東北楽天が創設20年目で初優勝。過去に交流戦で優勝したパ・リーグ球団の年間成績は?

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2024.6.24(月) 14:00

東北楽天ゴールデンイーグルス・鈴木大地選手(C)パーソル パ・リーグTV
東北楽天ゴールデンイーグルス・鈴木大地選手(C)パーソル パ・リーグTV

パ・リーグの球団としては、5球団目の交流戦優勝チームとなった

 東北楽天が2024年の交流戦で13勝5敗という成績を残し、球団創設20年目にして初の交流戦優勝を果たした。パ・リーグでは過去に千葉ロッテ、北海道日本ハム、福岡ソフトバンク、オリックスの4球団が交流戦優勝を達成しており、今季でリーグにとっては5球団目の王者が誕生したことになる。

 過去の交流戦では成績上位チームをパ・リーグ球団が占めるケースも少なからず存在し、パ・リーグのチームが交流戦優勝を飾るシーズンも多かった。それでは、交流戦で優勝した球団が最終的にレギュラーシーズンで残した成績は、いったいどのようなものだったのだろうか。

 19年にわたる交流戦の歴史において、パ・リーグのチームが優勝した回数は13度。今回は、過去に交流戦で優勝したパ・リーグ球団の年間成績を全て紹介するとともに、そこから見えてくる傾向と、交流戦優勝というタイトルが持つ「縁起の良さ」について見ていきたい。

8度の優勝を誇る福岡ソフトバンクをはじめ、多くのチームが強さを見せてきた

 過去の交流戦において優勝を飾った、パ・リーグの球団は下記の通り。

交流戦優勝を飾ったパ・リーグ球団一覧(C)PLM
交流戦優勝を飾ったパ・リーグ球団一覧(C)PLM

 交流戦初年度の2005年に初代優勝チームとなった千葉ロッテは、翌2006年にも優勝して連覇を達成。当時は交流戦の試合数が36試合と現在の倍にあたる数字だったこともあり、交流戦がシーズンに及ぼす影響は今以上に大きかったと考えられる。

 2007年からは交流戦の試合数が24試合に減少したが、それ以降も交流戦におけるパ・リーグ球団の躍動は続いた。2007年には北海道日本ハムが初優勝を飾り、2008年と2009年は福岡ソフトバンクが連覇。2010年にはオリックスが初優勝を達成するなど、6年間で4つのチームが交流戦のタイトルを獲得する群雄割拠の時代を迎えていた。

 交流戦開始から2011年まで7シーズン連続でパ・リーグ球団の優勝が続いたが、巨人が優勝した2012年にその記録は途切れた。翌2013年は福岡ソフトバンクが2年ぶりに交流戦優勝を果たしたが、2014年は再び巨人が優勝。しかし、交流戦が現行の18試合制に変更された2015年以降は、福岡ソフトバンクが文字通り圧倒的な強さを見せつけていくことになる。

 福岡ソフトバンクは2015年、2016年、2017年と交流戦3連覇を飾り、連覇が途切れた翌年の2019年にもタイトルを獲得。2014年以降の7年間で6度の日本一とチームが黄金期を謳歌していたこともあり、セ・リーグのチームに対して比類なき強さを見せていたことが数字にも示されている。

 2020年は社会情勢の影響で交流戦が行われなかったが、2年ぶりの開催となった2021年にはオリックスが11年ぶり2度目の交流戦優勝を飾った。2022年は東京ヤクルト、2023年は横浜DeNAが優勝したが、2024年は東北楽天がパ・リーグ球団として3年ぶりの優勝を果たしている。

 交流戦が開催された2005年は、東北楽天にとって記念すべき球団創設初年度でもあった。当時は球団発足直後で戦力面が苦しかったこともあり、同年の交流戦は11勝25敗という成績で最下位に沈んでいる。それからちょうど20年が経過しての初優勝は、ファンにとっても感慨深いものがあることだろう。

 各チームの優勝回数に目を向けると、12球団最多となる8度の優勝を達成している福岡ソフトバンクをはじめ、千葉ロッテとオリックスがそれぞれ2度の優勝を経験。北海道日本ハムと東北楽天も1度ずつ優勝を果たしており、多くのチームがタイトルを手にするかたちとなっている。

全体の半数近い割合のチームが、交流戦とシーズンの“2冠”を達成

 続いて、交流戦で優勝したチームが同年に残したシーズン成績を確認しよう。

交流戦優勝を飾ったパ・リーグ球団の年間成績(C)PLM
交流戦優勝を飾ったパ・リーグ球団の年間成績(C)PLM

 2023年までの交流戦でパ・リーグの球団が優勝した回数は13度にわたるが、そのうち半数近くの6チームが同年にリーグ優勝を果たしている。また、交流戦優勝を果たした年にAクラスに入ったケースは実に9度と、総じてリーグ戦再開後も好成績を収めた例が多かったことが示されている。

 とりわけ、2011年以降における7つの優勝チームのうち6チームが1位か2位と、近年に入ってからはより成功例が多くなっている。その大半が黄金期を迎えていた福岡ソフトバンクだったという点は勘案する必要がありそうだが、2021年のオリックスも同様の傾向を見せ、見事にリーグ優勝を飾っている点は興味深いところだ。

 過去19回開催された交流戦において、パ・リーグが勝ち越しを達成した回数は実に16度におよぶ。交流戦で大半のチームが好成績を残すケースが多いということは、裏を返せば、交流戦で苦戦したチームは他の球団に置いて行かれる可能性が高いということでもある。

 その影響が顕著に表れていたのが2010年シーズンであり、同年の交流戦では上位6チームを全てパ・リーグ球団が占める事態となった。それもあって、74勝67敗という成績を記録した北海道日本ハムが4位となるほどにハイレベルなAクラス争いが展開されることになり、最終戦まで勝率5割の可能性を残していたオリックスもシーズン5位に終わっている。

長年苦しんでいたチームを、タイトルが大いに勢いづけた例も複数存在

 2023年までに交流戦優勝を果たした経験を持つチームは、千葉ロッテ、北海道日本ハム、福岡ソフトバンク、オリックスの4球団。そして、この4チームはいずれも、交流戦で優勝した年にリーグ優勝を果たす“シーズン2冠”を達成した経験を持つ点も特筆ものだ。

 さらに、2005年の千葉ロッテは31年ぶり、2021年のオリックスは25年ぶりと、交流戦での好成績が久々のリーグ優勝につながった例も存在する。こうした成功例は、長きにわたってリーグ優勝から遠ざかっていた球団にとっては、交流戦優勝という結果が大いにチームを勢いづけることもあるという事実を示すものでもあるだろう。

 先述した通り、交流戦優勝チームがそのままリーグ優勝を飾ったり、Aクラス入りを果たす可能性は高い。それに加えて、苦戦が続いていたチームを上昇気流に乗せたケースが複数にわたって見受けられる点にも、交流戦優勝という記録が持つ縁起の良さが示されていると言えよう。

過去の例と同様に、今季の東北楽天もさらなる躍進を果たせるか

 交流戦の試合数が現在よりも多かった2014年以前は、交流戦における成績がレギュラーシーズンにおよぼす影響が今以上に大きかったと考えるのが自然だろう。にもかかわらず、2015年以降の交流戦優勝チームが全て1位か2位に入っているという事実は、試合数が減った現在においても、交流戦がシーズンに大きな影響を与えていることの証左となっている。

 パ・リーグの球団としては3年ぶりの優勝を飾った東北楽天も、残るシーズンでさらなる躍進を遂げる可能性は大いにありそうだ。若き指揮官が率いるチームが、球団史上初となる交流戦のタイトルを得たことによってさらなる成長を見せるか。レギュラーシーズン再開後におけるイーグルスの戦いぶりには、あらゆる意味で要注目となることだろう。

文・望月遼太

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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