「勝って当たり前の立場が…」 元ホークス斉藤和巳氏が振り返るCSの「重圧」

Full-Count 篠崎有理枝

2018.10.13(土) 09:58

今年のCSについて語った元福岡ソフトバンクの斉藤和巳氏※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
今年のCSについて語った元福岡ソフトバンクの斉藤和巳氏※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

自身はポストシーズンで4度先発も勝ち星なし「プレッシャーが」

 今季のクライマックスシリーズ(CS)が13日、ついに開幕を迎える。2005年と2006年のプレーオフで計3試合、2007年のCSで1試合と、ポストシーズンでは4試合先発を務めた経験を持つ元福岡ソフトバンクの斉藤和巳氏に、短期決戦を戦う難しさや、今年のCSについて話を聞いた。

 2003年と2006年と2度にわたり沢村賞を受賞している斉藤氏だが、ポストシーズンでは一度も勝利投手になることはなかった。「勝って当たり前」と思われるプレッシャーに加え、ポストシーズンで勝っていないことが、さらに重圧になったという。

「自分は勝って当たり前の立場で投げさせてもらっていましたから、そういうプレッシャーは、ペナントレース以上のものがありました。CSを投げるピッチャー、チームの中心にいる選手たちには『抑えて当たり前』『打ってくれるだろう』と周りは期待する。そのプレッシャーをどう自分の中で割り切れるか、が大事です。自分がポストシーズンで勝てていないことは、意識していなくても周りのマスコミの皆さんが意識させてくれました。自分に勝ちが付く、付かないは時の運。チームが勝つことがペナント以上に最優先なので気にしていなかったのですが、気にさせてもらっていました」

 さらに、短期決戦では1つのプレーで大きく流れが変わるため、状況判断も大事だったと振り返る。

「1つのプレーに対して、どういう対応をするのかが非常に大事になってきます。数秒の間にいろいろなことを考えなくてはいけない。短期決戦は考えることがより多くなります。初めて投げる時は、その怖さを知らないで投げている部分がありましたが、経験すればするほど、経験が邪魔をして判断が難しくなりました」

「ペナントレース同様の闘いができれば…」

 試合の流れが勝敗を大きく左右する短期決戦。勢いに乗ったチームが“下剋上”を起こす可能性も十分にある。しかし、セ・リーグでは2位東京ヤクルトに大差をつけて優勝した広島が、パ・リーグでは打撃力のある埼玉西武が順当に勝ち進むだろうと予想する。

「セ・リーグはゲーム差を見ても、やはり広島が強いでしょう。パ・リーグの埼玉西武は投手陣に不安がありますが、それで勝ち上がってきた。1度も首位を明け渡すことなくゴールした強さは持っています。長いシーズンを戦う中でそれを証明した。ペナントレース同様の戦い方ができれば、日本シリーズには出られると思います。失点は覚悟の上で、打線がどれだけそれをカバーできるか。それが今年の埼玉西武の売りですから、その売りをそのままCSでも発揮できるかだと思います」

 一方、開幕前に優勝候補だった福岡ソフトバンクは怪我人続出に苦しんだ。CSでは、シーズン終盤に見せた力を発揮してほしい、と後輩たちにエールを送る。
 
「今年は怪我をした選手が多かったことが全てだと思います。さらに、中軸の選手の調子が上がらず、序盤は借金を抱えていました。でも、最終的に貯金22まで盛り返した。怪我をした選手が復帰したこともありますが、層の厚さ、自力があることをしっかり証明できたと思います。その力をCSでも発揮してほしいと思います」

 埼玉西武がペナントレース同様、強力打線で日本シリーズに勝ち進むのか。それとも、5年連続でCS出場を決め、短期決戦の戦い方にも慣れている福岡ソフトバンクが、ファーストステージ、ファイナルステージと勝ち上がるのか。

 日本シリーズ出場を懸けた戦いが、いよいよ幕を開ける。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

記事提供:Full-Count

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