台頭、定着、移籍、併用…2018年は各球団の捕手陣容に大きな変化!?

Full-Count 広尾晃

2018.9.11(火) 18:20

千葉ロッテ・田村、広島・會澤、埼玉西武・森(左から)【写真:荒川祐史】
千葉ロッテ・田村、広島・會澤、埼玉西武・森(左から)【写真:荒川祐史】

千葉ロッテ田村は不動の正捕手に、各球団の正捕手の打撃成績は…

ペナントレースも終盤に差しかかってきた。各球団の今年の勢力図もほぼ固まりつつある。今季は、各球団の捕手の陣容にかなり変化があった年だ。

各球団の正捕手(捕手としての試合出場が最多の選手)の打撃成績を見ていこう。

◯パ・リーグ

甲斐拓也(ソ)
109試(109試) 265打55安6本27点 率.208

森友哉(西)
115試(68試) 407打115安14本75点 率.283

嶋基宏(楽)
107試(107試) 296打60安0本21点 率.203

若月健矢(オ)
97試(97試) 226打49安1本19点 率.217

鶴岡慎也(日)
86試(75試) 208打54安2本19点 率.260

田村龍弘(ロ)
120試(120試) 369打90安3本33点 率.244

福岡ソフトバンクはシーズン当初、捕手の故障者が相次いだ。このためチームは北海道日本ハムから市川友也を獲得したが、甲斐が正捕手の座を維持した。打撃はよくないが、福岡ソフトバンクは甲斐をこのまま育てていくことになりそうだ。

埼玉西武は昨年まで、守備・リードに定評がある炭谷銀仁朗を正捕手とし、打撃の良い森はDHでの起用が多かったが、今季は半分以上の試合で森にマスクをかぶらせている。これによって打線の穴が埋まり、チーム全体のパワーアップにつながっている。

東北楽天はチームリーダー嶋が依然として正捕手。福岡ソフトバンクから若手の山下斐紹を獲得したが、ポジションを脅かす存在にはなっていない。オリックスは伊藤光をシーズン中に横浜DeNAに放出。若月を正捕手としたが、打撃面でも守備面でもまだ期待に応えているとは言えない。

北海道日本ハムは正捕手の大野奨太のFA移籍を容認、福岡ソフトバンクからベテランの鶴岡慎也をチームに復帰させ、市川友也も福岡ソフトバンクに出した。若い清水優心を正捕手に育てる意向だったが、清水は6本塁打も打率.200。勝負強い鶴岡の起用が多くなっている。

千葉ロッテは、田村が全試合出場を続ける。里崎智也以来の不動の正捕手が生まれつつある。

セ・リーグ首位の広島は會澤が打撃絶好調

◯セ・リーグ

會澤翼(広)
88試(85試) 264打83安13本37点 率.314

梅野隆太郎(神)
106試(106試) 292打72安8本35点 率.247

嶺井博希(De)
77試(76試) 184打33安5本22点 率.179

小林誠司(巨)
105試(105試) 234打51安2本25点 率.218

松井雅人(中)
79試(78試) 176打40安2本21点 率.227

中村悠平(ヤ)
108試(108試) 300打62安5本25点 率.207

広島は伝統的に2人の捕手を併用する傾向にあるが、今季は會澤翼が打撃絶好調。強力な広島打線にあって脅威の8番打者になっている。今季、広島の捕手として初めて1000本安打を記録した39歳の石原慶幸は控えに回っている。

阪神の梅野は、投手の信頼を得て正捕手に収まっている。勝負強い打撃をしばしば見せている。生え抜き捕手としては木戸克彦以来の規定打席に到達する可能性もある。

横浜DeNAは嶺井博希を正捕手としているが、打撃が絶不調。シーズン中に伊藤光をオリックスから獲得。最近は伊藤と併用されている。

巨人は昨年まで2年連続で小林誠司が規定打席に到達していたが、2年とも打率最下位だった。今季は打撃の良い大城卓三が入団。小林はこれに発奮したか春先は打撃好調だったが、今は昨年までの成績に戻っている。大城と併用されているため、今季の小林は規定打席には届かない。

中日は北海道日本ハムから大野奨太を獲得したが、松井雅人との併用になっている。両者ともに打撃は今一つ。守備面を含めて決め手に欠ける状態だ。東京ヤクルトは打撃は昨年より落ちたが、ここ5年、中村悠平を正捕手に固定している。

捕手は守備面が第一とされるが、打撃が伴えば攻守での貢献度が高くなる。しかし両方を備える捕手は極めて少ないため、首脳陣は起用に頭を痛める。

こうしてみると好調なチームは、捕手の起用にも迷いがないことがうかがえる。

記事提供:Full-Count

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