「ビッグフライ・オオタニさん」の名台詞を生み出したビクター・ロハス氏
ア・リーグ新人王有力候補に挙がるエンゼルスの大谷翔平投手。ルーキーイヤーに二刀流旋風を巻き起こしたが、「ビッグフライ・オオタニさん」の名台詞で知られるエンゼルス戦中継の名物実況は今季最高の瞬間に大谷の第1号と伝説のサイレントトリートメントを挙げている。
今季22本のアーチを放った二刀流のスーパースター。地元ロサンゼルスでエンゼルス戦の中継を見せていたファンは「FOXスポーツウェスト」のビクター・ロハス氏の「ビッグフライ! オオタニさん」という絶叫を何度も耳にしたはずだ。
強烈なパワーを誇る大谷の代名詞ともなったパワーワードを生み出したロハス氏は29日(日本時間30日)の本拠地アスレチックス戦前に今シーズンのエンゼルスの「最高の瞬間」を挙げた。
「4月のショウヘイ・オオタニがビッグA(エンゼルスタジアム)で初出場した第1打席で、ホームランを打ったことです。ただただ偉大な瞬間でした。最高の観衆の盛り上がりだったと思います」
ロハス氏はこう振り返った。大谷は4月3日(同4日)の本拠地インディアンス戦で「8番・DH」で先発出場。ホームデビュー戦の第1打席で衝撃の一発を放ち見るもの全てに衝撃を与えた。
同点の初回2死満塁で打席に立つと、相手先発右腕トムリンの暴投で勝ち越し。なお2死二、三塁の好機で、2ボール2ストライクから右中間へメジャー1号となる豪快な3ランを放った。
「インディアンスのジョシュ・トムリンがマウンドにいました。低めの変化球を右中間に運びました。この湧き上がる観衆の反応に加えて、ダグアウトのチームメートのノーリアクションぶりですよ。最後に全員に手荒く祝福されるまでのサイレントトリートメントでしたね」
豪快無比な一撃。そして、ダイアモンドを颯爽と戻ってきた後の伝説のワンシーンをロハス氏はしみじみと振り返っていた。
ダグアウトに向かう大谷はヘルメットを脱ぎ、同僚と喜びを分かち合おうとしていた。だが、チームメートは顔色一つ変えずにフィールドを見つめている。両手でハイタッチのジェスチャーを続けた大谷だが、誰も反応してくれない。たまらず大谷はレッドソックスに移籍したイアン・キンズラー内野手に抱きつく。キンズラーは思わず爆笑すると、荒々しく大谷を抱きしめた。チームメートは次々に続き、もみくしゃにしながらルーキーのメジャー第1号を祝福した。
本拠地デビューの打席で豪快な3ラン弾、メジャー伝統の塩対応、そして、大谷の可愛すぎるリアクションで、この一発は全米で大ニュースに。今季はアルバート・プホルズ内野手のメジャー通算3000本安打達成など感動の瞬間もあったが、名物実況は強打者オオタニ伝説の最高の幕開けを挙げた。
エンゼルスは投手陣が故障で崩れ、今季勝ち越すことはできず。プレーオフも逃した。
「(エンゼルスにとっては)失意のシーズンになったことは間違いありません。それでも、今季エンゼルスにはとても楽しい瞬間、最高の魔法の瞬間があったのです」
ロハス氏は二刀流のスーパースターの生み出した魔法の瞬間をかみしめる様子だった。
(Full-Count編集部)
記事提供: