ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手はじめ、多くの日本人選手が活躍により日本のメディアでの取り上げも増えているが、今回はMLBの開幕前に行われるスプリングトレーニングについてご紹介したい。
日本のNPBでいうキャンプにあたるのが、2月〜3月に行われるMLBスプリングトレーニングだ。MLB30球団のうち、15球団がアリゾナ、もう15球団がマイアミに分かれて実施している。今回はアリゾナ・フェニックス周辺で行われている2つの施設についてお届けする。
NPBのキャンプとの一番の違いとも言えるのが、施設のスケールの大きさだ。
例えば鈴木誠也選手が活躍するシカゴ・カブスは、アリゾナ州フェニックスのメサ地域に施設を保持している。この施設には、トレーニングルームやブルペンなどはもちろん、内野のみの小さいものと合わせると7つのフィールドがある。
そしてこのすぐ隣には、約15000人を収容するSloan park(スローンパーク)があり、カブスはアリゾナに計8つのフィールドをここに保持していることになる。特筆すべきはフィールドの数だけにあらず、この施設が全てシカゴに本拠地を置くカブスのものであるということだ。
日本のキャンプは沖縄や宮﨑などで実施されているが、基本的には、球場含む施設は各市町村などが管理/運営しており、NPBの球団はキャンプの時期のみ施設を借りてキャンプを行うのが一般的だ。
また1球団がキャンプを行う施設は、フィールドは2つほどのところが多い。
カブスのこの施設では、スプリングトレーニング期間以外は、マイナー選手が練習/調整をしているほか、メジャー選手でも、調整が必要な場合はこのメサの施設でトレーニング等を行うという。
なおSloan parkは高校生、大学生の試合に貸し出すこともあるとのこと。
またSloan parkは2014年オープンの新しい施設で、グッズストアや子供用フィールドなどもあるほか、徒歩5分ほどの距離にはショッピングモールも隣接しており、家族で訪れても丸1日充分楽しむことのできる球場だと感じる。
スプリングトレーニング期間中は、全米より多くのファンがアリゾナに集まることもあり、カブスの練習試合が開催される日のSloan parkは平日でも多くのファンで賑わっている。
また15球団がスプリングトレーニングを行うアリゾナには、他にも素晴らしい施設がある。
内野のみを合わせて計17のフィールドを持つSalt River Fields at Talking Stickは、アリゾナ・ダイヤモンドバックスとコロラド・ロッキーズが共同所有している施設だ。
カブスのSloan park同様に、球場内にはレストランやバー、子供用のフィールドなどもあり、これがスプリングトレーニングのための施設かとため息がでるほどの素晴らしい環境だ。Salt River Fields at Talking Stickも大人から子供まで多くのファンで賑わっており、来場しているファンは試合の中身だけでなく、球場で過ごす時間を楽しんでいる人が多いように感じた。
日本とアメリカ。NPBとMLB。
国土や経済規模、文化などもちろん一概には横比較はできない。
日本にも素晴らしい球場や施設、そして応援など世界に誇れる文化がある。
ただこのアリゾナの雰囲気を肌で感じ、アメリカのスケールの大きさに圧倒されたのも事実。フィールドでのプレーはもちろんのこと、ビジネスや文化などの違いという視点でMLBを見ても面白いのではないだろうか。
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