足踏みする獅子と鷲と対照的に、鷹が悠々と飛行を続けている。首位の福岡ソフトバンクが23日、3位の埼玉西武に圧勝。連勝を今季最多の7に伸ばした。

投打がガッチリかみ合った快勝劇だった。初回2死1塁、柳田選手が右中間にリーグトップタイの29号2ランを放って先制。アーチの直後は2回1死1,2塁、本多選手の中越え適時二塁打を皮切りに、3本の適時打と犠飛、つなぎの野球で4得点。序盤で6得点をたたき出した。5回には1死1,2塁から松田選手の21号3ランでダメ押しだ。

先発の石川投手は7回3安打無失点と好投し、7月4日以来の5勝目。「早い段階で野手の方が点を取ってくれて自分もしっかりリズムに乗っていけた。いい結果に結びついた」と、お立ち台で笑顔を見せた。8回からは3年目、20歳の笠谷投手がプロ初登板。2回を投げ1四球は与えたものの、3奪三振。9回は浅村選手、山川選手、メヒア選手の強打者を3者凡退に切り、2時間15分の省エネゲームを締めくくった。これで20日の楽天戦の初回に失点を喫して以降、26イニングス無失点と投手陣も好調を保っている。

お立ち台には石川投手のほか、適時打で勝利に貢献した本多選手、プロ初登板の笠谷投手が呼ばれた。本多選手は打撃不振もあり、二軍生活から22日に一軍復帰したばかり。5月31日以来、約3カ月ぶりの一軍の舞台で結果を残し「今ここに立ててすごくうれしいです。二軍にいるときも、テレビの前でタイムリーのイメージとか試合に出るイメージをしていて、ここで野球がしたいと思っていた。イメージ通りの結果が出せて良かった」とうなずいた。

そしてはにかみながら大声援を受けたのが、最後に登場した笠谷投手だ。「テレビでしか見たことのない場所。すごく今、幸せを感じています。気持ちいいです」。最後の打者、メヒア選手を打ち取った際、縫い目が裂けたウイニングボールを手に「スイングが速くて、裂けてしまったんですけど、世界に一個しかないので、すごく大切にします」とかみしめた。初めてのヒーローインタビューにも動じず、堂々たるもの。今後へ向けての明るい材料も加わった勝利だった。

2位の楽天が最下位の千葉ロッテに敗れ、ゲーム差が7.5に。残り30試合、いよいよ独走状態だ。特に18日からの2カード、楽天に3連勝し、埼玉西武にも連勝で勝ち越したのが大きい。24日はリーグトップの防御率、埼玉西武のエース・菊池投手が相手だが、いまだ白星を献上していない福岡ソフトバンク。ここをたたけば、Aクラスの2チーム相手に6戦6勝という最高の結果を得る。

苦しんできた本多選手は力強く語った。「チームが勝つために自分を犠牲にしてでもやっていきたい。優勝したいので」。2年ぶりのリーグ制覇に、ホークスナインがまた一つ、ギアを上げてきた。