新型コロナウイルスの感染拡大により、戦後初めて中止が発表された2020年夏の甲子園。その大会を「最後の夏」として戦うはずだったのが2002年/03年生まれの選手たちだ。最後の夏、「甲子園のスター」になるチャンスを失いながら、プロ野球という夢の舞台で戦う高卒3年目の選手。そのなかから、今季待望の一軍デビューを果たしたパ・リーグの選手をピックアップして紹介する。
オリックス・バファローズ 山下舜平大(2020年ドラフト1位・福岡大大濠高)
まず筆頭は、今季オリックスのリーグ3連覇の立役者となった山下舜平大投手だ。
プロ入りから2年間は一軍での出場がなかったものの、迎えた2023年シーズン。山本由伸投手、宮城大弥投手がWBCに出場していたことから、一軍未経験のままいきなり開幕投手としてデビュー。勝ち負けはつかなかったものの、5.1回1失点の好投を見せた。
そして、4月11日の東北楽天戦で待望のプロ初勝利を挙げると、先発ローテーションに定着。16試合で9勝3敗、防御率1.61と一躍大ブレイクし、パ・リーグ新人王に輝いた。メジャーに挑戦する山本投手の穴を埋める存在として、快進撃を続けるだろう。
千葉ロッテマリーンズ・中森俊介(2020年ドラフト2位・明石高)
今季2位の千葉ロッテでは、中森俊介投手がブレイクを果たした。
今季の開幕戦、3月31日の福岡ソフトバンク戦で6回裏に中継ぎとしてプロ初登板。0 .2回を無安打無失点に抑えた。4月17日に登録抹消となり、ファームでの登板が続いたものの、CS争いが佳境に入ったシーズン後半にその才能が開花する。
9月は5試合で計9イニングを投げ、失点はわずか1。10月は4日、6日のオリックス戦で登板し、いずれも無失点に抑える。さらに、15日の「2023 パーソル CS パ」ファーストステージでも1.1回無安打1奪三振無失点と好リリーフ。堂々のCSデビューを飾った。今季は主に救援を担ったが、来季は先発での活躍を狙っている。
福岡ソフトバンクホークス・井上朋也(2020年ドラフト1位・花咲徳栄高)
2020年、高校屈指の強打者としてドラフト1位で福岡ソフトバンクに入団した井上朋也選手は今季、ウエスタンで89試合に出場して打率.253、9本塁打、38打点の成績を残し、9月6日に一軍昇格を果たす。同日、「8番・一塁」で即スタメン出場すると、5回裏の第2打席でプロ初安打をマーク。続く第3打席でも安打を放ち、初めてお立ち台にも上がった。
そして、25日の千葉ロッテ戦では小島和哉投手から待望のプロ初本塁打。「自分の長所は長打だと思うので、大事な場面で初ホームランを打つことができて素直にうれしいです」と振り返っていた。
結局15試合に出場し、打率.263、1本塁打。さらなる飛躍へ、まずは開幕一軍を目指す。
東北楽天ゴールデンイーグルス・内星龍(2020年ドラフト6位・履正社高)
今季彗星のごとく現れ、53試合に登板と、東北楽天のブルペンを支えた内星龍投手。オリックス・山本由伸投手にそっくりのフォームでも話題を呼んだ。
3年目の今季は開幕一軍の切符をつかみ取り、4月9日の千葉ロッテ戦で中継ぎとして初登板。3イニングを打者9人、4奪三振で退ける完璧なピッチングで鮮烈なデビューを飾る。23日の北海道日本ハム戦では、延長11回表を無失点に抑えてサヨナラ勝利を呼び込み、プロ初勝利も挙げた。
勢いそのままに、一時は勝ちパターンの一翼を担うなど、多様な起用にも応えて53試合で防御率2.28をマーク。先発に転向する来季も大車輪の活躍を見せてほしい。
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