の決断、内川くんのように、ほとんどバントをしたことがない選手に対してバントをしてもらい、頭の下がる思いでいましたし、選手には苦しい思いをさせたかもしれないです。
ただ何といっても勝ちたいという思いを伝えた上で、ピッチャーに対しては第2先発を作った方がいいだろうと。コーチと毎日毎日ミーティングを重ねて、どういう順番で、どういうシチュエーションでということも含めてしっかりと話ができたことが日本一という素晴らしい結果に結びついたと思っています。
-監督の采配に見事に応えてくれる選手たちのプレーを見てどのように感じられていましたか。
(工藤監督)本当にすごいなと。鳥肌が立つくらい、苦しい状況の中で打者を抑えるために必死に投げてくれる選手たち。何とかして打とうと思ってくれている選手たち。僕自身も選手たちのコンディショニングというのはトレーナーから聞いていましたが、ギリギリのところで歯を食いしばって選手たちがやってくれた、我慢してくれた、耐えてくれたという思いが伝わってきました。感謝をし、こんな僕を15回も胴上げしてくれた選手たちに心からありがとうと言いたいです。
-4勝1敗1分け、一つしか負けなかったわけですが、試合の内容としては紙一重のゲームが多かったと思います。そのうえで広島を上回ることができたという要因はどのように感じられておりましたか。
(工藤監督)どっちに転んでもおかしくないというゲームがあり、負けてもおかしくないというゲームもありました。そこで、最後の踏ん張りというものが選手の中にもあり、シーズン2位で終えたという悔しさもある中で俺たちは日本一になるんだという強い思いが最終的にほんのわずかに上回ったのではないかなと思います。
-セリーグ3連覇の広島と対戦していてどのように感じられておりましたか。
(工藤監督)走攻守において隙がなかなか見つからないというチームでしたし、特にこの日本シリーズに関しては先発だけでなく、救援陣も球が速くて特徴のあるピッチャーがたくさんいました。野手からすれば打つのが至難の業と思えるくらいの素晴らしいボールを投げるピッチャーがたくさんいました。
そんな中でもしっかりと見極めて塁に出て、何とかしようという姿を見ることができて幸せだったのと、こういう結果で僕らはここに座ることができていますが、紙一重なところなので、結果が違っていたとしても不思議ではないくらい広島さんは強くて、まとまっていて、素晴らしいチームでした。
-延長戦が2度あった、非常に濃密な6試合だったと思うのですが、印象に残っているシーンなどがありましたら教えてください。
(工藤監督)まずはMVPを取った甲斐くんのセカンドへの素晴らしい送球。本人にも話しましたが、取ってから2塁に投げるまでがシーズンよりも速かったのではないかと思えるくらい。多分実際に速かったと思います。アウトになった広島の選手が不思議な顔をしているくらい、皆さんの中で甲斐キャノンと言われている送球が素晴らしいレーザービームで。刺したのは印象に残っています。
苦渋の決断ではありましたが、内川くんにバントをしてもらったところでも、快くバントをしてくれた内川くんに感謝をしたいですし、松田くんは外れることもありましたが、それでもベンチの中で一生懸命声を出して、選手たちを鼓舞してくれたところもたくさん見ました。ゲームに出ていなくても出ているつもりで、一生懸命勝つために、チームのためにという思いでやってくれた選手を見てうれしかったです。
柳田くんのあのサヨナラホームランは、バットを折りながら打ってくれたこと。そしてさすが4番というバッティングをしてくれたこと。1年間、4番という打順で大変だったと思いますが、最後の最後まで集中力を切らさずに、しっかりと頑張ってくれてうれしく思っています。
-選手にいる全ての選手で勝ち取った日本一だと思いますが、あらためてホークスの強さはどんなところにあるでしょうか。
(工藤監督)常に私は明るく元気に、そして野球は楽しく真剣にと言ったことでベンチの中は明るいですし、楽しめよという声もありました。その中でも勝つために真剣になって、バッターに向かっていく、ピッチャーに向かっていくというところが出た1年だったのではないかなと思います。
-今日もマツダスタジアムに来てくれたファン、そしてヤフオクドームのパブリックビューイングには1万5000人を超えるファンが集まったそうです。そのファンに向けてメッセージをお願いします。
(工藤監督)たくさんのファンが応援して背中を押してくれたことが選手に勇気を与えてくれたと思いますので感謝をしたいですし、ヤフオクドームに来てくださったファンの皆さん。そして全国で応援をしてくださったファンの皆様に心から感謝を申し上げたいです。そして皆様に日本一の報告ができることをうれしく思います。本当にありがとうございます。
-今日の試合の先取点をスクイズで取られた点については。
(工藤監督)もう迷いなく、まずは先制点を取りたいという思いでスクイズというサインを出しました。相手のジョンソン投手は非常にいい投手ですし、点が取れるときに取っておかないとなかなか連打で点を取るのが難しいと考えていました。そしてうちのペースで試合を進めていきたいという思いでスクイズをさせていただきました。
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