3.5ゲーム差で迎える天王山。悲願達成に燃える埼玉西武は「左腕攻略」がカギ

パ・リーグ インサイト 吉田貴

2018.9.15(土) 13:46

埼玉西武ライオンズ・浅村栄斗選手(C)パーソル パ・リーグTV
埼玉西武ライオンズ・浅村栄斗選手(C)パーソル パ・リーグTV

シーズンも最終盤に突入し、10年ぶりの「優勝」が現実味を帯びてきた埼玉西武。しかし、9月15日からは2位・福岡ソフトバンクとの3連戦が待ち受けている。ここまで8勝10敗と負け越しているだけに、このカードの結果が埼玉西武の運命を決めるだろう。

この「天王山」を前に、埼玉西武が必ず対処しなくてはならない問題は「左投手」である。リーグ屈指の攻撃力を誇る獅子打線だが、左投手相手にその勢いを封じられる場面が多々見られた。

実際に、8月の月間MVPを獲得した中村選手も左投手相手の打率は.141と、明確な課題を残している。そこで今回は、まず福岡ソフトバンクの「要注意左腕」を紹介した上で、埼玉西武の取るべき対策について考えたい。

まずは埼玉西武包囲網を敷く強力先発陣

【福岡ソフトバンク要注意左腕】(成績は対埼玉西武のもの)
大竹投手 2試合、1勝 0敗 14.1回、7奪三振、7失点 防御率4.40 
ミランダ投手 1試合、1勝0敗 8.2回、8奪三振、1失点 防御率1.04

まずは先発陣から。育成出身ルーキー・大竹投手はプロ初登板でいきなり埼玉西武打線を8回2失点に抑え込み、プロ初勝利を手にした。2度目の対戦となった8月26日の試合では5点を奪ったが、結果的に黒星をつけることはできず。

5失点は大竹投手自身だけでなく、その後を受けた右投手を打ったことで記録されたものも含まれるため、決して油断はできない。

そして、もっとも警戒しなくてはならないのは、新外国人・ミランダ投手だ。8月25日の前回対戦で、8回まで無安打に抑え込まれたことは記憶に新しい。ローテーションの再編によって2度目の対戦となる可能性が高く、その存在は乗り越えなくてはいけない「壁」として獅子打線に立ちはだかるだろう。

救援陣の左投手の布陣は…

続いて、救援陣に控える主な左投手を挙げたい。

【福岡ソフトバンク要注意救援左腕】(成績は対埼玉西武のもの)
嘉弥真投手  6試合、0勝1敗2ホールド 3回、2奪三振、1失点 防御率3.00
モイネロ投手 5試合、0勝0敗1ホールド 4回、6奪三振、1失点 防御率2.25

救援陣にも強力左腕が名を連ねる。嘉弥真投手は、ここまで55試合に登板しながら防御率は驚異の0.98。右打者からの被打率も「0」という、球界を代表する左投手に対して、打線がどのように立ち向かうかは大きなカギを握るだろう。

さらに、9月12日付で再昇格を果たしたモイネロ投手も要注意だ。ここまで防御率は4点台と苦しい投球が続いていたが、埼玉西武に対しては防御率2.25と好相性を見せる。先述した先発陣とのリレーはなるべく避けたいところだ。

埼玉西武の左キラーは頼れるあの選手

ここまでを見ると埼玉西武がやや不利に見えるかもしれないが、間違いなく希望の光はある。まず期待したいのは、キャプテン・浅村選手だ。ここまで打率.315、108打点と主軸としての役割を全うしている浅村選手は、埼玉西武打線の「左キラー」の1人だ。

右投手に対しても打率.310と十分に打っていると言えるが、左投手からは打率.333を記録。8月25日のミランダ投手からも、無安打に抑えられていた9回表に意地の適時打を放っているだけに、難敵攻略に大きな期待がかかる。

さらに、左右を苦にしないという点では、やはり秋山選手に期待しないわけにはいかないだろう。同じく25日に、ミランダ投手からノーヒットノーラン阻止の安打を放っているだけでなく、嘉弥真投手からは12球団で唯一本塁打も記録している。優勝のためにはさらなるその奮起が不可欠だ。

3連戦を前に、福岡ソフトバンクとのゲーム差はわずかに「3.5」。福岡ソフトバンクは、万全の投手陣で埼玉西武に挑むだろう。苦しい戦いになることは間違いないが、本拠地・メットライフドームで弱点克服となれば、「優勝」の2文字が大きく近付くことになる。

所沢に詰めかけたファンは、獅子打線が奮起することを信じている。

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パ・リーグ インサイト 吉田貴

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