
2026年8月19日・20日、台湾プロ野球(CPBL)・味全ドラゴンズが主催する試合で、「鷹祭 SUMMER BOOST 2026 in Taipei」が開催された。
徐若熙投手の福岡ソフトバンクホークス加入をきっかけに深まった両球団の交流を背景に、2025年に締結した戦略的パートナーシップの一環として、ホークスの夏を代表するイベント「鷹祭 SUMMER BOOST」の世界観を台湾で表現した。当日は多くのファンが駆けつけ、台北ドームを埋め尽くした。
今回、球団の事業とベースボールオペレーションの双方を統括する味全ドラゴンズの丁仲緯GMがインタビューに応じ、大盛況となったイベントの熱気と、その根底にある球団経営・育成の哲学を語った。


「1+1」を「2以上」へ。文化の融合が創り出した新しい球場体験
「今回の取り組みは、2026年から2028年までの3年間にわたる福岡ソフトバンクホークスと味全ドラゴンズの戦略的パートナーシップ協定に基づくものです。球団経営をはじめ、チーム間の交流や人材育成など、高度で戦略的な協力体制が含まれています」と丁仲緯GMは切り出す。
今回のパートナーシップについて「球団経営を良くするだけにとどまらず、野球が好きな人々がさらに野球を愛するようになることを目指しています」と強調するGM。ホークス側の誠実でプロフェッショナルな姿勢に深い感謝を示しつつ、台湾初開催となった「鷹祭 SUMMER BOOST」の意義について次のように想いを明かした。
「単に鷹祭 SUMMER BOOSTを台湾に持ち込むことだけが目的ではありません。日本側のプロフェッショナルなエンターテインメント演出や緻密な設計と、台湾側の熱狂的な応援文化やファンの高い参加意欲が組み合わさることで、まったく新しい球場体験を創出できると考えました。双方の良さを引き出し合って、『1+1』を『2以上』に昇華させることが私たちの目標でした」
和田毅氏が見せたトップアスリートの姿
その狙いは見事に現実のものとなった。イベント初日(19日)の入場者数は17,018人を記録し、平日における台北ドームの最多動員記録を更新。スタンドには、コラボユニフォームをまとったファンによる圧巻の光景が広がった。
「数字的な成果も目覚ましいですが、それ以上にさまざまなファンが一堂に会し、このイベントを一緒に体験している光景そのものが何より感動的でした。年齢の異なる方々や、普段は違うチームを応援しているファン同士が、同じ特別ユニフォームを着て一丸となって応援してくれたのです」とGMは当日のスタンドの熱気を振り返る。
また、ホークスOBとして始球式や野球教室に登壇した和田毅氏の存在も、球団全体に大きな刺激を与えたという。
「和田さんは誰に対しても非常に親しみやすく接してくださり、トップスターでありながらその温かいお人柄を誰もが実感できました。一方で、ご自身に対して非常にストイックで自律されており、あらゆる細かい部分にまで配慮を行き届かせておられました。プロ意識に関しては一切の妥協がありません。チーム全体にとって、間近でトップの姿を学べる素晴らしいお手本となりました」
「記憶の象徴」としてのユニフォームとビジネスの真意
今回のイベントでは、2日間で計27,000枚の限定コラボユニフォームが配布され、台北ドーム近くの商業施設でのポップアップストア展開も含めて大盛況を博した。マーケティング面の成果についてGMは、数字の先にある「ファンの体験」を見据えている。
「このユニフォームを単なる配布物やグッズとして終わらせたくはありませんでした。将来ファンがこのユニフォームに袖を通すたびに、この2日間の思い出を振り返れるような『記憶の象徴』にしたいと考えてデザインしました。こうした各種グッズや動員数の高い評価は、国際的な連携や文化交流に確かな市場価値が存在することの証明になりました。
しかし私たちが何より重視しているのは、ファンがこの体験を通して野球の楽しさを実感し、今後も球場へ足を運び続けてくれるようなきっかけを作ることなのです」
古久保コーチの「専門性と人間性」、そして日本人選手がもたらす「自律心」
話がベースボールオペレーション(現場の編成・育成)に及ぶと、GMの語り口はさらに熱を帯びた。現在、一・二軍巡回統括コーチとしてチームの組織育成を担い、長年台湾で指導者として活躍する古久保健二氏の存在について、GMはその人柄と手腕を絶賛する。
「古久保コーチに関しては、第1に野球における卓越した専門知識を持っておられ、日本野球ならではの緻密で厳格なトレーニング計画や指導方針をもたらしてくれています。そして第2に、彼のお人柄として選手たちとの距離が近く、コミュニケーションや調和を図るのが非常に巧みです。選手との距離感を実に近く保たれています。この『高い専門性』と『人間性』という二つの大きな強みを生かしていただくため、一、二軍を横断する巡回コーチをお願いしています」

さらに、近年CPBLへ挑戦する日本人選手たちがリーグ全体に与えている好影響についても言及した。
「CPBLの歴史において、外国人選手が参加して切磋琢磨することは、リーグ全体の技術向上に常に大きく寄与してきました。特に日本人選手たちが強い印象を残しているのは、プレーの技術だけでなく、野球に向き合う姿勢や自己管理の徹底ぶり(自律心)が非常に素晴らしいからです。台湾の選手たちにとっても非常に見習うべき点が多く、こうした多様な人材が交流し合う動きを、私たちは非常に前向きかつ歓迎すべき流れだと捉えています」
台湾や日本のファンへの感謝「共に一つのストーリーを完成させた」
インタビューの締めくくりとして、GMは台北ドームに駆けつけたファンや日本の野球ファンに向けて感謝のメッセージを贈った。
「今回、台北ドームに足を運んでくださったすべてのファンの皆様に心から感謝いたします。皆様の熱い参加があってこそ、この試合は単なるイベントを超えて、ホークスと味全ドラゴンズの素晴らしい融合となり、共に一つのストーリーを完成させることができました」
台北ドームで生まれた熱狂は、日台の野球界の未来へと確実に広がっている。両球団のパートナーシップは、興行の成功という枠を超え、日台野球交流の新しい時代を刻み始めている。
