今年も西武が「ライオンズカップ」を開催。「第7回中学硬式野球選抜大会」参加チームへ、プロ野球OBからもメッセージ!

パ・リーグ インサイト 藤原彬

2018.8.23(木) 17:00

2012年から7年連続の開催
2012年から7年連続の開催

セミの声にかぶさるように、試合開始を告げる甲高いサイレンの音が鳴った。8月21日は全国高等学校野球選手権大会の決勝試合日だったが、その1時間前にはメットライフドームで「ライオンズカップ 第7回中学硬式野球選抜大会」の決勝が行われている。大会に参加したのは、甲子園で戦いを繰り広げた高校球児より一回り体格の小さな中学硬式野球チーム所属の中学生だ。屋内のドームで、試合中はベンチとスタンドから声援が響いた。

明るさが一層際立ったのは、12チーム参加のトーナメントを最後まで勝ち上がった地元・埼玉県のふじみ野リトルシニアだ。試合中は伸び伸びとプレーしながら常に声が飛ぶ。決勝戦での選手紹介時、埼玉西武の一軍の試合さながらに曲が流れると、名前を呼ばれた選手はノリよくスタンドの仲間や保護者に手を振ってグラウンドへ駆け出していった。

元気いっぱいのふじみ野リトルシニアナイン
元気いっぱいのふじみ野リトルシニアナイン

ピンチの場面を迎えても、マウンドに集まったふじみ野リトルシニアの選手には笑顔が見られた。こうした風景が、近年は高校野球でもよく見られるようになっている。プロ仕様の広いグラウンドでのプレーとあって、浮足立ったようなミスが他チームには見られたが、ふじみ野リトルシニアのナインはそうした緊張をあまり感じさせなかった。

このようなチームの雰囲気は、深澤仁監督が意図して作り上げたものだ。「友達、選手、仲間が元気になるような言葉をかけられるようにと教えています。いつも勝っているチームではありませんから、負けていて大量点を取られていても、上を向いて明るくないといけないので、どんな局面でも笑顔を見せられるように」と指導している。その結果、今回のトーナメント決勝に5対0で勝利してライオンズカップを収めた。

優勝が決まった瞬間、ベンチもスタンドも歓喜
優勝が決まった瞬間、ベンチもスタンドも歓喜
準優勝を果たしたのは久喜リトルシニア
準優勝を果たしたのは久喜リトルシニア
優勝チームと準優勝チームは閉会式後の野球体験会に参加
優勝チームと準優勝チームは閉会式後の野球体験会に参加

近年、子供の気質の変化や競技人口の低下を受けて、アマチュア球界でよく聞かれるのが「野球を楽しく」の考えだ。西武もこの点を重視しながら、球団として野球振興活動に取り組んでいる。本大会も、プロ野球の本拠地でプレーする機会を提供することで、子供たちが野球を継続するきっかけを作ることが目的だ。

今年の「ライオンズカップ」は埼玉県、栃木県、群馬県、茨城県内すべての中学硬式野球チームから、12チームが選抜された。参加基準は「将来の夢に向かって一生懸命活動している」、「所属団体の大会ではなかなか結果が残せない」、「地域の活動に積極的に参加、貢献している」の3点だ。

大会パンフレットの表紙には「プロ野球選手の夢への一歩」と記されている。決勝で完封勝利を挙げたふじみ野リトルシニアの大平泰地投手は「埼玉西武の菊池雄星投手のようなピッチャーになりたいです!」と教えてくれたが、どれぐらいの選手がプロ入りをイメージしているのだろうか。深澤監督に聞くと「中学生ですので、本気で思っている子とそうでない子が分かりづらいかもしれませんが、このチームの選手の半分ぐらいは『ひょっとして』と思ってるのでは」と教えてくれた。

実際にプロの世界でプレーし、ふじみ野リトルシニアOBでもある、埼玉西武の嶋重宣一軍打撃コーチが参加した選手たちへコメントを寄せている。「ふじみ野リトルシニアの皆さま、ライオンズカップ優勝おめでとうございます! 素晴らしい試合運びで栄光を勝ち取ったこと、僕も誇りに思います。そして久喜リトルシニアの皆さん、惜しくも敗れてしましましたが、準優勝おめでとうございます。埼玉西武は現在、優勝を目指して毎日熱い戦いをしています。2チームの皆さん、ライオンズカップに出場された皆さん、ぜひ、この先も野球を続けてプロ野球選手になってこのスタジアムに戻ってきてください」。

プロ野球球団が開催するジュニアカップ出場を経て、高校野球で甲子園へ出場し、プロの世界へ飛び込む選手も出てきた。今回は「パ・リーグTV」がパ・リーグ6球団の主催する大会をライブ配信している(詳細)。プロ野球選手と、そのジュニア時代のプレーを並べて紹介。そんな企画が、近い将来に野球ファンを楽しませてくれるかもしれない。

出場チーム

【リトルシニア所属】
久喜リトルシニア(久喜市)
越谷リトルシニア(越谷市)
戸田東リトルシニア(戸田市)
ふじみ野リトルシニア(ふじみ野市)

【ボーイズリーグ所属】
越生ボーイズ(越生町)
所沢ボーイズ(所沢市)
栃木ボーイズ(栃木市)
前橋ボーイズ(前橋市)

【ポニーリーグ所属】
栃木ポニーベースボールクラブ(宇都宮市)
将門ベースボールクラブ(板東市)

【ヤングリーグ所属】
本庄ヤングベースボールクラブ(本庄市)
つくばヤングベースボールクラブ(つくば市)

優勝:ふじみ野リトルシニア
優勝:ふじみ野リトルシニア
準優勝:久喜リトルシニア
準優勝:久喜リトルシニア

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パ・リーグ インサイト 藤原彬

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