2015年のドラフト1位・埼玉西武多和田は16勝を挙げ最多勝を獲得
来たる10月25日、都内のホテルで2018年度のドラフト会議が行われる。今年は、甲子園準優勝で“金農旋風”を巻き起こした吉田輝星投手をはじめ、根尾昂、藤原恭大、柿木蓮、小園海斗と、高校生に注目株がズラリ。大学生でも上茶谷大河、甲斐野央、梅津晃大、松本航といった本格派投手が1位候補に名前が挙がっている。
一体、各球団がどの選手に入札し、どれほどの重複指名が生まれるのか。例年、大きな注目を集めるドラフトだが、選手にとって大事になるのは、入団してからの方。高卒選手ならばじっくりと育てられ、3年、5年経った頃に1軍の戦力となってくれることを期待される。一方で大卒や社会人出身の選手は、やはり即戦力として1年目から働くことが期待される。
では、12球団が過去5年間で指名したドラフト1位の選手たちは今季どれほどの成長を見せ、どれだけ活躍したのだろうか。ドラフト1位をどれだけ戦力として育て上げたのか、各球団の“ドラ1力”を見てみよう。今回はパ・リーグ6球団だ。
◯埼玉西武
2013:森友哉(136試合473打数130安打16本塁打80打点 .275)
2014:高橋光成(3試合2勝1敗0セーブ0ホールド 4.50)
2015:多和田真三郎(26試合16勝5敗0セーブ0ホールド 3.81)
2016:今井達也(15試合5勝5敗0セーブ0ホールド 4.81)
2017:齊藤大将(16試合1勝3敗0セーブ1ホールド 7.02)
◯福岡ソフトバンク
2013:加治屋蓮(72試合4勝3敗0セーブ31ホールド 3.38)
2014:松本裕樹(6試合1勝2敗0セーブ0ホールド 3.45)
2015:高橋純平(1試合0勝0敗0セーブ0ホールド 12.00)
2016:田中正義(10試合0勝1敗0セーブ0ホールド 8.56)
2017:吉住晴斗(1軍出場なし)
◯北海道日本ハム
2013:渡邉諒(60試合161打数39安打7本塁打14打点 .242)
2014:有原航平(20試合8勝5敗2セーブ1ホールド 4.55)
2015:上原健太(10試合4勝0敗0セーブ0ホールド 3.13)
2016:堀瑞輝(10試合2勝3敗1セーブ1ホールド 5.86)
2017:清宮幸太郎(53試合160打数32安打7本塁打18打点 .200)
◯オリックス
2013:吉田一将(58試合3勝4敗0セーブ21ホールド 3.83)
2014:山崎福也(7試合0勝1敗0セーブ0ホールド 4.57)
2015:吉田正尚(143試合514打数165安打26本塁打86打点 .321)
2016:山岡泰輔(30試合7勝12敗0セーブ4ホールド 3.95)
2017:田嶋大樹(12試合6勝3敗0セーブ0ホールド 4.06)
◯千葉ロッテ
2013:石川歩(21試合9勝8敗0セーブ0ホールド 3.92)
2014:中村奨吾(143試合552打数157安打8本塁打57打点 .284)
2015:平沢大河(112試合291打数62安打5本塁打32打点 .213)
2016:佐々木千隼(1軍出場なし)
2017:安田尚憲(17試合53打数8安打1本塁打7打点 .151)
◯東北楽天
2013:松井裕樹(53試合5勝8敗5セーブ11ホールド 3.65)
2014:安楽智大(2試合0勝2敗0セーブ0ホールド 10.13)
2015:オコエ瑠偉(44試合111打数22安打2本塁打6打点 .198)
2016:藤平尚真(14試合4勝7敗0セーブ0ホールド 4.43)
2017:近藤弘樹(9試合0勝2敗0セーブ0ホールド 6.83)
2013年のドラフト1位・福岡ソフトバンク加治屋は今季ブレーク
埼玉西武とオリックスがパ・リーグでは最もドラフト1位選手が1軍の戦力になっていると言えるだろうか。今季、10年ぶりにパ・リーグ制覇を成し遂げた埼玉西武は2013年の森が「打てる捕手」として成長を遂げている。昨季までは指名打者での出場が多かったが、今季は捕手としてもチームトップの81試合に出場した。多和田は最多勝に輝き、今井もローテを担えるだけの素質があることを感じさせた。2017年の齊藤大も課題の制球を改善できれば、面白い存在だ。
オリックスは近年のドラフト1位がきっちりと1軍でプレーしている。特に2015年の吉田正は今季初の全試合出場を果たして打率.321、26本塁打と球界でも指折りの打者に成長した。2013年の吉田一も中継ぎとしてまずまずの成績を残した。山岡はリーグワーストタイの12敗を喫したものの、ローテを担い、その素質には非凡さを感じさせる。田嶋は故障で離脱したものの、前半はローテの柱として活躍。来季以降にも期待だ。
この2球団に続くのが千葉ロッテか。2013年の石川は昨季大不振に陥ったものの、今季は復調。2桁勝利には届かなかったものの、9勝をマークした。2014年の中村も今季はチームの中心選手に成長。打率.284、リーグ2位の39盗塁をマークした。平沢も準主力に。2017年の安田は2軍でしっかりと育成のために出場機会をもらい、1軍でもプロ初本塁打を放っており、来季以降、楽しみな存在だ。
育成に定評のある北海道日本ハムは、まずまずの“ドラ1力”といったところか。今季は渡邉が二塁手として出場機会を増やし、上原や堀も1軍で登板機会を得て、来季以降に繋がるシーズンとなったはず。有原はいまひとつの成績で奮起して欲しい。そして、清宮。1年目は7本塁打だったが、やはり大器の片鱗は至る所で感じさせており、今後に大いに期待である。
東北楽天は、今季は不振に苦しんだが松井裕はチームに不可欠な存在。藤平もローテ投手として育ってきている。その一方で安楽、オコエが伸び悩んでいる印象だ。2017年の近藤は9試合に投げて0勝2敗と、即戦力とはいかなかった。
最も近年のドラフト1位で結果に繋がっていないのは、福岡ソフトバンクか。今季はようやく2013年の加治屋が戦力に。セットアッパーとして72試合に投げて31ホールドをマークした。ただ2014年の松本裕、2015年の高橋純、2016年の田中は前評判とは対照的に、台頭してきていない。とはいえ、松本裕と高橋純、そして2017年の吉住は高卒で将来性重視の指名。社会人出身の加治屋の台頭が5年目になったように、来季以降、戦力になってくれれば“良し”といえるか。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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