ヒーローインタビューからも、チームと、それを見守るファンの雰囲気の良さが伝わってきた。福岡ソフトバンクが横浜DeNAに勝利。3連勝中と好調の横浜DeNAから連勝し、カードの勝ち越しを決めた。勝利を呼び寄せたのは、先発の和田投手と柳田選手。投打のヒーローが、お立ち台に呼ばれた。
築き上げる三振の山が、気合の裏返しだった。初回のアウトはすべて三振。「真っすぐの低めの制球が良かった。スライダーもチェンジアップも、真っすぐが良かったから生きた」。5月4勝でセ・リーグの月間MVPに輝いた石田投手との投げ合いを制し、7回を投げて12奪三振、1失点。「まさかこんなに三振が取れるとは思っていなかった」と苦笑いで振り返った左腕に、工藤監督も「僕も経験あるのですが、初回に3つ三振取るとあまりいい経験がない。でも和田君はさすがですね」と褒めたたえた。
ここまでリーグトップの6勝で複数人が並んでいたが、この勝利で単独トップの7勝目。「チームがしっかり打ってくれるし、めぐり合わせもある」と、浮かれる様子もなく、打線に感謝した。
その打線の主役となったのが柳田選手。3回2死2塁、5球目のストレートを思い切りよく振り抜くと、一瞬でスタンドに届くような、弾丸ライナーの9号2ラン。5回2死1,3塁、中前適時打で追加点もたたき出した。「いい結果が出てうれしい」。今季は開幕から打率が上がらなかったが、5月6日の楽天戦で2割5分を超えると、1か月間で90打数31安打。打率.292と、3割も目前となっている。リーグダントツの57四球が物語るように、打率が低い時期も出塁率は4割中盤を維持。このあたりのチームへの貢献度も、好調の福岡ソフトバンクを支える一つの要素と言えるだろう。「調子が上がってきたのでは?」という質問には「どうですかね。あまり分からないけど、毎日試合があるのでしっかり準備をしたい」とこちらも浮かれずに次戦を見据えた。
自身が打てずに苦しんでいる間もチームは勝ち続けてきた。トリプルスリーの本領発揮となれば、まさに鬼に金棒となる。インタビューの締めを任された柳田選手は「鼻毛を抜いているのがカメラに抜かれていたので…今度から気をつけます!!」と茶目っ気たっぷりに振り返ると、球場は大爆笑の渦。試合終盤のベンチでの光景を撮られてしまった天才打者は、恥ずかしがるどころか豪快に笑いに変えた。
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