福岡ソフトバンク・柳田選手が放った100本のホームランを徹底解析

パ・リーグ インサイト 藤原彬

左へ、右へ、センターへ。6月23日の埼玉西武戦で飛び出した3本のアーチは象徴的だった。通算100号本塁打に到達した柳田選手(福岡ソフトバンク)は、どの方向にもホームランを叩きこむことができるのが持ち味だ。下記に記したとおり、100本の内訳を見るとライトとレフトへのホームランがともに26本と同じ本数である時点で驚異的だが、センター寄りの打球も含めると右方向には39本、左方向には43本と逆方向の方が多くなっている。これだけあらゆる方向に本塁打を放つことができる能力は、歴史的に見ても稀有だろう。

【打球方向別】
右 26本
右中 13本
中 18本
左中 17本
左 26本

それでは、対戦球団別の内訳はどのようになっているだろうか。最多は、通算打率.351と対パ・リーグで最も相性のいい埼玉西武からマークしている23本で、そのうち2本は満塁でのものだった。ちなみにサヨナラアーチは3本で、うち2本は千葉ロッテを相手に叩き込んでいる。所属する福岡ソフトバンク以外では巨人からまだ本塁打を放っておらず、今季も交流戦で記録することはできずに終わった。

【対戦球団別】
北海道日本ハム 18本
楽天 11本
千葉ロッテ 16本
埼玉西武 23本
オリックス 13本
東京ヤクルト 4本
横浜DeNA 7本
中日 4本
阪神 2本
広島 2本

【球場別】
札幌ドーム 10本
Koboパーク宮城(コボスタ宮城、Kスタ宮城含む) 3本
ZOZOマリン(QVCマリン含む) 4本
メットライフドーム(西武ドーム、西武プリンスドーム含む) 12本
京セラドーム大阪 4本
ヤフオクドーム 47本
横浜スタジアム 5本
ナゴヤドーム 2本
甲子園 1本
マツダスタジアム 1本
東京ドーム 1本
旭川 1本
帯広 1本
盛岡 2本
秋田 1本
郡山 1本
県営大宮 1本
北九州 3本

本拠地で試合数が多いとはいえ、球場別ではほぼ半分の47本を広いヤフオクドームで放っている事実も、柳田選手の規格外のパワーを物語っている。札幌ドームの広さをものともしていない点も同様だ。来季は東京ドームでの巨人戦とともに、神宮での東京ヤクルト戦でホームランを打って12球団本拠地制覇となるかにも注目したい。

【投手別(3本塁打以上)】
牧田和久投手(埼玉西武) 4本
有原航平投手(北海道日本ハム) 3本
石川歩投手(千葉ロッテ) 3本

【左右投手別】
右投手 79本
左投手 21本

対個人で最多は牧田投手(埼玉西武)なら、牧田投手にとっての被本塁打最多も柳田選手の4本だ。「アンダースローには左打者を」の格言はここでも証明されている。それぞれ3本塁打を放ってはいるが、有原投手(北海道日本ハム)には昨季24打数3安打で6三振を喫し、石川投手(千葉ロッテ)は通算対戦打率.162と苦手にしている相手だ。

【月別】
3月・4月 17本
5月 18本
6月 21本
7月 11本
8月 18本
9月・10月 15本

月別ではそれほど大きな波を作っていない。最多の6月をどこまで伸ばすことができるかとともに、そこへ手が届きそうな8月にどれだけ量産できるかが今季の注目ポイントだ。

【点差別】
同点 29本
1点差 14本
2点差 22本
3点差 14本
4点差以上 20本

【試合勝敗別】
勝利 74本
敗戦 26本

ホームランの飛び出した状況を見ると、僅差でのものが多く、チームの勝ちにうまく結びついている点が重要だ。今季は自身初のホームランキングも狙える位置にいる柳田選手がどれだけ本塁打の数を上積み、激しい首位争いを繰り広げるチームを勝利に導けるだろうか。これまでの100本塁打と同様に、これから放たれる本塁打にも期待がかかる。

記事提供:

パ・リーグ インサイト 藤原彬

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