リーグ優勝するためには投手陣がカギを握る。そう言い切れる理由が、最近10年間パ・リーグを制した球団はチーム防御率1位か2位の球団だからだ。特に2015年からの3年間は、チーム防御率1位となった球団がリーグ優勝を成し遂げている。
【最近10年間のリーグ優勝球団のチーム防御率】
2008年 3.86(2位)埼玉西武
2009年 3.65(1位)北海道日本ハム
2010年 3.89(2位)福岡ソフトバンク
2011年 2.32(1位)福岡ソフトバンク
2012年 2.89(2位)北海道日本ハム
2013年 3.51(2位)楽天
2014年 3.25(2位)福岡ソフトバンク
2015年 3.16(1位)福岡ソフトバンク
2016年 3.06(1位)北海道日本ハム
2017年 3.22(1位)福岡ソフトバンク
※()はチーム防御率リーグ順位
そう考えると、現在チーム防御率1位の3.60を記録する2位・北海道日本ハム、同2位の3.69の5位・オリックスが該当する。
北海道日本ハムは、チームトップ10勝の上沢直之投手、7勝のマルティネス投手の勝ち頭2人に加え、再昇格後は4試合29.2イニングスを投げて自責点5と復調気配の有原航平投手が先発陣を引っ張る。
救援陣は5月に月間救援防御率が1点台を記録するなど抜群の安定感を誇り、勝ちパターンのトンキン投手が防御率2.19、宮西尚生投手も2.19、石川直也投手が2.94。その前を投げる公文克彦投手の防御率が1.57、玉井大翔投手が防御率3.09をマーク。僅差の場面でもトンキン投手、宮西投手を温存させているように、他球団に比べて登板数が少ない傾向にあり、救援陣の負担が少ないのではないだろうか。それができるのも救援陣の層が厚くなったからであると言えそうだ。
一方のオリックスの投手陣は
一方のオリックスはチーム打率がリーグワーストの.241だが、チーム防御率はリーグ2位の3.69。北海道日本ハムと同じように救援陣の安定感が光り、リードした試合を一つずつものにしている。
春先は黒木優太投手、近藤大亮投手がセットアッパーを務めていたが、彼らが打ち込まれる場面もあり、現在は吉田一将投手、山本由伸投手が守護神・増井浩俊投手につなぐセットアッパーを担当。
吉田一投手はリーグ最多の49試合に登板し20ホールド、山本投手は39登板で25ホールドを挙げ、山本投手の29HPはリーグトップの数字だ。北海道日本ハムからFAでオリックスに入団した増井投手も、他球団の守護神が不調で苦しむなか、リーグトップの23セーブ、防御率1.99と上々の働きを見せている。
オリックスも近藤投手、比嘉幹貴投手といったリリーフが控えているが、北海道日本ハムのように休ませながら勝ちパターンの投手を起用ということがなかなかできていない印象。今後は夏場に向けての登板過多が課題となるか。
救援陣を休ませるためにも、開幕から81試合連続無完投だった先発陣の奮起が求められる。アルバース投手、金子千尋投手、西勇輝投手、ディクソン投手、山岡泰輔投手など、力のある先発陣は多い。救援陣に頼らず、1人で投げ切れる試合が増えれば、まだまだ優勝争いに食い込む力はありそうだ。
過去10年のリーグ優勝チームを見ても、チーム防御率上位の球団がリーグを制している。このデータを参考にするならば、現状では投手陣が安定している北海道日本ハム、オリックスにも優勝のチャンスが十分ありそうだ。
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