怪我さえなければ…。
この投手の投球を見て、何度このように思ったことだろうか。昨季途中、屋宜照悟投手とのトレードで北海道日本ハムに移籍となった杉浦稔大投手のことである。
杉浦投手の持ち味と言えば、人を引くようなストレートだ。球速こそ、ずば抜けて速いというわけではないが、相対する強打者たちが振り遅れて空振りを喫する場面を何度も目にしてきた。
入団から昨季までの4シーズンは
ルーキーイヤーの2014年には数字の面で鮮烈デビューを飾っていた。防御率こそ3.52だが、23イニングスを投げて与四球数はわずかに2。奪った三振は28で奪三振率10.96、K/BBは14.00と非常に優れた数字を残した。
2年目、3年目には自慢のストレートで抑えられない場面が目立ち、与四球数も2年目が21、3年目が25と悪化。4年目の昨季は1年目のように綺麗なストレートがよみがえり、復活を予感させた。しかしわずか5試合のみに登板し、例によって離脱。そのため、歴史的大敗を喫した東京ヤクルトが怪我での離脱をきっかけに、泣く泣く放出するという選択をし、北海道日本ハムに移籍する形となった。
今季はファームでじっくりと調整が行われた
右肩痛が癒えた今季はファームで8試合に登板し、0勝1敗、20回、与四球6、31奪三振、6失点(自責点5)、防御率2.25という成績。ファームでの数字とはいえ、与四死球が少なく、奪三振が多いという1年目に似た成績を残し、ついに一軍初登板、初先発を勝ち取った。
21日に満を持して今季初登板を迎えるが、ストレートの切れや制球が戻った今、優勝争いが続くチームの勢いを必ずや加速させるはず。怪我さえなければエース級の活躍が見込める逸材。まずは初登板での投球内容に注目したい。
【2018年 杉浦投手のファームでの成績】
4月26日 1回、被安打1、与四死球1、奪三振2、自責点1
5月4日 2回、被安打2、与四死球0、奪三振5、自責点0
5月11日 1回、被安打1、与四死球0、奪三振2、自責点0
5月18日 3回、被安打0、与四死球2、奪三振6、自責点0
6月17日 2回、被安打0、与四死球0、奪三振3、自責点0
6月23日 3回、被安打1、与四死球1、奪三振1、自責点0
7月1日 3回、被安打4、与四死球2、奪三振6、自責点3
7月9日 5回、被安打3、与四死球0、奪三振6、自責点1
記事提供: