中田の回避で“無期限ファーム調整"が一転、急遽先発し快投
■福岡ソフトバンク 4-0 東北楽天(29日・ヤフオクドーム)
正直、よく分からない投手である。福岡ソフトバンクの武田翔太投手。29日に本拠地ヤフオクドームで行われた東北楽天戦で先発すると、好調だった東北楽天打線をほぼ完璧に抑え込み、完封勝利を挙げた。許した安打はわずか3安打。二塁すら踏ませぬ、圧巻の投球内容だった。
当初、この日の先発マウンドに上がっていたのは中田賢一投手のはずだった。それが、前日28日にウイルス性胃腸炎を患い、出場選手登録を抹消。先発も当然、回避となった。そこで代役として白羽の矢が立ったのが、ファーム調整中で、29日から出場選手への再登録が可能となる武田だった。
武田は、7月18日の埼玉西武戦(北九州)で2回8安打7失点と大炎上。自身5連敗となり、翌19日に出場選手登録を抹消された。約2か月半に渡って白星がなく、不甲斐ない投球が続いていたため、首脳陣はファームでの再調整を課した。
降格時には“無期限"でのファーム調整となるはずだったのだが、アクシデントにより最短10日で復帰し、まさかの完封勝利だった。
「今日こそはいいピッチングをしたいと思ってマウンドに上がった。ずっと思い通りにいかなくて、1番苦しんだ年になった。どうにかして這い上がろうという気持ちで10日間練習していた」と、ホッとした表情を見せた武田。今季15試合目の先発で3勝7敗。ようやく3勝目を挙げたのだが、その3勝は全て完封勝利というのが、また不思議だ。
代役でのスクランブル先発にも関わらず、完封勝利。しかも、不調のトンネルにあったはずが、突如として復調を遂げた。チームの窮地を救う快投には、工藤公康監督も「想像以上です」と驚いた。
「ファンの人にも迷惑ばかりかけて、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。これからも自分の投球を続けられるように頑張ります。もっとチームに貢献できないといけない」と語った武田。勝負の後半戦、チームにとって大事なピースとなるかもしれない。
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