Koboパーク宮城で行われる楽天と福岡ソフトバンクの第14回戦は、後半戦最初の首位攻防戦だ。昨夜の試合が雨天中止となったため、今日がカードの初戦となる。この大事な一戦の先発マウンドを任されたのは、楽天が則本投手、福岡ソフトバンクがバンデンハーク投手。なお、今日の午後、巨人から楽天に移籍することが発表されたクルーズ選手は、6番・遊撃手として早速スタメン入りしている。

エース・則本投手は中14日を空け、後半戦最初の登板となる。ねじ伏せる投球で直接対決を制し、僅差で追ってくる宿敵を突き放したい。対するバンデンハーク投手は来日以来、Koboパーク宮城では未勝利。今カード以降も、チームは楽天とますます激しい首位争いを演じなければならない。今後のためにも、「鬼門」でまずは1勝を挙げたいところだ。

初回、則本投手は力んだような立ち上がりで、いきなり1死1,2塁のピンチを背負う。しかし4番・デスパイネ選手を初球で併殺に打ち取り、無失点で切り抜けた。その裏、バンデンハーク投手は楽天打線を2奪三振を含む3者凡退。さすがの投球で、危なげなく滑り出す。

以降も則本投手は制球に苦しみ、3回までに奪三振2、与四球3。しかしエースらしい粘りで何とか踏ん張り、決定機を凌ぐ。一方バンデンハーク投手は、走者を出しながらもペースを崩さず、落ち着いて後続を断つ。首位攻防戦序盤は、互いに譲らない静かな展開が続いた。

試合が動いたのは4回表だった。先頭の柳田選手が安打で出塁し、則本投手の暴投で進塁。この1死2塁の場面で5番・中村晃選手が、則本投手の甘く入った直球を右翼の深いところにはじき返し、適時二塁打とする。まずは福岡ソフトバンク打線がバンデンハーク投手の好投に応え、貴重な先制点を挙げることに成功した。

しかし、直後の4回裏、先頭のウィーラー選手がバンデンハーク投手の2球目を高々と打ち上げ、左翼席中段に放り込む22号ソロ。チームの苦境を幾度となく救ってきた頼もしい4番の一振りで、楽天がすぐさま試合を振り出しに戻した。

その後は両先発投手がさすがの投球を披露し、相手チームの勝ち越しを阻止する。緊迫した試合が再び動いたのは7回裏。2死から7番・松井稼選手が四球を選び、2死1塁で8番・今江選手の打ち上げた当たりが、福岡ソフトバンク外野陣のミスも絡み勝ち越し適時打となる。

さらに8回裏には、1死から3番・アマダー選手が福岡ソフトバンクの3番手・森投手の初球を叩き、打った瞬間それと分かる第14号ソロ。現在波に乗っている寡黙な大砲の3試合連続弾で、楽天が大きな意味を持つ2点のリードを握った。続くウィーラー選手の四球と盗塁、5番・銀次選手の安打などで、なおも1死1,3塁の好機が訪れると、6番・クルーズ選手が森投手の直球を左中間に打ち返す。移籍後初安打が適時打となり、楽天がリードを広げた。

3点リードで迎えた9回表のマウンドには福山投手が上がる。自慢のフィールディングなどでテンポよく3死を奪ってリードを守り抜くと、試合は4対1で楽天が勝利。後半戦の最初の首位攻防戦で貫禄を見せ付け、首位固めへとまた一歩前進を果たした。

楽天の先発・則本投手は序盤調子の悪さを窺わせていたが、尻上がりに調子を上げた。6回表に初めての3者凡退を決めてリズムを作ると、7回表と8回表に圧巻の6者連続三振。5試合ぶりの2桁奪三振となる10三振目を、わずか3球で奪うなどした。最終的に8回を投げて被安打5、奪三振11、与四球3、失点1でリーグ最速の2桁勝利に到達した。同時に5年連続2桁勝利を達成し、プロ通算60勝目をマークした。