初の沖縄開催は、大成功で終わった。北海道日本ハムが27日、福岡ソフトバンクを劇的なサヨナラ勝ちで下した。
押し出し四球を勝ち取った大田選手が、バットを放り投げて一塁ベースへ向かった。「僕が何かしたわけでもない。みんなが諦めずに戦った結果」。手荒いウォーターシャワーを浴びながら、喜びをかみしめた。この日は第1打席こそ四球だったものの、その後は3三振。「チャンスで打てなくて、悔しくて。でもいいところで回してくれて、(押し出し)四球になってよかった」。ヒーローインタビューでは、ひたすらナインに感謝した。
まさに9回2死から。横尾選手が左前打で出塁すると、鶴岡選手が死球。ここで代打の田中賢選手が右前に同点の適時打。今季初打点で期待に応えると、西川選手も四球で続いて満塁に。2死とはいえ、空気は完全にサヨナラムードだった。抑えの森投手もペースは完全に乱され、最後は全球ボール球。チームとしては初の主催試合となった那覇の地で、26日は球団通算4500勝、この日はサヨナラ勝ちと、これ以上ない結果で締めくくった。
9回に登板し、3者凡退でチームに勢いを与えた石川直投手の存在も大きかった。松田選手、市川選手を打ち取って2死とすると、高田選手は3球三振。「何とかゼロに抑えて(打線に)託そうと思っていた」。そしてこの勝利で4年目にしてうれしいプロ初勝利。「思い出に残ります。サヨナラで勝ってほしいと思っていました。感謝でいっぱいです」と21歳の若者らしく、さわやかな笑顔を見せた。この日は沖縄出身の上原投手が先発。5回1失点の結果も、負けていれば敗戦投手。だがそれも土壇場で消え、田中賢選手の同点打の瞬間はベンチで喜びを爆発させた。
打率2割に届かず、ここまで苦しいシーズンを送っていた田中賢選手はお立ち台で感慨深そうな表情。沖縄の魅力について問われると「人の温かさです。この気温よりははるかに温かいです」と答え、大歓声を受けた。「初の試みは大成功でした。また、次回プレーできるのを楽しみにしています」と、来年以降の開催も待ち望んだ。
この日、引き分けに終わった首位の埼玉西武とは0.5ゲーム差。沖縄2連戦での勢いを、29日からのオリックスとの札幌3連戦につなげたい。
記事提供: