同点直後の9回に値千金のサヨナラ弾、クラシックユニ「ホーム全敗」の危機も救う
埼玉西武のクラシックユニフォーム「ホーム全敗」の危機を救ったのは、12年前に「このユニフォームで1軍へ」と、投手として2軍で日々汗を流していた青年のひと振りだった。
1日の楽天戦。埼玉西武は2点を追いかける4回にキャプテン就任2年目となる3番・浅村の二塁打を皮切りに1点を返し、なおも2死一塁の場面で、この日着用した「クラシックユニフォーム」で2008年に優勝を経験している前キャプテン・栗山が同点打を放つ。さらに、同じく優勝メンバーの中村も適時打。当時を知る男たちがその存在感を示すような連続タイムリーをマークし、3-2と勝ち越しに成功した。
そして5回には、試合後に辻監督が「きょうは浅村だよ」と絶賛した3番・浅村の16号ソロ本塁打でリードを広げると、7回には4番・山川が今季両リーグ最速の20号2ラン。さらには栗山の4号ソロが飛び出すなど、新旧主力選手揃い踏みの活躍で7-3に。この勢いでクラシックユニフォームのホーム初勝利をスタンドを埋め尽くす満員のファンへ届けるかに見えた。
しかし、勝負事に絶対はない。指揮官も「寿命が縮まった。心臓がバクバクする」と肝を冷やすこととなった、連日のリリーフ陣の失点。9回にはカスティーヨの押し出し四球でついに7-7の同点とされてしまう。
しかし、「ミスなどもあって、嫌な雰囲気が漂っていた」というチームを救ったのが、8回表の守備から出場した木村文紀。9回裏2死走者なし。この日の初打席で、「次の打者に回すことだけを考えて、来た球をフルスイングしました。手応えは完璧」と会心の一撃。センターバックスクリーンへ飛び込む2号ソロホームランは、自身初のサヨナラ弾。ここまでホームで勝てていなかったクラシックユニフォームでの勝利を呼び込んだ。
クラシックユニフォーム時代は投手「まさか野手になってるなんてね」
2006年に投手としてドラフト1位で入団した木村文。「このユニフォームがすごく気に入っています。当時は投打が凄くかみ合っている強いチームという印象。ファームで結果を出して早く1軍で投げたいという気持ちで練習していた」と、クラシックユニフォーム時代に想いを馳せると「まさか野手になってるなんてね。考えてもいなかった」と、最後は笑顔で報道陣を和ませていた。
10回以降の継投に頭を悩ませていた矢先の一発に「チームを救ってくれた」と、辻監督は木村を称賛。そして「このユニフォームで勝ててよかったというのが一番大きい」と表情を緩めた。
また、連日の失点となったリリーフ陣については「ヒースはどうしたんだろう。もっと大胆に腕を振っていかないと。カスティーヨは、気持ちが入りすぎたのかチェンジアップの球速が速すぎた気がした。もう少し抜ければ。慣れてくれば、三振も取れる投手だし、今は彼しか選択肢がない」と、守護神を含め、リリーフ陣の早期配置転換は考えていない。
北海道日本ハムと福岡ソフトバンクが敗れたため、パ・リーグは5球団が3ゲーム差にひしめき合う混戦模様に。3日から埼玉西武は北海道で北海道日本ハムと対戦するが、指揮官は「ビジターだからといって戦い方は変わらない。必死でやっていくだけ。現状を直視して頑張ります」とコメントを残し、球場を後にした。
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