東北楽天・西巻は侍ジャパンU-23に選出
ドラフト1位、2位指名の選手はもちろんのこと、ファンにとってうれしいのは、ドラフト下位や育成出身の選手が1軍で活躍することではないだろうか。素材を見極めるスカウトの目が試されるとも言われる、ドラフト下位指名の選手たち。昨年、4位以下の指名ながら1軍でプレーし、活躍を見せた選手たちをピックアップしてみた。
〇巨人5位 田中俊太内野手
99試合 打率.241 本塁打2 打点12 出塁率.311 得点圏打率.256
広島のリードオフマン・田中広輔の弟。兄を追ってプロの世界に身を投じ、下位指名ながら1年目から巨人の泣き所でもある二塁手のポジション争いに参戦。ライバルの2016年ドラフト1位・吉川尚が8月1日の横浜DeNA戦で左手を骨折して離脱した(この時は坂本が離脱していたため、吉川尚は遊撃だった)のに対し、田中は「2番・二塁」に定着。吉川尚のほか、マルティネスや山本といったライバルをも一歩リードした。
特に10月はレギュラーシーズン3試合ながら14打数7安打、打率.500。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージも2試合で7打数3安打2盗塁と結果を出した。CSでも史上初の広輔との兄弟対決が実現。このままレギュラーに定着すれば、巨人の足りないピースを埋める存在となるのは間違いない。
〇福岡ソフトバンク育成4位 大竹耕太郎投手
11試合(先発8)3勝2敗 防御率3.88 48回2/3 奪三振36 失点21
8月1日の埼玉西武戦で育成出身として初めてとなるプロ入り初登板初勝利をマーク。その後も、先発投手陣の好不調の波が大きい福岡ソフトバンク投手陣の中で、首位を追撃する大事な時期にローテーションの一角を占め存在感を見せた。
9月16日の埼玉西武との天王山では1回2/3、8失点KOと苦い経験もしたが、現在は離脱中の早大の先輩・和田や杉内、大隣とともに左腕王国を築いた福岡ソフトバンク投手陣。その後継者としての第一歩を踏み出した。
高卒ルーキーで1軍出場を果たした東北楽天・西巻
〇東北楽天6位 西巻賢二内野手
25試合 打率.247 本塁打0 打点3 出塁率.275 得点圏打率.154
俊足好打の内野手として、6月にウィーラーの故障で初の1軍昇格を果たし、フレッシュオールスターにも出場。高校日本代表に選ばれた野球センスでルーキーイヤーから活躍。2015年ドラフト7位の村林一輝と若い二遊間を組んだ試合もあった。
第2回WBSC U-23ワールドカップに出場する侍ジャパンU-23にも選出されており、東北楽天のみならず、日本を代表する遊撃手に成長することを期待されている。
〇オリックス5位 西村凌捕手
31試合 打率.193 本塁打2 打点8 出塁率.217 得点圏打率.217
6月8日の交流戦・東京ヤクルト戦(神宮)で先制のプロ1号2ラン本塁打を放ち、8月3日の福岡ソフトバンク戦で左翼席中段まで飛ばす2号本塁打。持ち味の長打力を見せた。
捕手登録だが、社会人時代から強肩を生かした外野手としての出場が多く、プロでは「1番・右翼」としてスタメンにも起用された。パンチ力のあるリードオフマンは貴重だけに、来シーズン以降のレギュラー定着も十分期待できるルーキーイヤーだった。
〇オリックス8位 山足達也内野手
25試合 打率.167 本塁打1 打点7 出塁率.286 得点圏打率.250
高校時代から大型内野手として活躍。開幕1軍を勝ち取り、開幕戦の福岡ソフトバンク戦でプロ初安打も記録した。
4月3日の千葉ロッテ戦で左ひざに裂傷を負って2軍落ちしたが、9月7日の福岡ソフトバンク戦では1軍昇格即「1番・三塁」でスタメン出場。3回に1号3ラン本塁打を放つ活躍を見せた。初安打、初本塁打ともに福岡ソフトバンク・千賀からの一打。西野、安達、大城、福田らオリックスの内野陣のレギュラー争いに、来年こそ参戦したいところだ。
〇千葉ロッテ4位 菅野剛士外野手
53試合 打率.176 本塁打2 打点18 出塁率.306 得点圏打率.167
開幕1軍に名を連ね、開幕戦の東北楽天戦ではドラフト2位の藤岡裕大内野手とともにスタメン出場。プロ初安打も記録し、お立ち台にも上がるなど、上々のデビューを果たした。しかし、その後数字を落とし、5月に入って2軍降格。その後も何度か1軍を経験しているが、まだ定着には至っていない。
しかし、開幕3連戦で則本、美馬らを打ち込んだように、素材のよさは一級品。千葉ロッテの外野は伝統的に守備のいい選手が多く、競争は激しいが、打撃の確実性を上げて来季は1軍定着を目指したい。
阪神・島田はシーズン終盤でプロ初打点となるサヨナラ打をマーク
〇阪神4位 島田海吏外野手
12試合 打率.200 本塁打1 打点1 出塁率.222 得点圏打率.250
50メートル5秒7の俊足を誇り、開幕1軍入りしたが、4月8日に2軍落ち。しかし、ウエスタン・リーグではリーグ2位の26盗塁をマークし、シーズン終盤の9月に1軍に再昇格。23日の横浜DeNA戦(甲子園)では、延長10回にプロ初打点となるサヨナラ打を放ち、お立ち台にも上がった。
来シーズンから、2軍監督だった矢野耀大氏が1軍監督になるだけに、打撃がパワーアップすれば、糸井、福留とフル出場が難しいベテランの多い外野陣の一角に飛び込む可能性も十分。大先輩の赤星憲広のようなスピードスター誕生の期待も高まる。
その他、4月に2戦連続本塁打を放った横浜DeNAドラフト7位・宮本秀明、8月に1軍昇格し、スタメン出場、プロ初安打(8月9日・阪神戦)を放った巨人・若林晃弘内野手なども、来季の飛躍が期待される。昨年は阪神5位・糸原健斗、東北楽天9位・高梨雄平、埼玉西武5位・平井克典などの“大当たり”が出たが、今年活躍した2017年ドラフト下位指名選手も、来シーズン以降の成長が楽しみだ。
(Full-Count編集部)
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