イースタン・リーグ試合開催日のファイターズ鎌ケ谷スタジアム。試合前の球場周辺では緑色のユニホームを着た若いスタッフが行き来する。彼ら、彼女らはファイターズ鎌ケ谷スタジアムでインターンシップを行う学生たちだ。北海道日本ハムの二軍施設・鎌ケ谷はイースタン・リーグ開催時に独自で様々なイベントを仕掛け、多くのファンが足を運ぶ。さながらアメリカのマイナーリーグの雰囲気が強い。インターン生は毎年2月から活動をスタートし、スポーツビジネスの現場を実践的に学んでいる。
通常、プロ野球球団の一軍の場合、インターン生はファンクラブ対応などある一定の領域を任されることが多いという。しかし鎌ケ谷では広報、チケット、MD(マーチャンダイジング)、営業、演出・ファンサービスと様々な部署で経験を積むことができるのが大きな特徴だ。インターン生の戸村美佳さん(明治大3年)は高校時代からスポーツ業界で仕事がしたいと志し、インターン生として奮闘している。戸村さんは鎌ケ谷でのインターンについてこう語る。
「まずスポーツ業界の裏側を見られるのはシンプルで面白いですよね。私は広報部門と演出・ファンサービス部門の2つを掛け持ちしていますが、2つの異なる部署をやらせてもらうことは役得だなぁと思っています(笑)」
広報部門の仕事ではイースタン・リーグの試合戦評、球団ホームページに掲出するイベントの告知文を作成している。その都度、球団職員からのチェックは入るが、任される部分は多い。「一インターン生ですけど、色々と裁量を任されているのでやり甲斐を感じています」と戸村さんは言う。
インターン経験で就職への考えが変わりつつある
当初はスポーツ業界の就職を考えていた戸村さんだったが、鎌ケ谷のインターン経験でその考えは変わり始めている。
「『球団で仕事がしたい』とそこまで明確に決めていませんが、情報発信やイベントの企画立案・準備を通して『スポーツだけではないな』と視野が広がりました。扱っているものはスポーツですが、やっていることは一般企業にも通じるじゃないですか」
取材中、戸村さんが見せてくれたのは、7月7、8日に行われたインターン生企画によるイベント「鎌スタ女子の日」のイベント原稿と当日のスタッフ用マニュアルだった。
「色々な部署が関わってくるため、周囲と連携して一つにまとめるのは『ザ・広報』という感じで楽しかったです。マニュアルの方は職員の方から『全然足りない』と言われましたが、経験することで学ぶことがありました」
昨年とは異なるインターンで新たに見えてきたもの
また、佐藤凜久さん(千葉商科大3年)は昨年までは試合単位の短期インターンとして携わり、今年は演出・ファンサービス部門の長期インターンとして学んでいる。
「短期インターンの場合は長くてもイベント前日から準備という形でしたが、今年は長期でやらせて頂いてイベントの企画段階から関わっています。短期の時では分からなかった企画の難しさやイベント当日の動きについて学ぶ点がありましたね」
大学で学んでいることが、インターン活動で実践できるのも強みだ。佐藤さんが続ける。
「例えば企画でしたら『今、お客さんが求めているのは何だろう』。グッズだったら『お客さんが欲しがるのは何だろう』とリサーチをしますよね。そこでインターン生が大学で勉強しているマーケティングを現場で生かせるのは大きな部分だと思います」
広報プロモーションをはじめ企画運営を統括する北海道日本ハム首都圏事業部の中原信広氏は「鎌ケ谷でのインターンシップはスポーツビジネスにおいて良いチャレンジの場であり、実践の場。この貴重な経験を生かして色々と学んで欲しいです」とインターン生にエールを送る。7月の「鎌スタ女子の日」に続き、9月22、23、24日にはインターン生の企画イベント「鎌スタ☆大北海道まつり」が開催予定だ。「ちょうど企画を提案しているところです」(戸村さん)と準備が着々と進行している。独自色を打ち出していくファイターズ鎌ケ谷スタジアムのイベントから今後も目が離せない。
記事提供: