満員御礼のほっともっとフィールド神戸がさらにアツく!
全国的な猛暑日となった7月23日(日)、ほっともっとフィールド神戸で「UNIQLO イチローPOST DAY」が開催された。イチローPOSTは、全国の小、中学生がユニクロの店舗などに設置されたポストにイチローさん宛の手紙を書き、投函できる仕組みだ。
2022年11 月のプロジェクト開始時からのべ4000 通以上の手紙が届いており、イチローさんが特設サイト上で答えたり、実際に手紙を書いてくれた子どもたちに会いに行く活動を行っている。
球場外周にはイチローPOSTのブースも登場。レターセットが用意されその場で手紙を書いて投函できる仕組みになっていた。開場間もなくブースは賑わいをみせた。
滋賀県から来た小学5年生の女の子は、習い事のチアダンスの悩みをイチローさんに相談。想いを乗せて丁寧に書き上げるとそっとポストに投函した。
この日の球場に設置されたポストには1000通に迫る手紙が寄せられた。この中から1名のもとにイチローさんが必ず訪れるという。どんな願い、悩み、イチローさんに聞いてほしいことが託されているのだろうか。イチローさんの訪問動画を楽しみにしたい。
プロの練習に釘付け!
ここ、ほっともっとフィールド神戸はイチローさんがかつてホームグラウンドとしてプレーしたゆかりの地だ。今回、6月16日までの期間内にイチローPOSTに投函し、招待された子どもたちが試合開始前に集まった。
子どもたちはまず試合前練習を見学。野球少年・野球少女とその保護者たちは、普段なかなか見ることができない選手たちの試合前のコンディショニングやバッティング練習に興味津々。そこにフリーバッティングで杉本裕太郎選手が登場すると、子どもたちも釘付けに。鋭いスイングに歓声をあげていた。間近で見たプロのストレッチ、プロのバッティングに感化された子も多いだろう。
ヒーロー選手とハイタッチのサプライズ!
日中の暑さが少しやわらぎ始めた試合直前。事前の投函者から選ばれたスタメンキッズによる選手とのふれあいと、始球式が行われた。
スタメンキッズに選ばれた中学2年生阪田瑠稀斗さんは、野球部でピッチャーを務め「将来はプロ野球選手になりたい」と強豪校行きの夢を語る。グラウンド上ではキャッチャー若月健矢選手との束の間の時間を楽しんだ。
始球式には、小学4年生の中村美月さんが登板。野球チーム上牧ブレーブスに所属する彼女は、「天国にいる、優しくて笑顔がいっぱいのコーチに『頑張っているよ』って伝えたい」と亡くなった恩師に想いを込めて、手紙をイチローPOSTに投函した。所属する上牧ブレーブスは今夏、大阪府大会(スポニチ杯)に出場する。中村さんは小学4年生ながら背番号10を背負い先発ピッチャーとして勝ちを目指す。
美月さんは渡部遼人選手とのキャッチボールで肩を慣らし、緊張の面持ちでマウンドへ。美しいワインドアップから放たれた投球は見事キャッチャーミットへ収まった。「ちょっと右に行っちゃった」と苦笑いだったが、日焼けした顔は充実そのものだった。
5回裏には、イチローさんからこの日のための特別なメッセージムービーが流れ、「君の想いを手紙にして、僕に届けてください」とコメントを寄せた。
試合は、1対1の同点で迎えた7回裏、一死満塁で紅林弘太郎選手のタイムリーヒットで2点を追加。続くセデーニョ選手からは3ランアーチが飛び出し、7対5でバファローズが勝利した。この日のヒーローインタビューには、紅林選手とセデーニョ選手が登壇し、終了後には手紙を送ったことで実際にイチローさんが訪問した、兵庫県養父市の広谷オリオンズの野球少年少女たちとの記念撮影に収まった。
そしてサプライズが。記念撮影が終わるとセデーニョ選手が子どもたちひとりひとりとハイタッチを交わしてくれたのだ。突然のことに驚いて思わず固まる子もいたが、グラウンドを後にすると、「すげぇ!」「手ぇ大きかったぁ!」と一堂に目をキラキラとさせていた。
イチローさんに手紙を書き、動画でも直接指導を受けた広谷オリオンズ キャプテンの石坪仁朗くんに、この日一番思い出に残ったことを訊ねると、「セデーニョ選手のホームラン」と試合を決める豪快な一発を挙げ、「ハイタッチ、嬉しかった」とはにかんだ。イチローさんにはあらためて「ありがとうございましたと言いたいです」と話し、1通の手紙が叶えてくれたイチローさんとの対面と、試合観戦を振り返った。
イチローさんへの手紙に「チームの人数が足りなくて大好きな野球ができない」と悩みを綴っていた仁朗くん。イチローさん来校後、メンバーは2人増えチームで野球ができるようになり、「もっと仲間を増やしたい」と意気込む。
一日の締めくくりは、2000発の大花火大会。神戸の夜空に大輪の花が咲き、満員のお客さんを沸かせた。
子どもたちはイチローさんに何を願い、何を書いたのだろう。苦しい悩みも、嬉しい報告も、自身とイチローさんに宛てた決意も、筆に乗せることで纏まり、伝わりますように。そして実り多い夏休みをーー熱を帯びた球場を後にし、虫の鳴き声を聞きながら、筆者はそう願わずにはいられなかった。
文・写真 海老原 悠
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