昨日の試合では、埼玉西武の菊池投手に抑え込まれて、完封負けを喫した楽天。この敗北により、福岡ソフトバンクにリーグ首位の座を明け渡すことになった。このまま良くない流れに吞み込まれないためにも、今日の試合では気持ちを切り替える必要がある。大事な先発のマウンドを託されるのは、今季安定した投球で幾度もチームを救ってきた美馬投手。前回の登板では6回途中10失点と崩れたが、それを引きずることなくこの要所を締められるか。

対する埼玉西武の先発は、自身初の6月度「日本生命月間MVP賞」を受賞した十亀投手だ。本人は会見の場で野手への感謝を口にしていたが、6月、先発投手としてリーグトップの3勝を挙げられたのは、打線の好調さもさることながら、十亀投手自身の安定感あればこそ。今日も投打を噛み合わせて、エースが決めた完封勝利からの良い流れを引き継ぎたい。

初回、両先発投手は走者こそ出すものの、後続を断って無失点。さすがの立ち上がりを見せ付ける。しかし2回裏、突如十亀投手の制球が乱れ、楽天打線がその隙に付け込んだ。先頭の銀次選手と、6番・聖澤選手が連打で出塁し、1死から8番・三好選手が四球を選ぶ。2死満塁で1番・島内選手が押し出し四球を奪ってまず1点を先取すると、続くペゲーロ選手が適時内野安打。楽天が2点の先制に成功した。

その後は両チーム無得点が続いた。美馬投手は5回まで埼玉西武打線を1安打に抑え込み、先制を許した十亀投手も、走者こそ出すものの決定機を凌ぐ。両先発投手の好投によって、スコアボードには次々と「0」が並んだ。

十亀投手は5回2失点でマウンドを降り、中継ぎ陣に後を託して打線の奮起を待つ。一方の美馬投手は6回を投げて被安打2、奪三振5、与四球1、無失点という圧巻の投球を披露して降板。2点のリードを握る楽天は7回表に福山投手、8回表にハーマン投手を送り、「勝利の方程式」による逃げ切りを図る。しかし8回表から、試合は急展開する。

埼玉西武の2番手の野田投手が6回裏を、3番手の武隈投手が7回裏を無失点でつなぎ、埼玉西武が2点を追う形で迎えた8回表。先頭の栗山選手が敵失によって出塁し、ハーマン投手のボークで進塁。そして2死2塁の場面で、今日一軍に昇格したばかりの代打・山川選手が右中間席への同点2ラン。土壇場で埼玉西武が試合を振り出しに戻した。

しかし、直後の8回裏、先頭の銀次選手が四球で出塁し、続く聖澤選手が内野安打。7番・今江選手は犠打を試みるものの、敵失により自身も出塁に成功して、無死満塁となる。この絶好機で代打・アマダー選手がシュリッター投手の内角への球を左翼線にはじき返し、勝ち越しの2点適時二塁打を放つ。スコアを4対2とし、すぐさま試合をひっくり返した。

9回表のマウンドには、守護神・松井裕投手。埼玉西武打線を3者凡退に抑えて反撃の芽を確実に摘み取ると、試合はそのまま4対2で楽天が勝利した。敗れた埼玉西武は、試合終盤の8回表に山川選手が劇的アーチを描いたものの、結果的に3安打に抑え込まれ、それ以上の反撃は叶わなかった。これで両チームのカードの勝敗は1勝1敗。明日勝ち越しを懸けて戦うことになる。