北海道日本ハムの宮西投手が、8月3日の千葉ロッテ戦でプロ通算250ホールドをマークした。7月2日に249個目を挙げてからは足踏みが続いていたが、この日は2点リードの6回に登板すると、相手打線を3者凡退に抑えてチームの勝利に貢献。巨人の山口鉄投手に次いでプロ野球史上2人目、パ・リーグの投手としては初の快挙を達成した。
市立尼崎高校、関西学院大学を経て2007年に大学生・社会人ドラフト3巡目で北海道日本ハムに入団した宮西投手は、ルーキーイヤーにいきなり50試合に登板する。防御率4.37と苦しんだものの、貴重な左腕として首脳陣に重宝された。
そして翌年は58試合に登板し、7勝2敗13ホールドで防御率2.89。チームのリーグ制覇に貢献すると、以降の7年間すべてで50試合以上に登板し、抜群の安定感を見せる。2010年、2013年、2016年はいずれも防御率1点台でシーズンを終え、2016年にはチームの日本一の立役者になるとともに、自身初の最優秀中継ぎ投手賞を獲得した。
左のセットアッパーに求められることといえば、まずは左の強打者を確実に抑えることであろう。宮西投手も、ワンポイントとして起用されるケースは少なからず存在する。しかし宮西投手は、左打者より右打者の被打率のほうが低くなっているシーズンが、プロ10年間で4度も存在した。以下にその内訳を示しておきたい。
2011年 対左.220 対右.175
2012年 対左.267 対右.202
2014年 対左.309 対右.207
2017年 対左.283 対右.146
もちろん対左打者の被打率を1割台に抑えたシーズンも4度あるため、宮西投手が左打者を苦手としているわけではない。しかし、宮西投手が左腕でありながら右打者を苦手としていないことは上記のデータからも伝わってくる。この左右を問わない汎用性が宮西投手の起用の幅を広げ、試合終盤の重要な1イニングを任せられる信頼感を生んでいるのだろう。
日本球界で、抑え投手以外の救援投手の働きを客観的に評価する「ホールド」という指標が正式に採用されたのは2005年だった。先発投手にとっての勝ち星や、抑え投手にとってのセーブほどには厳しい規定ではないものの、当然チーム状態や点差に左右されず、職人よろしく投げ続けてみせなければ、ここまでホールド数を積み上げることはできない。
250ホールドを達成した際、宮西投手は「ここまで積み重ねてこられたのもチームのお陰だと思っています。改めて250回も大事な場面で投げさせてもらったことに感謝したいですし、失敗した数が多くある中で信用して起用してくれた監督とコーチ、そして支えてくれた選手、スタッフの皆さんに感謝したいです」と語った。
史上2人目の偉業を達成した宮西投手だが、もう1つの大記録達成も間近に迫っている。今季の登板数が50試合に到達すれば、こちらも史上2人目となる「ルーキーイヤーから10年以上連続でシーズン50試合登板」という記録が達成されるのだ。
15年連続で50試合登板という史上最長の記録を保持している中日の岩瀬投手と同様に、プロ1年目からブルペンを支え続けてきた宮西投手。チームのため黙々と投げ抜く鉄腕が進む道のりには、これからも多くの輝かしい記録が待ち受けていることだろう。
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