ドラフト全体1位は大型高卒ショート・陳柏凱、元東北楽天・永田颯太郎は台鋼2位
6月29日には台湾プロ野球のドラフト会議が行われた。「いの一番」の指名権をもつ富邦ガーディアンズは、187センチ80キロの大型ショート、陳柏凱(大渓高中卒)を指名した。左腕投手の兄・陳品宏も富邦に所属しており、兄弟でチームメイトとなった。木製バットでスタンドインさせる長打力をもつ陳柏凱は、9月に台北市で開催される「BFA U-18アジア選手権」の台湾代表の合宿メンバーに入っており、日本の剛腕との対戦も楽しみだ。
日本のファンにとって一番の目玉は、台鋼から2位で指名された、元東北楽天の内野手、永田颯太郎(列特博生技)だろう。
愛知県出身の永田は愛知・菊華高校を卒業後、国立台湾体育運動大学に留学。台湾大学球界を代表する選手に成長した。
この状況をうけ、台湾プロ野球は2021年末ドラフト規定を改正。「台湾の中学、高校に通算3年以上在学していた者」、「台湾の大学に継続して4年以上在学した者」、「台湾に5年以上居住し、社会人チームで3年以上プレーした者」について、「台湾人選手」扱いでドラフト会議に参加できるようになったのだ。この改正は永田の名前を取り、通称「永田条項」と呼ばれている。
2024年のドラフトで、当時35歳の髙塩將樹が統一から6位で指名され、「永田条項」指名第一号となった。髙塩は昨季、25ホールドをマークし、最優秀中継ぎのタイトルを獲得した。
もっとも、永田の実力は日本にも伝わっており、大学卒業前の2022年秋、日本プロ野球のドラフト会議で東北楽天から育成4位で指名された。残念ながら支配下昇格はならず、昨年オフ、戦力外通告を受けると、台湾プロ野球入りを決意。台湾の社会人チーム・列特博生技に入団し、アマの春季リーグに出場するなどドラフトに備えていた。
日本通で知られる台鋼の劉東洋GMは「高く評価していました。日本球界での経験があるし、選手としては、パンチ力のある打撃と、内野の各ポジションを守れる点も魅力。日本球界の知人からも、とても練習熱心な選手だと聞いています。グラウンド内外で手本になってほしい」と期待を示した。即戦力と目されており、台湾プロ野球一軍デビューも近そうだ。
今回のドラフト会議ではほかにも「永田条項」の対象選手指名例がある。楽天モンキーズが、大学リーグUBLで本塁打王に輝いた強打の捕手・白井雄登(台北市立大)を7位指名、中信兄弟が、29歳のMAX147km/h右腕・大瀧幸治(列特博生技)を10位で指名した。大瀧は4度目のドラフト参加で悲願の指名。いずれも日本人の父、台湾人の母をもつ、日本育ちの選手だ。
楽天の礒江厚綺・球団本部長は白井獲得について、「球団主催のテストで、初めての投手と組んだ際に、積極的に声がけをしてけん引する姿が印象的でした。そうした点も指名理由の一つです」と説明した。
このほか、中信兄弟は11位で王羽飛(中信科技大)を指名した。王は、南東部、台東県の強豪・卑南中学の野球部在籍時の2018年10月、死者18名、負傷者215名を出す惨事となった「プユマ号脱線事故」に巻き込まれ大けがを負い、長期間のリハビリを経て復帰を果たした選手だ。大学3年となった今年、中信兄弟のテストに参加して彭政閔GMに見出され、最下位指名ながらプロ入りを果たした。
元ジャイアンツ&ホークスのアダム・ウォーカーが楽天モンキーズ入り!
台湾プロ野球の支配下登録期限は、台湾人選手、外国人選手ともに8月31日となっており、各チームが後期優勝、プレーオフ進出を目指し、外国人選手の補強や入れ替えを始めている。
そんななかでファンに驚きを与えたのは、楽天モンキーズによるロニー・ドーソン外野手(米独立)、アダム・ウォーカー外野手(オイシックス新潟)の同時獲得だ。
高卒プロスペクトの海外球界流出もあり、先発投手不足に泣く台湾プロ野球は、この10年あまり、外国人枠の大部分を投手、それも先発型に充ててきた。しかし使用球の反発係数の見直しにより、「投高打低」の傾向が顕著となりつつあり、その傾向にも変化が出てきている。その成功例が台鋼のスティーブン・モヤだ。
そこで今季開幕時に富邦はKBOでプレー経験のあるルイス・リベルトを獲得。結果的にリベルトは家庭の事情で5月初旬に退団したが、野手を補強するという流れは続き、前期貧打に泣いた楽天は、後期スタートと共に外国人野手2人を同時補強するという思い切ったテコ入れを行ったのだ。
ひと足先に来台した左打ちのドーソンは一軍6試合に出場したものの、再調整のため二軍に降格したが、ウォーカーは7月24日の富邦戦で一軍デビューすると、2打席目で目下ハーラーダービートップの李東洺から、台北ドームのレフト2階席へ叩き込む「あいさつ代わり」の2ランを披露。
26日にも巨人時代の2022年に対戦した富邦のアーロン・ウィルカーソンから特大2ラン、3試合で2HRと、NPB一軍通算30発のパワーを早速発揮している。

アジア大会にもCPBL選手が出場。アジアプロ野球チャンピオンシップ監督は高志綱氏
各国際大会を重視する台湾では、早くも代表の話題が出ている。9月下旬に愛知県で開催される「名古屋アジア競技大会」の野球競技には、台湾プロ野球4球団から野手5人が代表入りした。
2024年「WBSCプレミア12」および今年のWBC台湾代表で、楽天の「韋駄天男」と称される外野手の陳晨威に、味全の若き主砲劉基鴻とリーグを代表する2選手のほか、平野監督が高い期待を寄せる中信兄弟内野手の黄韋盛、統一からは今季ブレイクを果たした外野手の朱迦恩と若手捕手の張翔が選出された。
また、日本では7月25日に野球日本代表「侍ジャパン」の新監督に井口資仁氏が就任、11月12日から東京ドームで開催される「ラグザス アジアプロ野球チャンピオンシップ2026」から指揮を取ることが発表されたが、台湾プロ野球もこれに先駆け、6月22日に同大会の台湾代表の監督に、統一で一・二軍ディレクター兼統括コーチをつとめる高志綱氏が就任することを発表した。
45歳の高志綱氏は、現役時代は統一ライオンズの正捕手として14年間プレー。WBC、オリンピック、プレミア12、アジア大会で台湾代表入りを果たしたほか、指導者としても2023年、そして今年のWBCでヘッド兼バッテリーコーチを務めた。
新監督の高志綱氏を、WBC台湾代表首脳陣の王建民、高国輝、陳江和、張建銘ら各コーチ、そして統一の潘威倫投手コーチ、味全の劉家豪バッテリーコーチが支えることになる。
2002年1月1日以降生まれ、または入団3年以内という出場選手資格に加え、オーバーエイジ枠として29歳以下の3選手を選出することができるという同大会。
開催時期が11月ということもあり、予測しづらい部分はあるが、対象年齢の選手では、WBC代表の外野手、宋晟睿(中信)、目下、打率・安打数1位の曽子祐(台鋼)、セーブ数トップの鍾允華(統一)のほか、楽天・川岸強投手コーチの秘蔵っ子である曽家輝、林子崴、劉家翔と、富邦・森野将彦ヘッド兼打撃コーチが目をかける王念好、王苡丞、孔念恩、さらに、この7月に開催されたWCBC(ワールド・カレッジ・ベースボール・チャンピオンシップ)代表組が有力候補だ。元ロッテ荘勝雄氏の甥、右腕の伍立辰(中信)や、高知中央高出身で内外野をこなす強打者、曽昱磬(台鋼)も東京ドームでのプレーに期待したい選手だ。
国際大会は相手チームを知れば知るほど、よりおもしろくなる。アジア大会やアジアプロ野球チャンピオンシップに向け、台湾プロ野球をチェックしてみてはいかがだろうか。

文・駒田英(情報は7月27日時点のもの)
