打撃面で成長を見せる
2018年ドラフト1位で千葉ロッテに入団し、昨季は自己最多の103試合に出場した藤原恭大選手。6年目の今季はオープン戦で右膝を骨折した影響もあって出遅れたものの、実戦復帰後は二軍で状態の良さをアピール。6月末に一軍昇格を果たすと、7月に月間打率.322の活躍を見せ、後半戦はレギュラーに定着した。チームの上位争いに欠かせない存在となった藤原選手には、昨季からどのような変化があったのだろうか。
ノーステップ打法で好成績をマーク
昨季との最も大きな違いは、2ストライクと追い込まれた場面でのバッティングだ。藤原選手は基本的に右足を上げてタイミングを取るが、今季は追い込まれるとノーステップ打法に切り替え、チームメートの角中勝也選手をほうふつとさせる構えで投球を待つ。この試みが功を奏し、2ストライク時の打率は.263をマーク。一般的に2ストライクは打者にとって極めて不利なカウントであり、リーグ平均の打率が.174であることを考慮すると、非常に優れた数字だ。
ゾーンの見極めが改善
追い込まれた状況で好成績を残している要因として、ボール球に手を出すことが少なくなった点が挙げられる。2ストライク時のボールゾーンスイング率は、昨季の59.9%(リーグ平均45.3%)から今季は47.8%(同46.2%)と大幅な改善が見られる。また、ストライクゾーンのスイング率は昨季よりも上がっており、投球のゾーンを正確に見極めてスイングをかける傾向がデータに表れている。こうしたアプローチの変化は三振の減少と四球の増加につながり、打率だけでなく出塁率も大きく向上。打撃面全体に良い影響を与えている。
全体としてはゴロ打球が多いものの、打球の強さは健在
アプローチの次は、バットに当てた後の打球について見てみよう。2ストライク時は打球の6割以上をゴロが占めており、リーグ平均よりも10ポイント以上多くなっている。ヒットになりにくいゴロ打球が増えることはデメリットにも思えるが、一方でヒットになりやすいライナー打球の割合もリーグ平均を上回っている。そして特徴的なのがフライ打球で、割合こそ少ないものの18打数11安打という極端な好成績をマーク。また、今季放った8本の二塁打のうち、5本は2ストライクから記録したものだ。確実性を重視するノーステップ打法でもスイングの強さは失われておらず、相手バッテリーにとっては脅威となっているだろう。
入団時から大きな期待を背負うも、悔しいシーズンが続いていた藤原選手。打撃フォーム変更などの試行錯誤がついに一軍で実を結んだ。激しいAクラス争いを経てポストシーズンに臨まんとする背番号1に、最後まで注目していきたい。
※文章、表中の数字はすべて2024年9月29日終了時点
文・データスタジアム
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