福岡ソフトバンク松田、埼玉西武中村が今季大不振
長嶋茂雄、中西太、藤村富美雄、掛布雅之、小久保裕紀、原辰徳……。彼らに共通するのは、「三塁手」であるということ。名だたる名選手の名が挙がり、ホットコーナーとも呼ばれてチームの中心選手がそのポジションを担うことが多い。
先に名前を挙げたように、歴代の三塁手たちは強打者揃いである。長嶋茂雄氏に代表されるように「4番・サード」は花形だった。ところが、今季のプロ野球では、その三塁手が“人材不足”となりつつある。
近年の球界を代表する三塁手として、その筆頭に名前が挙がっていたのは福岡ソフトバンクの松田宣浩だろう。侍ジャパンの常連として名を連ねてきた“熱男”だが、今季は大不振に苦しんでいる。ここまで71試合で252打数54安打14本塁打36打点、打率.214と低調。1日の千葉ロッテ戦では5回終了で途中交代を命じられた。
もう1人、近年で強打の三塁手として名前が挙がるのは、埼玉西武の中村剛也。通算360本塁打を放っているスラッガーではあるが、こちらも今季は大不振。29試合で99打数13安打3本塁打8打点、打率.131となっている。埼玉西武では売り出し中の外崎も三塁手を守っており、こちらの方は打撃成績を残している。
外崎とともに結果を残し、現在球界でナンバー1と言える三塁手は横浜DeNAの宮崎敏郎だろう。昨季のセ・リーグ首位打者は今季も打率.321のハイアベレージをマーク。今季はすでに昨季に並ぶ15本塁打を放っており、パンチ力もアップした。
昨季ブレークした広島の安部も今季は苦戦が続く
その一方で、昨季ブレークした広島の安部友裕は苦戦している。巨人の岡本和真が今季開花し、輝かしい成績を残しているが、出場の大半は一塁手。将来的に、強打の三塁手として期待がかかる。
ここで今季、各球団で三塁手としてスタメン出場したことのある選手の打撃成績を見てみよう。
○福岡ソフトバンク
松田宣浩 71試合252打数54安打14本塁打36打点 打率.214
西田哲朗 19試合35打数7安打0本塁打3打点 打率.200
○埼玉西武
外崎修汰 72試合268打数78安打10本塁打41打点 打率.291
中村剛也 29試合99打数13安打3本塁打8打点 打率.131
金子一輝 6試合14打数5安打1本塁打2打点 打率.357
○楽天
ウィーラー 59試合208打数54安打5本塁打20打点 打率.260
今江年晶 64試合216打数64安打5本塁打29打点 打率.296
渡辺直人 40試合38打数9安打0本塁打6打点 打率.237
内田靖人 28試合67打数14安打4本塁打7打点 打率.209
三好匠 39試合34打数4安打0本塁打0打点 打率.118
○オリックス
大城滉二 62試合173打数43安打4本塁打19打点 打率.249
小谷野栄一 63試合213打数47安打1本塁打17打点 打率.221
西野真弘 33試合96打数33安打0本塁打10打点 打率.344
中島宏之 32試合67打数18安打1本塁打6打点 打率.269
山足達也 17試合46打数8安打0本塁打4打点 打率.174
○北海道日本ハム
レアード 67試合254打数59安打15本塁打37打点 打率.232
太田賢吾 37試合27打数6安打0本塁打1打点 打率.222
石井一成 50試合133打数27安打1本塁打4打点 打率.203
渡邉諒 3試合6打数0安打0本塁打1打点 打率.000
○千葉ロッテ
鈴木大地 71試合240打数62安打2本塁打17打点 打率.257
東京ヤクルトは実に7選手が三塁手でスタメン出場
○広島
安部友裕 48試合145打数26安打1本塁打11打点 打率.179
西川龍馬 43試合108打数32安打2本塁打17打点 打率.296
美間優槻 30試合36打数5安打0本塁打1打点 打率.139
庄司隼人 12試合14打数0安打0本塁打0打点 打率.000
小窪哲也 3試合3打数1安打0本塁打1打点 打率.333
○阪神
糸原健斗 71試合250打数74安打1本塁打18打点 打率.296
大山悠輔 54試合157打数32安打2本塁打15打点 打率.204
鳥谷敬 67試合133打数27安打0本塁打12打点 打率.203
陽川尚将 20試合71打数25安打3本塁打22打点 打率.352
北條史也 13試合37打数14安打0本塁打5打点 打率.378
○横浜DeNA
宮崎敏郎 71試合268打数86安打15本塁打38打点 打率.321
飛雄馬 2試合6打数1安打0本塁打0打点 打率.167
○巨人
マギー 62試合218打数63安打7本塁打36打点 打率.289
岡本和真 73試合278打数85安打14本塁打45打点 打率.306
田中俊太 49試合88打数22安打0本塁打6打点 打率.250
○中日
福田永将 69試合241打数64安打6本塁打30打点 打率.266
高橋周平 66試合216打数60安打4本塁打30打点 打率.278
堂上直倫 41試合29打数6安打0本塁打4打点 打率.207
○東京ヤクルト
川端慎吾 51試合149打数38安打1本塁打10打点 打率.255
大引啓次 24試合59打数21安打1本塁打5打点 打率.356
西浦直享 66試合209打数57安打6本塁打32打点 打率.273
藤井亮太 22試合38打数10安打0本塁打2打点 打率.264
奥村展征 15試合21打数5安打0本塁打0打点 打率.238
荒木貴裕 55試合78打数18安打3本塁打19打点 打率.231
谷内亮太 11試合14打数1安打0本塁打0打点 打率.071
こう見ると、現状で三塁手のレギュラーに懸念がないのは、千葉ロッテ、巨人、横浜DeNA、北海道日本ハムくらいか。東京ヤクルトは7選手が、阪神、広島、オリックス、楽天は5選手が三塁を守っており、ホットコーナーを固定できていない。
そこで気になるのは、BCリーグ栃木ゴールデンブレーブスに在籍する元巨人の村田修一の存在だ。BCリーグでは、32試合に出場し、104打数37安打6本塁打32打点、打率.356とさすがの成績を残している。37歳のベテランながら、今季は中日の松坂大輔、広島の永川勝浩が復活し、阪神の藤川球児も健在。“松坂世代”たちが再び奮闘している。
球界で不足しがちな“強打の三塁手”。外崎や宮崎に続く、次世代のスターとなる大砲は現れるか。そして、支配下選手の登録期限となる7月末までに、村田のNPB復帰の可能性はあるだろうか。
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