「282打席連続タイムリーなし」の若鷲。トンネルを抜けるその日を待っている

パ・リーグ インサイト 馬塲呉葉

2018.7.23(月) 19:52

東北楽天ゴールデンイーグルス・茂木栄五郎選手、千葉ロッテマリーンズ・鈴木大地選手(C)PLM
東北楽天ゴールデンイーグルス・茂木栄五郎選手、千葉ロッテマリーンズ・鈴木大地選手(C)PLM

千葉ロッテの鈴木大地選手が、20日のオリックス戦で適時打を打った。実に「128打席ぶり」のタイムリーだった。

鈴木選手の今季成績は、86試合72安打2本塁打、打率.249。得点圏打率は.250。これだけ見ると、極端にチャンスに弱いとは言い難く、128打席も適時打が出ていなかったとは思えない。そこで、鈴木選手の直近2カ月間の打点の内訳を調べていくと、別の選手の意外な事実が判明した。

【鈴木選手の6、7月打点詳細】
7月20日 オリックス戦…適時打①
7月11日 埼玉西武戦…二ゴロ①
7月7日 北海道日本ハム戦…一ゴロ①
6月24日 埼玉西武戦…二ゴロ①
6月12日 横浜DeNA戦…本塁打①
6月3日 広島戦…適時三塁打①
6月1日 広島戦…適時打①

鈴木選手が今月挙げたのは3打点。20日の適時打以外は、ゴロの間に走者が生還して記録されたものだ。6月12日の広島戦では本塁打を放っているものの、適時打に限るなら1カ月以上前の6月3日が最後だった。3日前までは。

久しぶりにトンネルを抜けた鈴木選手。しかし、上には上がいた…

今季のパ・リーグ規定打席到達者の中で、打点が「20」以下なのは鈴木選手(20打点)と、東北楽天の茂木栄五郎選手(16打点)の2人だけだった。そこで、茂木選手の成績を見てみる。

81試合71安打5本塁打、打率.240。このうち、打点「16」と得点圏打率「.133」は、規定打席到達者の中ではワーストだ。では鈴木選手と同様に、直近2カ月間の打点の内訳を調べてみる。

【茂木選手の6、7月打点詳細】
7月5日 福岡ソフトバンク戦…遊ゴ①
6月27日 千葉ロッテ戦…犠飛①
6月22日 北海道日本ハム戦…本塁打②
6月19日 横浜DeNA戦…本塁打③
6月5日 巨人戦…本塁打②

6、7月は3本塁打を打っているが、タイムリーは1本もない。さらにさかのぼってみる。

5月4日 埼玉西武戦…本塁打①
4月28日 埼玉西武戦…本塁打②
4月20日 オリックス戦…押し出し四球①
4月15日 埼玉西武戦…適時打①
4月8日 福岡ソフトバンク戦…適時三塁打②

鈴木選手どころではなかった。上記が今季、茂木選手が挙げた打点の全てである。つまり、茂木選手がここまで放った適時打はわずか2本。本塁打は放っているが、鈴木選手の倍以上となる282打席連続でタイムリーが出ていない。

得点圏で打席に立つ24歳の胸中を思う…

茂木選手は、これまで確かな実績を残し、昨季の活躍も記憶に新しい選手である。ペゲーロ選手とともに恐怖の1・2番コンビを担い、球団初の生え抜き2桁本塁打を達成。鮮やかな先頭打者アーチは幾度となくチームを勢い付かせ、2013年以来のAクラスへと押し上げた。

しかし思えば、まだ3年目。遊撃手という難しいポジションで蓄積した疲労は、いかほどのものだったか。昨季は「2年目のジンクス」を感じさせなかったが、今になってプロの壁に直面しているのかもしれない。

128打席。282打席。われわれが「長い」と感じているトンネルを、選手自身はさらに何倍も長く感じていることだろう。塁上で、笑顔の茂木選手を見られるのはいつになるか。

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パ・リーグ インサイト 馬塲呉葉

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