9月11日、オリックス戦に先発した埼玉西武の多和田真三郎投手は、111球で9回までを投げ抜き、今季2度目の完封勝利でリーグ単独トップに立つ14勝目を挙げた。
ただ、多和田投手の9月14日現在の防御率は4.14。規定投球回到達者の中ではワースト2位、福岡ソフトバンク・バンデンハーク投手の次に「悪い」数字だ。それでも、14勝は千葉ロッテのボルシンガー投手を抜き、その他の投手を大きく上回ってパ・リーグトップ。自身初タイトルとなる最多勝の獲得も、現実味を帯びてきている。
過去10年のパ・リーグ最多勝投手を調べてみると、2008年の岩隈久志投手(東北楽天)、2011年と13年の田中将大投手(東北楽天)、昨年の菊池雄星投手(埼玉西武)などが、最多勝と最優秀防御率を「W受賞」した。
当然の流れだが、防御率の良い投手が多くの白星を積み上げてきたわけだ。実際に、防御率3点台後半で最多勝に輝いたパ・リーグの投手は、この10年で1人もいない。最も高い数字でも、2015年の涌井秀章投手の3.39だった。
【最近10年間の最多勝投手】
2008年:21勝 岩隈久志(☆1.87)
2009年:16勝 涌井秀章(2.30)
2010年:17勝 和田毅(3.14)、金子千尋(3.30)
2011年:19勝 田中将大(☆1.27)、ホールトン(2.19)
2012年:17勝 攝津正(1.91)
2013年:24勝 田中将大(☆1.27)
2014年:16勝 金子千尋(☆1.98)
2015年:15勝 大谷翔平(☆2.24)、涌井秀章(3.39)
2016年:15勝 和田毅(3.04)
2017年:16勝 菊池雄星(☆1.97)、東浜巨(2.64)
※()は防御率
※(☆)は最優秀防御率も獲得
では、多和田投手と同じ「防御率4点台」で、最多勝に輝いた投手はいたのだろうか。2000年に14勝で最多勝を獲った松坂大輔投手(西武)の防御率が3.97と惜しい数字だったものの、21世紀では両リーグにおいて「防御率4点台で最多勝」の投手は存在しなかった。
さらにさかのぼると、1985年の佐藤義則氏(阪急)が防御率4.29で最多勝を獲得している。これが日本球界における「防御率4点台で最多勝」の最も直近の記録で、以降の32年間、それに続く投手は現れなかった。ちなみにこの年、佐藤氏が挙げた勝ち星は21で、その後パ・リーグの20勝投手は2003年の斉藤和巳氏(20勝)まで待つことになる。
今後はパ・リーグ最多勝の行方とともに、多和田投手の防御率にも注目が集まりそうだ。
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