人的補償で移籍した選手は活躍するのか? 引退の巨人脇谷は代表的な成功例

Full-Count 広尾晃

2018.9.21(金) 15:10

広島・一岡竜司【写真:荒川祐史】
広島・一岡竜司【写真:荒川祐史】

巨人の脇谷は人的補償で埼玉西武に移籍し、その後FAで巨人に復帰

巨人の脇谷亮太が引退を表明した。柳ヶ浦高、日本文理大、NTT西日本を経て2005年、大学社会人5巡目で巨人に指名され入団。以後、内野のユーティリティとして活躍してきたが、2013年オフにFA移籍した片岡治大の人的補償で埼玉西武へ。

しかし埼玉西武で活躍して、2年でFA権を取得して巨人に戻ってきた。人的補償で移籍→FAで復帰は脇谷だけだ。

人的補償とは、FA移籍する選手の代わりに移籍先から移籍元に選手を譲渡する制度のことだ。移籍先の球団は、主力選手をプロテクトする。移籍元の球団はプロテクトを外れた選手から1人を選択する。これまで27人が人的補償となって移籍した。現役では10人が人的補償を経験している。

これらの選手の移籍前と移籍後の成績を並べてみよう。移籍後、さらに移籍した球団での成績は含まない。

2008年 赤松真人(神)→(広)新井貴浩の人的補償
(神)36試53打8安0本1点11盗 率.150
(広)831試1553打395安21本143点125盗 率.254

2011年 高濱卓也(神)→(ロ)小林宏之の人的補償
(神) 1軍出場なし
(ロ)181試360打79安3本25点0盗 率.219

2014年 一岡竜司(巨)→(広)大竹寛の人的補償
(巨)13試0勝0敗0SV 0HD 15.1回 率4.70
(広)210試15勝13敗5SV 64HD 203.1回 率2.35

2014年 脇谷亮太(巨)→(西)片岡治大の人的補償 現巨人
(巨)530試1434打365安12本110点59盗 率.255
(西)214試440打123安5本42点8盗 率.280

2014年 藤岡好明(ソ)→(日)鶴岡慎也の人的補償 現DeNA
(ソ)255試18勝15敗1SV 50HD 343回 率3.70
(日)16試1勝0敗0SV 2HD 20.1回 率5.75

2015年 奥村展征(巨)→(ヤ)相川亮二の人的補償
(巨)1軍出場なし
(ヤ)73試149打34安0本8点1盗 率.228

2017年 金田和之(神)→(オ)糸井嘉男の人的補償
(神)56試7勝1敗0SV 0HD 78回 率4.27
(オ)44試4勝1敗0SV 2HD 51.1回 率4.91

2017年 平良拳太郎(巨)→(De)山口俊の人的補償
(巨)1試0勝1敗0SV 0HD 3.2回 率9.82
(De)14試5勝5敗0SV 0HD 65回 率4.43

2018年 高木勇人(巨)→(西)野上亮磨の人的補償
(巨)67試15勝21敗0SV 1HD 308回 率3.97
(西)8試1勝2敗0SV 0HD 19.2回 率8.69

2018年 尾仲祐哉(De)→(神)大和の人的補償
(デ)11試1勝1敗0SV 0HD 19.1回 率6.52
(神)12試0勝1敗0SV 0HD 11.2回 率3.86

千葉ロッテ高浜、東京ヤクルト奥村は移籍後に1軍出場を果たす

2008年の赤松真人は駿足の外野手だったが、阪神には同タイプの赤星憲広がいたために出場機会に恵まれなかった。新井貴浩の人的補償で広島に移籍してからは、ゴールデングラブを受賞するなど活躍。

新井が再び広島に復帰してからは、安打で出た新井の代走に出ることもあった。2017年1月に胃がんの手術をしたが、今季は2軍戦に復帰している。

2014年の一岡竜司は、巨人ではほとんど登板機会がなかったが、大竹寛の人的補償で広島に移籍後は、勝利の方程式を担うセットアッパーとして活躍した。救援投手不足に悩む昨今の巨人にしてみれば、悔やまれる放出だったといえよう。

2011年阪神から千葉ロッテの高濱卓也、2015年巨人から東京ヤクルトの奥村展征のように、元の球団では1軍出場の機会がなく、移籍先で1軍に初出場した選手もいる。脇谷も含め、元の球団でくすぶっていた選手にとって人的補償は、飛躍のチャンスだともいえるだろう。

プロテクトを外れた「残り物」にも、「福」があるのだ。今オフもFA移籍の選手が出るだろうが、人的補償に指名された選手は「チャンス到来」と受け止めるべきだろう。

記事提供:Full-Count

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