グラウンドの上で輝く選手やチームを支えているのはどんな人たちなのか。
本連載「パーソル パ・リーグTVお仕事名鑑」でパ・リーグに関わるお仕事をされている方、そしてその仕事の魅力を紹介していきます。
2013年の初の日本一が興味のきっかけ
楽天生命パーク宮城の正面ゲートをくぐると、ノスタルジックなつくりのグッズショップ「楽天イーグルス チームショップ」が目に飛び込んでくる。
2015年に新設されたこのショップには、天井付近まで商品がずらりと並んでおり、まるで宝探しをしているかのような気持ちにさせてくれる。試合のある日には、開門と同時にファンでいっぱいになる空間だ。
全選手のグッズを揃え、商品ラインナップが非常に充実していると評判の楽天イーグルス。そのマーチャンダイジング部・店舗運営グループで活躍しているのが、2014年入社の富岡萌奈さんだ。
仙台出身だが、学生時代はあまり楽天イーグルスの試合を観に来る機会はなかった。というのも、富岡さん自身が部活に夢中の青春時代を過ごしたスポーツウーマンだったからだ。
「高校時代はバドミントン部に所属して、全国大会を目指して頑張っていました。実は、あのタカマツペア(バドミントン日本代表の高橋礼華・松友美佐紀両選手のペア)ともプレーしたことがあるんですよ。
関東の大学を卒業した後に、東京で医療事務の仕事に就いたんですけど、もともと体を動かすのが好きな私には座り仕事がどうも合わなくて(笑)。仙台に戻って仕事を探していた時に、たまたまハローワークでイーグルスのグッズ担当の求人を見つけました」
野球にはあまり詳しくなかったそうだが、その前年に楽天イーグルスは星野仙一監督のもとで球団初の日本一に輝いており、それが大きな動機づけとなった。
「グッズを扱った経験もなかったですし、正直受かるとは思わずダメもとで応募しました。これはあくまで私の想像なのですが、面接ではバドミントンの話で結構盛り上がったので、もしかしたら『コイツ体力ありそうだな』って思われて採用されたのかもしれませんね(笑)。
実際、試合がある日はスタジアム内のショップをあちこち走り回っているので、体力勝負でもあるんですよ。スポーツ経験者のスタッフも結構多いですね」
空っぽになった棚がやる気の源
プロ野球のこともグッズのこともほとんど知識のない状態で入社した富岡さんにとって、入社当時は新たな発見の毎日だった。
「タオルや応援バットは見たことがあったのですが、普段使いできるような小物やゴルフグッズなど野球に関係ないものもたくさんあって、『グッズってこんなにいっぱいあるんだ』と、種類の多さに驚きました。
ただ、当時のグッズはまだ野球が好きな男性向けのものが多くて、女性が買いたくなるようなものは少ないなと感じました」
普段、ナイターがある日は11時頃に出社して、必要があれば午前中のうちに発注を済ませる。その後は在庫確認などをして、14時過ぎにはアルバイトスタッフとともにミーティングを行い、15時オープンに向けての最終確認に入る。
「試合の1時間半くらい前になると一気にお客さんがいらっしゃるので、ショップへの入場規制をかけさせていただくこともあります。お客さんが怪我をされないように、入場を止めたり規制を解除したりするタイミングはかなり注意深く確認します。
新商品が発売することを予めニュースでお知らせしている時には、オープン前に長蛇の列ができることもあるので、早めに開けるなど臨機応変な対応が求められます」
18時に試合が始まると一旦客足は落ち着くが、試合終了後は再び多くのお客さんが来店する。特に勝った日は遅くまで賑わうが、それでもだいたい22時半前後には閉店となり、富岡さんの仕事が終わるのはアルバイトスタッフを見送った後、夜中の24時くらいになるそうだ。
「当日入荷の商品もあり、急いで検品して値札付けするなどオープン前は結構バタバタすることも多いですが、その棚が空っぽになっているのを見ると、ああよかったなと思いますね。
『買えてよかった』と喜んでいるお客さんの姿を見た時にも、もっと喜んでもらえる商品を出せるように頑張ろうと思います」
グッズ担当も今年で5年目となる富岡さんだが、売れるか売れないかは棚に置いてみるまではわからないという。最近では、釣りグッズが女性ファンにも好評だったことにとても驚いたそうだ。
「選手たちの趣味や特技とコラボする『イーグルス部活動』という企画があって、釣り部とのコラボ商品で魚の形をしたグッズを出したのですが、正直サンプルを見た時には『こんなの売れるのかな』と思いました(笑)。
でも、実際にはそのコーナーに人だかりができて、すぐに完売してしまったんです。しかも若い女性まで買ってくれていたので、それには本当に驚きました」
そこにいるだけで笑顔になれる空間づくり
楽天イーグルスには現在110人ほどの球団職員が勤務しているが、そのうちの約半数が女性。特にグッズを作る際には、女性の意見が取り入れられることも多いそうだ。
「女性目線のアイデアを求められることは多いです。球団としても女性ファンを増やしたいので、女性目線はどの部署でも重視されているように感じますね。『イーグルスガールデー』など女性ファン向けの企画も実現し、最近では若い方だけでなく小さな女の子や年配の女性もユニフォームを着てスタジアムに来てくれるようになりました」
富岡さんが所属するマーチャンダイジング部は15人の職員が働いており、店舗運営グループ、Eコマースグループ、商品管理グループ、ライセンスグループに担当が分かれていて、比較的女性の多い部署でもあるという。
「私の部署はもちろん、社内全体の雰囲気もとにかく明るいです。みんなでやろうという団結感がありますね。いい意味で学生のノリに近いところもあるかもしれません。これからも仲間が増えていくと思いますが、イーグルスが好きという人、お客さんを笑顔にさせたいと思ってくれる人が来てくれたらいいですね」
新ショップがオープンした翌年には観覧車やメリーゴーラウンドが楽しめる「スマイルグリコパーク」が誕生し、毎年のように生まれ変わっていく楽天生命パーク宮城。そこには、「野球以外も楽しめるボールパークを」という球団の思いがある。
「弊社が目指しているのは、メジャーリーグのスタジアムのような、そこにいるだけでワクワクするような空間づくりです。私たちマーチャンダイジング部としても、野球観戦だけではなくショッピングも含めて楽しめる空間を作れるよう、これからもさまざまな工夫をしていきたいと思います」
◇お仕事名鑑はパーソルの特設サイトからご覧いただけます。 strong>
https://www.persol-group.co.jp/special/pacificleague/index.html
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