未来を担う逸材たち。パ・リーグ各球団で活躍する、U-24の選手たちの顔ぶれは?

パ・リーグ インサイト 望月遼太

北海道日本ハムファイターズ・田宮裕涼選手、埼玉西武ライオンズ・武内夏暉投手(C)パーソル パ・リーグTV
北海道日本ハムファイターズ・田宮裕涼選手、埼玉西武ライオンズ・武内夏暉投手(C)パーソル パ・リーグTV

若手選手の台頭は、選手層の拡充という面でも重要に

 2024年のシーズンが開幕し、各チームが熾烈な争いを繰り広げている。シーズンは半年以上にわたる長い戦いとなるだけに、各チームで台頭を見せている若手選手たちの存在は、選手層を厚くするという意味でも大きな意味合いを持つことになる。

 今回は、現在のパ・リーグにおいて活躍を見せている満24歳以下の選手たちについて、各球団ごとに分けて紹介。チームの未来を担う逸材たちの顔ぶれを確認するとともに、各選手の今後の活躍にも期待を寄せたい。(成績は5月12日の試合終了時点)

北海道日本ハム

北海道日本ハムの若手選手 2024年投手成績(C)PLM
北海道日本ハムの若手選手 2024年投手成績(C)PLM
北海道日本ハムの若手選手 2024年成績(C)PLM
北海道日本ハムの若手選手 2024年成績(C)PLM

 2年目の金村尚真投手はリリーフとして開幕一軍入りを果たし、勝ちパターンとして7ホールドポイントを挙げた。5月8日には今季初めて先発登板するなど、チーム事情に応じてマルチな活躍を見せつつ、防御率1.47と抜群の安定感を発揮している。

 また、北浦竜次選手も12試合に登板して6つのホールドポイントを挙げ、リリーフ陣の主力として活躍。野手では、田宮裕涼選手が守備の負担が大きい捕手というポジションながら打率.318を記録。優れた打撃センスを存分に発揮し、主力の一人へと成長を遂げつつある。

 さらに、細川凌平選手も打数こそ少ないものの打率.286と一定以上の成績を残し、水野達稀選手も着実に出場機会を伸ばして内野争いに加わっている。万波中正選手も本塁打王争いを演じた昨季に続いて主力を務め、33試合でリーグ5位タイの4本塁打、OPS.724と一定の数字を記録している。

東北楽天

東北楽天の若手選手 2024年投手成績(C)PLM
東北楽天の若手選手 2024年投手成績(C)PLM

 昨季はリリーフとして53試合に登板して防御率2.28と活躍した内星龍投手が、先発に転向した今季も防御率2.58と好投を見せている。勝ち星こそ1勝止まりながらクオリティスタート率は83.3%と安定して試合を作っており、先発としての適性を存分に示している。

 また、昨季のドラフト1位指名投手・荘司康誠投手は防御率4.71とやや安定感は欠いているが、奪三振率9.86と投球に力強さが増している。昨季の奪三振率7.63という数字に比べて顕著な改善が見られるだけに、投球の質の変化を成績向上につなげたいところだ。

 ドラフト5位ルーキーの松田啄磨投手は、5試合の登板で防御率1.50と抜群の安定感を発揮。主にロングリリーフとして4試合の中継ぎ登板で8イニングを消化しただけでなく、4月13日の千葉ロッテ戦では体調不良の荘司投手に代わって急遽先発を務めるなど、抜群のスタミナを活かしてプロの舞台で躍動を見せている。

埼玉西武

埼玉西武の若手選手 2024年投手成績(C)PLM
埼玉西武の若手選手 2024年投手成績(C)PLM
埼玉西武の若手選手 2024年成績(C)PLM
埼玉西武の若手選手 2024年成績(C)PLM

 前年に47試合で18ホールド、防御率2.50と活躍した佐藤隼輔投手が、今季も13試合で7ホールド、防御率1.46と絶好調。左のセットアッパーとして、前年を上回る安定感を示している。同期の隅田知一郎投手も過去2年と同様に貴重な左の先発として奮闘を見せており、2021年のドラフト1・2位コンビが主戦投手に成長してチームを支えている。

 武内夏暉投手は5試合全てでクオリティスタートを達成し、3勝負けなし、防御率1.50と支配的な投球内容を披露。3球団競合のドラフト1位という前評判に違わぬ、圧巻のピッチングを展開している。先発転向2年目の平良海馬投手も5試合で防御率1.42と非常に優れた成績を残していたが、残念ながら現在は故障の影響で戦列を離れている。

 野手では、前年に100試合に出場して主力の座をつかんだ古賀悠斗選手が、今季も主戦捕手として活躍。昨季は打率.218、OPS.596と打撃に課題を残したが、今季は打率.297、出塁率.348、OPS.738と、オフェンス面において長足の進歩を示している点も頼もしい限りだ。

千葉ロッテ

千葉ロッテの若手選手 2024年投手成績(C)PLM
千葉ロッテの若手選手 2024年投手成績(C)PLM
千葉ロッテの若手選手 2024年成績(C)PLM
千葉ロッテの若手選手 2024年成績(C)PLM

 横山陸人投手は開幕から勝ちパターンの一角に加わり、益田直也投手の不調もあって一時はクローザーも務めた。4月19日の試合を最後に一軍を離れているものの、7試合で2ホールド2セーブ、防御率2.84を記録し、防御率5.26に終わった昨季からの成長を垣間見せている。

 佐々木朗希投手は圧倒的な投球を随所で披露しながら、故障の影響で一度も規定投球回には到達できていない。しかし、今季は4月以降の5試合全てで100球以上を投じており、昨季までに比べてスタミナの向上を示している。新たなアプローチが実を結んでケガなくローテーションを守り切れるか、今季の投球にも要注目となってきそうだ。

 友杉篤輝選手は1年目からショートの定位置を争った昨季に続き、今季も29試合で打率.289と奮闘。打撃面における進境が著しいだけに、レギュラー奪取の可能性も大いにあるはずだ。山口航輝選手は33試合で打率.214、2本塁打と苦しんでいるが、5月は打率.261と復調の兆しを示しつつある点に期待したいところだ。

オリックス

オリックスの若手選手 2024年投手成績(C)PLM
オリックスの若手選手 2024年投手成績(C)PLM
オリックスの若手選手 2024年成績(C)PLM
オリックスの若手選手 2024年成績(C)PLM

 2022年のドラフト1位で入団した曽谷龍平投手が、4試合に先発して防御率2.49と好投。奪三振率10.38、K/BB4.17と投球内容も優秀で、一躍主力投手に成長を遂げつつある。また、ともにルーキーの高島泰都投手と古田島成龍投手がリリーフとして奮闘。とりわけ、古田島投手は7試合で無失点、奪三振率9.72と、1年目から出色の投球を披露している。

 自身初となる開幕投手を務めた宮城大弥投手は6試合で防御率1.49と抜群の安定感を示していたが、左大胸筋の損傷で戦線を離脱。4試合で防御率1.35と好投していた東晃平投手も右手のマメの影響で登録を抹消されており、若き左右の両輪の復活が待たれるところだ。

 野手では紅林弘太郎選手が今季も主力として33試合に出場し、打率.266と一定の数字を記録。キャリア平均の出塁率が.286と選球眼に課題を抱えていたが、今季は出塁率.344と大きく数字を改善。遊撃手のレギュラーとしてチームの3連覇を支えた22歳の若武者は、今季も飽くなき進化を続けている。

福岡ソフトバンク

福岡ソフトバンクの若手選手 2024年投手成績(C)PLM
福岡ソフトバンクの若手選手 2024年投手成績(C)PLM
福岡ソフトバンクの若手選手 2024年成績(C)PLM
福岡ソフトバンクの若手選手 2024年成績(C)PLM

 昨季途中から先発ローテーションに定着したスチュワート・ジュニア投手が、今季も先発陣の一角として奮闘。ここまで5試合の先発で防御率2.28と好成績を残しているだけに、今季は高いポテンシャルを完全に開花させ、投手陣の大黒柱に成長を果たせるかに注目だ。

 また、現役ドラフトで北海道日本ハムから移籍した長谷川威展投手は、4試合で2ホールドポイントを挙げて無失点と好投。さらに、ドラフト2位ルーキーの岩井俊介投手は2試合で無失点、奪三振率13.50と高いポテンシャルの一端を垣間見せ、同じく新人の澤柳亮太郎投手も序盤戦から一軍で登板機会を得ている。

 野手では今季の開幕前に支配下昇格を勝ち取った川村友斗選手が、打率.333、出塁率.418、OPS.839と見事な打撃を披露している。リーグ屈指の陣容を誇る外野陣の一角を奪い取らんばかりの勢いを示しているだけに、このまま好調を維持して大ブレイクを果たし、新たな「育成の星」となる可能性は十分だ。

若き逸材たちは、首脳陣の大きな期待に結果で応えられるか

 多くの実力者が居並ぶプロ野球の世界にあって、若くして多くの出場機会を得ることは決して容易ではない。それだけに、各球団において早くも台頭を見せて経験を積んでいる若手選手たちは、首脳陣が期待を寄せるに足るだけの非凡な才能を持ち合わせていることになる。

 はたして、今回取り上げた選手たちはこのまま好成績を残し続け、不動の主軸としてチームを支える存在へと成長することができるか。各チームの未来を担う可能性を秘めた選手たちが一軍の舞台で見せる躍動に、今季もあらためて注目してみてはいかがだろうか。

文・望月遼太

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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