41得点。これは先週の1週間で福岡ソフトバンクが挙げた得点である。埼玉西武相手には3試合で29得点を挙げ、5月5日の千葉ロッテ戦では2点ビハインドの9回に2本塁打を放って逆転するなど自慢の強力打線が火を噴き始めた。
一般的に下位打線といえば、上位打線に比べて「やや打撃が劣る」というイメージが強い。しかし、今季好調の今宮選手や内川選手らが並ぶ福岡ソフトバンク打線において下位打線で存在感を放っているのが、開幕から不調に苦しんだベテランと覚醒を期す若武者である。
1人目は、松田宣浩選手だ。WBCでの疲労もあってか3、4月を終えて打率.220と苦しんでいた松田選手だが、5月に入ると一変してその長打力をいかんなく発揮し始める。5月2日の埼玉西武戦、第1打席に安打を放つと5回には2試合連続となる2号2ラン。さらに3、4打席目にも安打を重ね4安打3打点の大暴れを見せる。翌日も2安打し迎えた3戦目は埼玉西武先発・十亀投手から本塁打を放つなど2打数2安打。3連戦で8安打6打点とし打率を.270まで上げた。本人は「パフォーマンスを“熱男”に変えたら調子が上がった」と語るだけに、この好調を維持し今季も多くの「熱男」パフォーマンスが見たいところだ。
2人目は上林誠知選手。開幕から主に9番での先発が目立った上林選手だが、4月28日のオリックス戦からは8番での起用が続く。そんな中、5月の初戦となった埼玉西武戦で自身初となる1試合2本塁打を記録すると、翌日も1本塁打を含むマルチヒットを放つ。さらに金曜日の千葉ロッテ戦では、9回に抑えの益田投手から決勝本塁打を放つなど強力打線の「恐怖の8番」として存在感を発揮。5月7日時点で打率は3割超え。「日頃のコーチのアドバイスに感謝」と話す21歳。今季はどこまで成績を伸ばしてくれるだろうか。
3人目は5月2日の埼玉西武戦で9番に入り、プロ初本塁打を記録した甲斐選手。7日の千葉ロッテ戦ではこちらも9番に入った高谷選手が適時打を含む2安打でヒーローとなるなど、他球団ではなかなか考えられない充実ぶりを見せる福岡ソフトバンクの下位打線。上位には柳田選手、デスパイネ選手がどっしりと座り、アメリカから帰ってきた川崎選手も出番をうかがうなど分厚い選手層は今年も健在だ。
和田投手、武田投手と先発の両輪を欠きながらも、好調の打線が力を発揮し上昇気流に乗せた福岡ソフトバンク。今週はオリックス、楽天と上位陣をホームに迎えるだけに、先週のような投打の噛み合った野球を見せつけ、一気に首位へと駆け上がりたい。
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