楽天ジュニア、仙台育英、そして楽天。真の生え抜き・西巻賢二の武器はセンス、守備、そして”知性”

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2018.7.2(月) 16:47

東北楽天ゴールデンイーグルス・西巻賢二選手(C)PLM
東北楽天ゴールデンイーグルス・西巻賢二選手(C)PLM

後半戦、期待の選手・楽天編

幼少期に楽天ジュニアでプレーし、高校時代を仙台で過ごした青年が、杜の都で勇躍するその日に向けてイースタンで研鑽を続けている。楽天の西巻賢二内野手が二軍で遊撃手として活躍を見せ、高卒1年目ながら一軍でも出場機会を獲得してみせた。物おじすることなく奮闘する若鷲の存在は、不振に苦しむチームにとっても未来に向けて明るい材料のひとつとなるはずだ。

仙台育英高校で主将として活躍した西巻選手は、2017年のドラフト6位で楽天から指名を受けてプロ入りを果たす。福島県出身の同選手にとってもお膝元となる東北の球団で、プロ野球選手としての第一歩を踏み出していく形となった。

西巻選手は入団会見で自身のアピールポイントを「守備力」と語り、「その守備の中でも判断力や、とっさの動きに注目していただきたいです」と、いわゆる”野球脳”についての自信を垣間見せていた。担当の上岡良一スカウト(当時)も「高校生の中でもトップクラスの守備力です。野球をよく知っている、いわゆる野球センスが優れているというところが彼の一番の特長です」と語ってその野球センスを絶賛しており、知性の高さが西巻選手の大きな武器のひとつであると形容できそうだ。

西巻選手はプロに入ってからも物おじしない姿勢を見せ、プロ入り直後の一軍キャンプでも存在感を発揮。開幕一軍こそ果たせなかったが、二軍では60試合に出場して規定打席にも到達し、打率.228ながら5本塁打を放って小柄な体に秘めたパンチ力も証明している。

守備面でも高卒1年目とは思えない落ち着きを見せ、遊撃手として前評判通りの活躍を披露している。6月半ばには早くも一軍昇格を勝ち取り、打席に立つ機会こそなかったものの、2試合に出場して貴重な経験を積んでいる。

地元出身の生え抜きスター選手への道

地元の仙台育英高校で3年間を過ごした西巻選手だが、小学6年時には楽天ジュニアでプレーした経験を持っている。上岡スカウトが「初めて楽天ジュニア出身の選手が、楽天イーグルスの本当のユニホームを着るので、そういった本人のうれしさもあると思います」と話した通り、楽天ジュニア出身の選手がイーグルスに入団するのは史上初。西巻選手が順調に実力をつけて主力へと成長を遂げれば、地元出身の生え抜きスターとしてファンの熱い後押しを受ける姿も容易に想像できるはずだ。

たびたび落ち着きを称賛される西巻選手の知性は日常生活でも生かされているようで、ルービックキューブを2分弱で全面揃えられるという意外な特技も持っている。嶋選手や茂木選手をはじめ、リーダーシップを備えた選手が多い楽天にあっても、西巻選手が野球脳と知力を兼備した次代のリーダーとなりうる資質は十分だろう。

西巻選手に与えられた背番号「67」は、自身と同じく東北出身の銀次選手が2011年まで背負った番号でもある。入団会見の場で背番号を知ったという西巻選手は「やっぱりこれまで色々な方々がつけてきた背番号なので、恥のないように、しっかり責任と自覚を持って頑張っていきたいと思っています」とコメントしており、押しも押されもせぬ主軸へと成長した先輩同様の活躍を見せられるか注目されるところだ。

167センチと小柄ながら随所で野球センスを感じさせる俊英は、高校時代と同様に走攻守のすべてでチームを背負って立つ存在となれるだろうか。ドラフト6位という立ち位置でのプロ入りではあったものの、秘めたるスター性は十分。高校時代に惜しくも到達できなかった栄冠を、同じく仙台を本拠地とする楽天にもたらすための戦いはまだ始まったばかりだ。

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