楽天の「サブちゃん」こと、プロ7年目の福山投手。持ち前の明るいキャラクターでチームを盛り上げる福山投手は、今季ここまで28試合に登板し25回1/3、3勝0敗、11ホールド、1セーブという好成績。さらに、防御率は驚異の0.00とシーズンの前半戦も終わりに差し掛かるこの時期にあって、許した失点はわずか1点で、自責点は0である。
楽天は6月26日終了時点でパ・リーグ首位を走っており、その強さを支えている大きな要因の一つとして、勝ち試合を確実に拾うための中継ぎ陣の充実ぶりが挙げられる。特にシーズン序盤は、新外国人のハーマン投手、ドラフト5位ルーキーの森原投手、守護神・松井裕投手からなる「勝利の方程式」が大車輪の活躍を見せた。登板数がかさんだことで森原投手が登録を抹消され、ブルペン陣の顔触れも起用法も変更を余儀なくされたが、福山投手はその中でもこれまでと変わらずに鉄壁の安定感を誇っている。
福山投手は、2010年にドラフト6位で横浜に入団。わずか2年で戦力外通告を受け、2012年のオフに楽天に加入した。楽天が球団史上初のリーグ制覇、日本一を達成する2013年に22試合登板で出場機会を増やし、2014年には中継ぎとして65試合に登板するフル回転。その年のオールスターゲームにも監督推薦で選出されるなど大躍進を遂げた。
翌2015年も65試合、2016年も69試合登板と3年連続で60試合以上の登板を果たし、プロ7年目となる今季も開幕戦から登板。場面を問わずに起用され、ほとんどピンチを背負うことなく、任された1イニングを無失点で抑える頼もしい投球を継続している。5月16日の北海道日本ハム戦では初の失点を喫するが、この失点は味方の失策によるもので、自責点はいまだに0点である。
熊本で行われた5月13日の福岡ソフトバンク戦では、1点を追う8回裏に登板し、高谷選手が犠打を仕掛けて打ち上げた球を、持ち前の瞬発力でダイビングキャッチ。チームは1点差で敗れたものの、果敢なプレーで勝利に対する貪欲な姿勢を見せた。6月24日の北海道日本ハム戦では、1点を勝ち越した後の延長11回裏に登板すると、危なげなく3者凡退に抑えて今季初のセーブもマークしている。
福山投手は、野球選手としては決して大柄な体格ではないが、ダイナミックなフォームから繰り出す直球は150キロを超える。また、5月2日のオリックス戦で安達選手の打球を倒れ込みながらも好反応でつかみ、正確に1塁へ送球してアウトにするなど、球界屈指のフィールディングをも備えている。それ以外にも、50メートルで6秒前後を計測すると言われている俊足の持ち主でもあり、2013年には代走として公式戦に出場した経験もあるほどだ。
シーズンの前半戦も終盤に差し掛かり、リーグ首位に立つチームのすぐ後ろには、2位の福岡ソフトバンクが迫ってきている。夏場に向けて戦いはこれまで以上に過酷なものになり、投手陣の台所事情は否応なく苦しくなっていくだろう。そんなとき、僅差の試合を一つでも多く拾うために、福山投手のような経験豊富かつタフネスな投手の存在がますます重要になってくるはずだ。
今後、福山投手が防御率0.00という素晴らしい成績をいつまで継続できるのか。そしてチームが日本一に輝きながらも、投手としてポストシーズンでの出場を果たせなかった2013年とは違った心境で大舞台に立てるのか。今ではチームに欠かせない存在となった福山投手の投球に注目していきたい。
記事提供: