今季の前半戦が終了した時点で、福岡ソフトバンクの柳田選手が打率・本塁打・打点の3部門でパ・リーグトップに立っている。NPBの歴史では13年ぶり、平成以降では2人目となる三冠王の誕生に期待が高まるが、その13年前にトリプルクラウンの偉業を達成したのが、柳田選手にとってはチームの先輩にあたる松中信彦氏である。
そこで今回は、13年前の松中氏と今季の柳田選手の現段階の成績を比較し、2選手のライバルについても考察していきたい。まず、2選手の前半戦の成績および松中氏の最終成績は以下の通りとなっている。
【松中氏の三冠王達成年(2004年)の成績】
前半戦終了時:80試合287打数102安打26本塁打66打点 打率.355
最終成績:130試合478打数171安打44本塁打120打点 打率.358
【柳田選手の今季成績】
前半戦終了時:81試合281打数92安打23本塁打75打点 打率.327
2選手の成績を比較してみると、本塁打に大きな差はないものの、打率では松中氏が大きく上回り、打点では柳田選手が上回っているという結果となった。
2004年、松中氏は城島健司氏(福岡ダイエー)や和田一浩氏(西武)らと激しくタイトル争いを繰り広げた。この2選手の前半戦の成績と、シーズンを終えた時点での成績は下記の通りである。
【城島氏の2004年成績】
前半戦終了時:83試合301打数103安打29本塁打78打点 打率.342
最終成績:116試合426打数144安打36本塁打91打点 打率.338
【和田氏の2004年成績】
前半戦終了時:79試合283打数95安打25本塁打68打点 打率.336
最終成績:109試合394打数126安打30本塁打89打点 打率.320
2選手ともに、最終成績は前半戦からするとやや物足りない結果となっているが、これには同年に開催されたアテネ五輪に参加するため、一時期チームを離れていたことも影響している。
一方、柳田選手が現在タイトル争いを繰り広げている相手はどのような選手なのだろうか。打撃3部門別に、リーグ2位の選手と柳田選手の数字を比較してみたい。
【打率部門】
柳田選手 .327
銀次選手(楽天) .325
【本塁打部門】
柳田選手 23本
デスパイネ選手(福岡ソフトバンク) 21本
【打点部門】
柳田選手 75打点
ペゲーロ選手(楽天) 60打点
デスパイネ選手(福岡ソフトバンク) 60打点
打率においては、2014年に糸井選手(当時オリックス)と激しい首位打者争いを演じた銀次選手が、自身初となる首位打者のタイトル獲得に向け僅差で柳田選手を追っている。この順位がいつひっくり返ってもおかしくないほど競り合っている状況であり、柳田選手にとって最大のライバルとなりそうだ。
本塁打と打点では今季からチームメイトとなったデスパイネ選手が柳田選手の競合相手となっている。デスパイネ選手が一時期故障で戦列を離れていたことも影響して、打点部門ではやや引き離しているものの、その離脱期間がありながら2本差まで迫っている本塁打部門に関しては油断できない状況と言えそうだ。
2年前の2015年、同じく13年ぶりとなるトリプルスリーを実現した柳田選手に、新たな大記録を期待するのは決して夢物語ではないだろう。日本プロ野球史上、トリプルスリーと三冠王の両方を達成した選手は存在しない。13年ぶりの、そして前人未踏の快挙に向けた柳田選手の挑戦から、今後も目が離せない。
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