昨夜の試合で8連敗を喫し、借金「20」に達した千葉ロッテ。首位・楽天と対決する今日の先発を、エース・涌井投手に託す。前回登板では6本塁打を浴びるなど本来の力を発揮できなかったが、今こそエースの存在感を見せつけて、チームの連敗を食い止めたい。
対する楽天の先発は釜田投手。5月17日に盛岡で行われた北海道日本ハム戦で、チームは初回5失点からの劇的な逆転勝利を果たしている。乗りに乗っている良い雰囲気を途切れさせることなく、このまま継続させていきたい。
初回、涌井投手は走者こそ出すものの無失点。釜田投手は千葉ロッテ打線を危なげなく3人で打ち取り、両投手ともに安定した立ち上がりを披露する。
静かな初回から一転、2回表に早くも試合が動きを見せる。2死から7番・岡島選手と8番・藤田選手が連打を放ち、2死1,2塁の場面。涌井投手の暴投で2死2,3塁となると、三塁手のダフィー選手の失策の隙に3塁走者が生還。楽天が1点を先制する。
しかし3回裏、先頭の吉田選手が二塁打を放ち、9番・三木選手が内野安打で続く。そして無死1,3塁の場面で、釜田投手が痛恨のボーク。まず1点を加え、試合を振り出しに戻すと、2死2塁から3番・根元選手が、ど真ん中の変化球を中前に弾き返す適時打。「ワク(涌井投手)に1点でも多く援護してあげたい。応援してくれるファンの為に、今日は、今日は絶対に勝ちたい。皆で、皆で勝ちたい。その気持ちだけです」と語る、気持ちの入った一打でスコアを2対1とし、千葉ロッテが勝ち越しに成功する。
その後は静かな展開が続くが、6回裏、再び試合が動く。2死から5番・ダフィー選手が安打で出塁し、続く清田選手が初球を捉えて適時二塁打。千葉ロッテがさらに1点を加える。
しかし直後の7回表、1死から7番・岡島選手と8番・藤田選手が連打を放ち、1,3塁の好機を作ると、代打・聖澤選手のゴロの間に3塁走者が生還。楽天がすぐさま1点差に迫った。
千葉ロッテの1点リードで迎えた9回表。この回を抑えれば連敗ストップとなるマウンドには続投の涌井投手。しかしそこで楽天打線が粘りを見せる。1死から、6番・島内選手が安打で出塁し、代走のルーキー・田中選手がプロ初の盗塁を成功させる。そして涌井投手の暴投で3塁に進むと、続く岡島選手が四球を選び、1死1,3塁に。ここで藤田選手の打球が敵失を呼んで3塁走者が生還し、土壇場で楽天が同点に追い付いた。
3対3の同点で迎えた9回裏は、ハーマン投手が3者凡退に抑え、試合は延長戦に突入する。10回表に登板した内投手は、ピンチを背負いながらも踏ん張って無失点。そして10回裏、1死から1番・荻野選手が安打で出塁し、続く鈴木選手がフェンス直撃の二塁打を放つ。この1死2,3塁の絶好機で今日勝ち越し打を放っている3番・根元選手が、フルカウントから粘り、右翼線へのサヨナラ打。
10回裏まで長引いた試合は、4対3の僅差で千葉ロッテが勝利。連敗は8でストップし、首位・楽天を相手にようやく今季10勝目を挙げた。9回までを投げた涌井投手は、被安打8、奪三振7、与四球1、失点3。勝ち星こそ付かなかったが、エースらしい気迫を感じさせる粘投だったと言える。「今日は絶対に皆で勝ちたい」と熱い思いを吐露していた根元選手は、その言葉通り、連敗中でも声援を送り続けた本拠地のファンに、劇的なサヨナラ勝利を届けた。
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