楽天・安樂投手の今季初先発試合は、時を越えた「甲子園最速男対決」

パ・リーグ インサイト 馬塲呉葉

2017.6.14(水) 00:00

高校野球の聖地・甲子園で記録された高校生投手の最速は155キロ。高校時代にその球速をマークし、埼玉西武の菊池投手、阪神の藤浪投手といった速球派投手を抑えて甲子園の球速ランキングのトップに君臨するのは、楽天の安樂投手(2013年・済美高校)である。

2014年のドラフトで楽天から1位指名を受けた安樂投手は、2015年に史上18人目となる高卒投手一軍初登板初勝利を達成。プロ2年目となった昨季は、開幕後しばらくは調子が上向かず中継ぎも経験したものの、シーズン終盤からは徐々に大器の片鱗を見せ始める。

9月18日の埼玉西武戦で8回1失点、9月25日の北海道日本ハム戦で7回無失点、10月1日のオリックス戦で8回1失点と、3試合連続で圧巻の投球を披露。最終的に15試合に登板して84回1/3を投げ、3勝5敗、64奪三振、防御率3.42という成績を残した。

楽天の次期エースの呼び声も高く、今季は則本投手、岸投手の両エースに続く先発3番目の柱となることが期待されていた安樂投手。しかし、シーズンの開幕直前に太ももを痛め、開幕ローテーション入りはかなわず。2カ月以上にわたる二軍調整を余儀なくされる。

焦る気持ちを抑えつつ怪我を癒した安樂投手は、6月14日の「日本生命セ・パ交流戦」の東京ヤクルト戦で、ついに今季初登板を迎えた。相手先発は、仙台育英高校時代に安樂投手と同じ155キロをマークし、甲子園球速ランキングのトップに並び立つ由規投手。この日、奇しくも甲子園最速記録を持つ2投手が、ともに先発マウンドに上がった。

初回、安樂投手は先頭の坂口選手に四球を与え、4番・雄平選手に適時打を浴びるなどして1点を失う。制球に苦しみ球数を要したものの、球速は150キロに迫り、2回、3回は東京ヤクルト打線を3者凡退に抑えてみせた。

しかし、その後も2点を奪われて、最終的に6回を投げて被安打5、奪三振5、与四球2、失点3という投球内容。今季初登板初勝利とはならず、「甲子園最速男対決」は7回1失点の好投を見せた由規投手に軍配が上がった。とはいえ、安樂投手はまだまだプロ3年目の20歳。チームにとっては日程が過密になる夏場に向けて、頼もしい戦力が加わったと言えるだろう。

記事提供:

パ・リーグ インサイト 馬塲呉葉

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE