投球再開は「素晴らしい朗報」も…元投手と元野手で意見は割れる
右肘靭帯損傷から投手としての復帰も目指すエンゼルスの大谷翔平投手は、今月19日(日本時間20日)の再検査の結果、投球練習を無事再開させた。
現在は指名打者として出場を続けている二刀流のスターの今季中の投手復帰の是非を巡っては様々な意見が出ており、チームOBら現地解説者が激論を交わすこともあった。
約1周間前、20日(同21日)の本拠地アストロズ戦の試合前だった。地元の中継局「FOXスポーツ・ウェスト」では大谷の投球再開をテーマに盛り上がっていた。
「個人的には靭帯が回復し始めているということは素晴らしい朗報です」と口火を切ったのは、エンゼルスOBで投手としてメジャー通算132勝の実績を持つマーク・グビザ氏。エンゼルス戦のメーン解説者を務めるグビザ氏は、投手目線から期待と不安を明かした。
「今季先発できるかどうかはまだ見えませんが、彼がキャッチボールを行っている状況を見ながら、試合で投げられるかどうか、重要なことは球団の判断でしょう。彼が先発する時には、スタジアムに凄まじい興奮をもたらします。100マイル(約161キロ)の速球にスプリットです。スライダー、カーブです。彼は最後に登板した時に、変化球に違和感を覚えているようでした。我々は最終的に肘に起こった問題と関係があるのか、と考えてしまいます」
6月6日(同7日)のロイヤルズ戦では当初マメの影響で緊急降板したが、翌日の検査で靭帯損傷が発覚した。グビザ氏は変化球を投じる際に、大谷に異変が起きたのではないかと推測している。
一方、1993年の新人王で「ミスター・エンゼル」と呼ばれる元外野手のティム・サーモン氏も熱く持論を展開した。
プレーオフ進出は厳しいエンゼルス「すべてをかけるのか? 私はそう思いません」
「自分は混乱している部分があります。エプラーはトミー・ジョン(手術)について考えたことはないと話しています。PHP注射で回復を促すということでしたが、9月復帰が時間的に可能ならば、すべてがうまくいって、プッシュするとしても、オフシーズンまで投手としては休ませるのはどうか。回復を継続できないものか」
後半戦に投手としての復帰を急がせるよりも、肘を休ませ、回復をさらに促すことが得策と分析している。二刀流は一時“凍結”となるが、球団にもメリットがあるという。
「彼は攻撃で偉大な仕事ができるし、ファンも球場に足を運ばせることもできる。無理して今投げさせるよりも、よりいいはずだ。完治の可能性が高まるのなら、打者としてチームに貢献してもらう方がいい」
エンゼルス史上最強の打者の1人と称されるサーモン氏は打者目線から大谷の今季「DH専念」を打ち出した。
現役時代にパドレスなどでプレーした元内野手のホセ・モタ氏も今季中の「投手・大谷」の復活には否定的な姿勢だった。
「投手として投げられる状態になるまで、マイク・ソーシアは(一般的に)6週間かかるといっていたのです。投手はみなスプリングトレーニングを行い、ブルペンでも投球練習を行います。彼は完全に投手としてシャットダウンしていました。我々の現在地も鑑みて、今季、彼は投げるべきなのか。エンゼルスは(今季復活に)すべてをかけるのか? 私はそう思いません」
6月6日(同7日)の故障発覚後、再検査を受けて投球再開にゴーサインが出た7月19日(同20日)まで投球練習を控えてきた大谷。9月にマウンドに立てる可能性はあるが、プレーオフ争いが厳しい現状で、大谷の投手復帰を急がせる意味はあるのか、という分析だ。
モタ氏はさらに「しかし、少なくとも彼が前進していることがわかったことはいいことです。彼が外野で投球練習を行いましたが、ファンもカメラも波ができていました。いい感じで投げていましたね」と語っていた。
司会者は「ショウヘイ・オオタニが投球再開をしたことは、チームメートとファンを高揚させるものです」と白熱した議論を一旦締めくくっていたが、ファン待望の二刀流復活は現地でも大きな議論を呼んでいる。
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