打席の中で走りながらバットを出し、俊足を生かして内野安打を狙う。今季の一軍デビュー戦となった5月31日の阪神戦で、代名詞の「走り打ち」を見せたサントス選手に対し、ZOZOマリンスタジアムを埋めた観客は大いにどよめいた。
開幕前にトップバッターとして期待された選手たちが揃って打撃不振に苦しんでいることもあって、リードオフマン不在はパ・リーグ最下位に沈む千葉ロッテの課題の一つとなっていた。それだけに、キューバ代表の1番として、今年の「第4回ワールド・ベースボール・クラシック」で活躍したサントス選手にかかる期待は大きかった。
入団が決まった際に、伊東監督が「1日でも早く合流してほしい」と語るほど切羽詰まった状況にあって、俊足巧打のキューバ代表は徐々にその本領を発揮していく。
初スタメンとなった6月1日の阪神戦で、早速来日初安打を放つと、続く2日の広島戦ではマルチ安打を記録。犠打もこなしてベンチの信頼を勝ち取り、8日の中日戦では初の1番を任される。その試合で2安打2四球をマークし、リードオフマンとしての役割を果たすとともに、チームの連敗ストップにも貢献した。
サントス選手は、6月16日の時点で.348の高打率をマーク。6日の中日戦では2本の走り打ちを成功させて球場を湧かせたが、先述の広島戦では打席でしっかりと構えて右中間に鋭い当たりを飛ばすなど、臨機応変に対応できる打撃技術の高さを証明した。
4安打を記録して来日後初めてとなるお立ち台に上がった9日のヤクルト戦では、最後に「1、2、サントス!」という“決め台詞”も披露。同じキューバ代表であり、昨季まで千葉ロッテで活躍したデスパイネ選手(現・福岡ソフトバンク)の「デスパ、いいね!」を彷彿とさせるパフォーマンスだが、先達のように日本球界で確固たる地位を築けるか。持ち前の明るさでチームを活気づかせる韋駄天の挑戦から目が離せない。
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